ヤコブ博士が考える4つの悪いWebデザイン

10年以上経った今でもユーザービリティに関する興味深い記事を Web上に掲載しているヤコブ博士。今回は「Four Bad Web Design」というシンプルなタイトルで悪い例を4つ挙げています。Web designers don’t do what I told them to do 13 years ago (13年前に言ったことを未だに出来やしない) と少々強めのトーンで始まるこの記事。もちろん、人ごとだと思って笑えない深刻な問題でもあります。以下にヤコブ博士が見つけた4つの悪い例を挙げつつ僕の見解を書いていきます。

悪いコンテンツ

デザインと関係ないと思ったら大間違い。デザインは文章から始まるといっても良いです。 魅力的な見た目であろうが、正しくマークアップしてようが、文章がおかしかったらすべて台無しになります。ヤコブ博士が出している例では必要な情報がないときがあると訴えていますが、あったとしても文章が伝わり難かったり回りくどかったりするときもあります。長い文章をクライアントからいただいたとしても、そのまま使う前に、編集したりカットするなど読みながら検討する必要があるでしょう。

先が分からないリンク

クリックしたら何があるのか明確に分からない場合があります。記事では「Next Article in Business (次のビジネス関連の記事)」というリンクについて指摘しています。クリックしたらビジネス関連の記事があるというのは確かに分かりますが、具体的に何か分かりません。ビジネスのページを読んでいたからといってビジネスすべてに興味があるとは限らないわけですし、明確にしたいですね。

ヤコブ博士はここで「every extra design element detracts from all the other design elements on the page (余分なデザイン要素はページ上にある他のデザイン要素すべてへの注意をそらす)」と言っています。チョイスがたくさんあれば良いわけではなく、時には明確なディレクションも必要だということでしょう。

サイト内スプラッシュページ

動画がたくさん使えるようになってきたこともあり、またスプラッシュページが増えてきた印象があります。記事ではWebサイトのトップページだけでなくカテゴリのトップにも見られるときもあると指摘。以前にも増して座って終わるのを待つか「Skip Intro」をクリックする機会が増えているかもしれませんね。個人的に困るのがトップから別のページへ行ってまたトップへ戻ると再びイントロムービーのようなものが流れるケース。作り込みが大事なところでしょうね。

無茶なメタファー

記事では 3D ナビゲーションを紹介。3Dを多用しているゲームの世界でも 3Dナビゲーションはないですよね。メニューはだいたい 2Dで明確に表現されていることが多いです(3Dっぽいアニメーションが前後に付くことはありますが)。メタファーを使うのはデザインの重要な要素になることもありますが、逆にサイトの使いやすさを殺してしまう力も持っているということでしょうね。

良い方向へ導けるように

では、このようなサイトが出来た理由は Webデザイナーのエゴによるものか、それともクライアントのわがままなのか。その答えは分かりませんが、少なくとも Webについて熟知している (ことになっている)我々 Webプロフェッショナルがクライアントに対してコンサルティング、そしてディレクションがしきれていなかった部分あるのではないでしょうか。見た目がおもしろいなど「OKがとりやすいサイト」を作るのではなく、何が目的で誰のために作っているのかを真剣に話し合う時間が必要だと思います。時間のかかる行程でも最終的に両方ともがハッピーになるには避けては通れない部分でしょう。

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。