ビジネスを考慮したデザイン提案をする前に決めておきたいこと

デザイナー視点の『モノづくり改善』は、ビジネスにとってもユーザーにとってもインパクトが小さい場合があります。役職や背景によって「改善したい」と思うところが異なるので、チームで改善するフォーカスを決めるましょう。

改善の意味を合わせる

Web サイトやアプリの運用・改善は欠かすことができないプロセス。一発で正解を出すのが難しいのはもちろん、市場やユーザーの動きも常に変わるので、それに合わせた対応が必要になります。改善をすることに異論を唱える人はいないと思いますが、何に対して改善したいと言っているのか異なる場合があります。

例えば web サイトやアプリの制作者(デザイナーや開発者)であれば、UI や使い勝手を改善したいと考えるはずです。しかしマーケターであれば流入チャンネルを改善したいと考えるかもしれないですし、経営幹部であれば収益を上げるための施策を改善と呼ぶかもしれません。

それぞれが考える改善をしていても最大の効果は得られませんし、ひとつに集中しなければ効果が見えてこない場合があります。

また、ビジネスインパクト(利益になるかどうか)を考えたとき、私たちがやりたい UI 改善による効果が極めて小さい場合があります。押しやすいボタンにデザインを変えたとしても、ユーザー数が少ない中では望める効果を得るのは難しいです。それより、ユーザー数を増やすための施策にデザイナーが参加するほうがビジネスへ貢献できるかもしれません。

役職や背景によって「改善したい」と思うところが異なります。そこでチームで改善するフォーカスを決めることが重要になります。Web サイトやアプリにおける改善は以下の 6 つに分類することができます。
※ カタカナ用語で分かりにくいかもしれませんが、ビジネスサイドで使われている言葉なのであえて使っています。

6つの改善

  • アウェアネス 気付き・認知:プロダクトやサービスのことを知ってもらう
  • アドプション 採用・導入:プロダクトやサービスを使い始める
  • リテンション 維持・確保:退会・アンインストールをしないで利用し続けてくれる
  • サティスファクション 満足:プロダクトやサービスに満足してもらえる
  • エンゲージメント 繋がり・持続:具体的な行動や、強い関心を示してくれる
  • エフィシェンシー 効果・効率:タスクを難なくこなしてくれる

何にフォーカスするかを決めるのはデザイナーの仕事ではありませんが、どうしていきたいか決裁者(経営者やプロダクトマネージャー)に聞いたほうが良いでしょう。改善したいことが山のようにある中で、何をすべきか決めるためにもフォーカスが必要です。

例えばリテンション(維持・確保)が四半期の目標だとしたら、デザイナーは何ができるでしょう。ビジネスはもちろんユーザーのためになるものは何でしょうか?リテンションと一言でいっても、再訪問してもらうことから有料会員になって使い続けてもらうなどシナリオは様々です。

リテンションの何を改善するべきなのか、まずデザイナー視点で考えて提案するのも手段です。課金を通してリテンションを改善するのであれば、課金後の画面のメッセージを工夫したり関連アイテムを見せるといった施策が考えられます。施策を実行することで得られるであろうインパクトも考えながら、最初に何をすべきか考えてみましょう。

まとめ

デザイナー視点の『モノづくり改善』は、ビジネスにとってもユーザーにとってもインパクトが小さい場合があります。 Web サイトやアプリを良くしたいという気持ちは誰にもありますが、優先順位や実行する順番を間違えると求められる効果が得られません。

マーケティング、営業、カスタマーサポートなど様々なプロフェッショナルと一緒に改善することで効果が最大化されます。そのために改善の意味とフォーカスを決めて、そこに向かって何をすべきか専門家の知識と経験を活かして提案すると、ビジネスにおけるデザイナーの役割が伝わりやすくなります。

筆者について

Photo of Yasuhisa Hasegawa

組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決するといった仕事をするなど、チームでデザインに取り組むためのお手伝いをしています。各地でデザインに関わる様々なトピックで講師をしています。