Q&A 文章のトーン&マナーや文章構造で気をつけていること
文体のトンマナづくりについて実践されていること、意識されていることがあれば教えてください。
ライターを雇うのが理想的ですが、予算の都合上それが難しい場合があります。ライターを雇わなかったとしても、複数人でコンテンツを作ることもあるので、それぞれトーン&マナーがバラバラになることがあります。私はライターと呼べるほどのスキルも経験もないですが、以下のようなことを気をつけています。
構造が意味を生み出す
大学時代ジャーナリズムを受講した際に「逆ピラミッド」というメタファーを学びました。どのような優先順位をつけて構造化するべきかを考える際に逆ピラミッドの考え方が役立ちます。逆ピラミッドは以下のような情報構造を持っています。
- 最も価値のある情報
- その情報に関する詳細
- その他、知っておきたい情報
重要な情報を最優先に掲載することで、使いやすさも向上するとヤコブ・ニールセン博士も提唱しています。重要な情報が真っ先に見えるだけで、ユーザーは次に何をしたら良いのか判断しやすくなります。
このサイトをデスクトップから見ると、タイトルのすぐ下に内容がおおよそ把握できる概要が書かれています。長い文章を読まなくても、内容がすぐ理解できるようにするための工夫で、一種の逆ピラミッド式です。ジャーナリズムの考え方だけあって、逆ピラミッド構造の参考は、新聞から見つけることができます。新聞だけでなく、論文も逆ピラミッドで書かれることがほとんどです。
Web やアプリのデザインを経験している方であれば、重要な情報を真っ先に掲載することは当たり前だと思います。ただ、多くの方は逆ピラミッドではなく、「ピラミッド式」で書く傾向があります。つまり、情報をチラ見せしながら、最後に重要なコトを語るという構造です。ストーリー性のある物語は、最初に結論を書くことはありません。それに習って、ついつい最後に重要な情報を置いてしまう人は少なくありません。全部読まなければ分からないコンテンツは離脱を増やす要因になります。
もちろん、物語として作られるコンテンツの場合は逆ピラミッド式に従う必要はありませんし、例外も幾つかあります。ただ、基本を抑えるいう意味で、ユーザーにとって重要な情報は何かを見つけ出し、それを真っ先に掲載する構造を意識したほうが良いでしょう。
ツールを用意する
ライティングもあまりに属人性が高くなるとチームでの運用が難しくなります。MailChimp の Tone and Voice のように自社ブランドに合うトンマナをドキュメント化しているところがありますが、これを真似するのは簡単なことではありません。まず、一般的な書き方を学ぶという意味で、 日本語スタイルガイドのような書籍は良いスタートになります。
1, 2 ページでも良いので、ガイドラインを作っておくことも重要です。先述した逆ピラミッド型のことや、1 段落に 1 トピックだけ書くようにするといったチェックポイントも加えることができます。「どうせ読まれない」という心配はあるかもしれませんが、ドキュメントにして残しておくことは後々便利です。
専門用語の表記であれば、IME ユーザー辞書を作って配布するのも手段です。ただ、その前に Google Sheets のような共有できるスプレッドシート上に専門用語をまとめておくと良いでしょう。関わる人たちに対して「これだけ表記ブレがあるから、どうにかしたい。どれかに決めたい」という相談ができる場を持っておくと、「なぜいきなり変わったの?」といった声を未然に防げることができます。
月額費がかかりますが、Mac と Windows で使える TextExpander だとショートカット付き用語・文章辞典をクラウドで管理することができます。例えば「;reply
」みたいな短いフレーズを書くだけで、お客様へ返信する定型文章を生成することができます。また、変数をサポートしているので、定型文章に今日の日付や、特定の人の名前を入れた状態で書き出すといったことも可能です。用語だけでなく、文章もある程度合わして管理したいときに便利です。
質問を募集しています
デザインのこと、コンテンツのこと、ツールのこと … などなど質問を募集しています。投稿していただいた質問は、こうした記事にして詳しい解説をしています。Web デザイナー、UI デザイナーと言っても働き方は多種多様なので、「一般論」ではないピンポイントな回答を提供できればと思います。