Social media Screw Ups – A History は、2004年〜2010年にあったソーシャルメディアを使った失敗を集めたスライド。海外の動向を見ているのであれば、知っている話も幾つか見つけることができると思います。従来、企業は送りたいメッセージやイメージを完全にコントロールすることが出来ました。しかし、ソーシャルメディアの登場でそれが大変難しくなってきたということをこのスライドは示しています。

もちろん、失敗談だけでなく成功も数えきれないほどあります。しかし、ソーシャルメディアを使えば成功に繋がるというわけではありません。ソーシャルメディアは TV や企業ページに代わる新しい情報配信チャンネルとは言い難いですし、Facebook や Twitter のようなツールが広く使われる前からソーシャルメディアの失敗はたくさんあり、今後も数は増え続けることでしょう。

ソーシャルメディアは信頼がなけば何も響かない場ですし、利用者(消費者・顧客)との同意がなければ、彼等のタイムライン上で情報を配信することも許されません。つまり、ソーシャルメディアと呼ばれるツールを使ったところで、存在していないのと同じで片隅でつぶやいているのと変わらないわけです。ソーシャルメディアがあるから利用者に向けて情報配信出来る・・・というわけではなく、ソーシャルメディアを活用することで、利用者に近づけるチャンスを手に入れたに過ぎないわけです。

人それぞれがもつ情報の流れ。その流れはカスタマイズ・パーソナライズ機能により大きな壁が作られています。ソーシャルメディアは、その壁にある小さなドアを開ける鍵のような存在です。その鍵を使って小さなドアを開けることは出来ます。しかし、その後にあるの、長期的な視野を見据えた人と人との会話ですし、正直・誠実な情報の公開だったりします。ソーシャルメディア自体は何も変えてはくれません。変えるのはその場で会話をしている人であったり、対話をサポートする組織の体勢だったりするわけです。

会話と止めてしまえば他にある膨大な情報に流されますし、誠実でなければ壁の外に追い出され、二度とそのドアが開かれることがないかもしれません。他の方のドアを開こうとしても、「信頼出来ないから」という理由でドアを開けてくれないかもしれません。

人の関係と同じようにセカンドチャンスはあります。上のスライドで紹介されている大きな過ちをした企業の中には、自分なりの対話の方法を見つけて信頼を取り戻している(もしくは今まで以上の信頼を得ている)ところがあります。

失敗は辛いですが、終わりというわけではありません。だからこそ私たちは成功より失敗に注目するべきだと考えています。

成功事例はインスパイアされますし、自分の仕事にも応用出来るのではないかというアイデアも膨らみます。逆に失敗は注意事項にしか聞こえないときがありますし、失敗を公開する企業も多くありません(Web なので断っても見えてしまうこともありますが)。何よりも失敗を恐れるがあまり、成功を見ているという場合もあると思います。しかし、トライアル&エラーを繰り返さないと学べないことがたくさんあります。

人は千差万別で、それぞれ異なるコミュニケーションをとらないと伝わらないときがあります。成功した企業の顧客とあなたの顧客のライフスタイルが異なるのであれば、インスパイアされた成功事例は役に立たない可能性があるわけです。それより、自分で実際試してみて小さな失敗を繰り返すほうが、長期的にみて貴重な財産になるでしょう。

小さな失敗でヨソを向いてしまうほど人は厳しいわけではありませんし、それが許されるのも Web らしいところなのかもしれません。

Photo is taken by David GALLARD