10月12日にロフトワークが主催するいまさら聞けない!? 企業のスマートフォン対応というセミナーで登壇をしました。スマートフォンがテーマですが、今回の参加者は制作者よりマーケッター、ディレクター、プロデューサー層が多い集まりだったこともあり、コミュニケーションの変化をテーマの基盤にしてスマートフォンではどのような見せ方や運営の仕方が最適なのかを解説しました。

「ソーシャル」は本質だが分かり難い。「メディア」はキャッチーだが最重要ではない。

今年は「ソーシャルメディア」という言葉が IT/Web 業界だけでなく、他のシーンでも耳にする場合があるほど流行しました。こうした言葉があるからこそ、より多くの方に興味をもってもらえるキッカケになるわけですが、本質が見え難くなる場合があります。ソーシャルメディアにしても「メディア」というフレーズを強調して理解すると、Facebook や Twitter は数々存在する情報配信チャンネルに過ぎなくなります。実のところ、ソーシャルメディアは扉を開けるただの鍵に過ぎないわけですが、従来のメディアと同じような感覚で扱ってしまいがちです。配信の窓口が変わっただけでお祭り騒ぎの短いキャンペーンが大半なのもこのためです。

スマートフォンに関しても似たようなことがいえます。従来の考え方であれば、PCサイトをどうスマートフォンに最適化すれば良いのかという考え方になります。つまり、スマートフォンというまた別の情報配信チャンネルが増えたから作るわけです。しかし、本当にそれだけでいいのでしょうか。

携帯電話(フィーチャーフォン)からいえることなのですが、モバイル機器は利用者の身体と心の一部です。人が所有する最もパーソナルな機器に対して今までと同じような情報の垂れ流しでは相手に届きません。

スマートフォンユーザーはフィーチャフォンユーザーに比べると SNS やニュースを消費する割合が高いという結果が出ています。これはつまり、スマートフォンは人と人との繋がりや、会話のきっかけとなるコンテンツ(ニュース)が受け入れられやすいと仮説することが出来ます。スマートフォンにおけるサイト作りにおいてコンテンツファーストを基軸にするべきといっているのもこのためです。

コンテンツファーストという視点からみると、iPhone Design Boxをはじめとした数々のギャラリーサイトで紹介されているサイトは改善の余地があるのが分かります。ほとんどのサイトが見栄えもよく魅力的なものばかりです。しかし、ページの表示に10秒近くかかって出てきた画像がモデルの写真だとしたらどうでしょうか。スマートフォンの利用者はスマートフォンサイトに PC 版並みの表示速度を期待しており、5秒待ってくれる利用者も半数しかいません(参考資料)。スマートフォンは豊かな表現が出来るのでデザイナーには嬉しいですが、だからといってコンテンツを犠牲にしてまで着飾るわけにはいきません。

利用者が何を目的にして訪れているのかをしっかり検証し、フォーカスしたコンテンツを優先的に表示させることがスマートフォンサイトの設計において最大の課題であり、サイトコンセプトそのものになるでしょう。何を目的に訪れるのかを今のタイミングで改めて考えることが、PCサイトにもポジティブな影響を与えることになるでしょう。

セミナーの冒頭でソーシャルメディアの話をした理由も、スマートフォンとの親和性が非常に高いからです。まだまだスマートフォンのシェアは低い今だからこそ、焦らず自社しかできない顧客とのコミュニケーションを確立するチャンスです。まずは作ってみる・・・という姿勢も大事ですが、何か効果を実感したいのであれば、どのような繋がりを顧客ともちたいかという部分を社内外で議論してみると良いかもしれません。

いつものように SlideShare にてスライドが公開されているので、参考にしてください。また、セミナー前にインタビュー記事が掲載されていたので、そちらもぜひ。
お祭り騒ぎで終わらない!戦略的ツールとしてのスマートフォン対応