時間でお金を請求出来ない仕事
たくさんの時間を費やせば、それだけ良いプロダクトになる可能性はありますが、一概にすべてがそうとはいえません。単純に時間が必要なタスクもありますが、クリエイティブに関していえば、時間とは全く関係のないプロセスといえるでしょう。時には一瞬で思いつくこともありますし、一晩中考えた末に編み出すアイデアもあるでしょう。では、時間を費やしたほうが価値が高いのかといえば、そうではありません。
何かを作り出すという仕事は時間では測り難いですが、他にも時間では測れない仕事はたくさんあります。ひとつの場所に長時間居座ることが仕事をしているかしていないかの評価に繋げるのも難しくなっていますし、大勢が一カ所に長時間いるということが生産性が高いことであるとも言えないと思います。「仕事時間」といっても常にフルスピードで働いているわけでもないですし、無駄に時間を過ごしている場合もあるわけです。疲れてくれば当然脳の働きも鈍くなってきます。疲れがたまり脳への負担も増えれば、ストレスもたまり仕事そのものも好きでなくなってくるでしょう。
年収制度やフレキシブルアワーというのは以前からありますが、他にも様々な試みがされています。例えば Best Buy では、Results Only Work Environment (ROWE) という制度があります。これは成果さえ挙げていれば、何処で何時働いても大丈夫というものだそうです。子持ちの方も16時くらいに会社を出て家で残りの仕事をしても誰も変な目で見ないというわけですね。あと、37signals では実験的に週休3日制を導入しています。
時間ではなく成果を重要視した仕事環境を作るには、上司や管理職の方がそういったシステムを導入したり方針に従えばそれで良いわけではありません。どのポジションにいる方もお互い信頼し合わなくては成り立たないでしょう。皆がプロダクトやサービスを良くすることに強い関心を持ち、それぞれが自分たちの役割で成功することを強く思っていてこそ成り立つ信頼関係があると思います。それをなくしては ROWE のような制度の導入は難しいです。
チーム内の通気性や透明性をもつことは、クリエイティブプロセスで重要なことですが、仕事の成果や評価の仕方にも似たようなことは言えるのではないでしょうか。