HTML5に関するW3Cのスライドをリデザイン

先日、Twitter経由で「Web標準化 (W3C) とHTML5の状況 (PDF形式)」というスライドが総務省のWebサイトで公開されているのを知りました。早い時期から国に働きかけているのだなと関心しましたし、どのような内容を紹介しているのだろうと興味があったので早速ダウンロードしてみました。HTML5 の概要をコンパクトにまとめている点は良かったのですが、プレゼンのスライドとしての質はあまり高いものではない内容でした(一番最後のページに「ありがとうございました」と書いてあるのでスライドの可能性大)。

W3Cに携わる教授という視点だと考えられなくはない内容なのですが、国の方(もしくは IT プロフェッショナルではない方)に向ける内容ではない気がしました。せっかくHTML5を多くの方に知ってもらうという素晴らしい機会があってもこれではどうかなと私は思いました。以下が私が気付いた課題点です。

総務省Webサイトで公開されているスライドのデザイン
  • 配布資料とスライドの兼用になっている。結果的にスライドの情報量が多くフォーカスがしにくい
  • 概念図は不要。技術畑の人であれは多少興味あるかもしれないが、英語表記が多く何が書かれているかかえって分かり難くなる
  • 「ゲームが作れる」という国の視点でいえば全くメリットがない表記が幾つか
  • 最初に「HTMLとは」という親切なスライドで始まるが、そのあとが深い技術話ばかり
  • 仕様は分かるが具体性に欠ける

文句ばかり言うのもどうかと思うので、以上の課題点を基に「私ならこういうスライドを作ってプレゼンをするだろう」という資料を実際作ってみました。今のような文字情報ばかりのスライドではなく、自分が話すときの補助として使えるような画像と、読みやすいレイアウトと文字量に調整しました。以下が改善点・提案になります。

長谷川恭久がリデザインしたスライド
  • 最初のスライドでどのような構成が話が進んで行くのかを明記
  • サブトピックに入る際も最初にイントロダクションを行い概要を述べる
  • スライドを長時間読ませるのではなく、パッとみてある程度理解出来るものにする(話に集中してもらいやすい)
  • 紹介した技術に関してさらに詳しく知りたい方は「詳細情報」として、配布資料をつくるかプレゼン用のWebページを設ける
  • 概念図は排除し、実際その技術で何が出来るのかのみ簡潔に説明
  • ひとつひとつの技術に対して具体的な提案を 1,2 添える

作ったスライドは SlideShare にて公開されています。結局のところスライドは話す人の趣向や性格に大きく左右されるので、私が作ったスライドの方が良いと言い難いところがあります。また、話した相手がどういった方かも分からないですし、私たちの視点からでは見えない様々な事情を考えると、今公開されているスライドがベストなのかもしれません。いずれにせよ、情報を再構築して最適な文章を書いたり、レイアウトを作り上げていくプロセス自体は楽しかったので私的には満足です。

こうしたプレゼンをきっかけに新しいブラウザへの積極的な移行を促すことが出来れば利用者も開発者も皆幸せになりそうですね。日本として文字組がどうなるかも含め、今後に期待したいところです。

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。