WCANで今後のWebと利用者について話しました

12月19日に WCAN 2009 Winter が名古屋で開催されました。年末はほぼ毎年、スピーカーとして参加させていただいているこのイベント。毎回、1年の総決算みたいな内容でしたが、今回は少々趣向を変えて「2010年に飛躍するための7つのキーワード」という今のトレンドや人・社会の変化からみる今後について話しました。ちょうど先日行われた CSS Nite Shift3 が似たような内容だったわけですが、そのときの反応や情報収集が役に立ちました。時間が少々長めの 80 分だったこともあり、結果的に 140 枚のスライドと 70サイトの紹介というボリュームが大きい内容となりました。

今年もかなりの数のサイト・文献・記事を読んできましたが、その中から導きだされる今後にも繋がるキーワードは以下の7つではないかと感じています。

  • OSの多様化
  • リアルタイム
  • Eco IT
  • トラッキング & アラート
  • 情報の民主化
  • アウトソーシング
  • 情報のポータブル化

上記に挙げたキーワードは「Webサイト制作」という中で捉えるとピンと来ないのもあります。キーワードの中にはビジネス・マーケティング寄りの話に偏ったものもあったので、サイトを作るだけが主な仕事であれば距離感のある話だったかもしれません。しかし、今後大きな影響を及ぼす可能性があります。制作者側寄りの今年の話題といえば Progressive EnhancementセマンティックウェブUX あたりだと思いますが、これらの技術や手法も結局のところ7つのキーワードにも挙げられているような Web と利用者の変化を受けて出てきているわけです。

もちろん『分かっている方達』は随分前から Progressive Enhancement や UX の重要性について語っていましたが、それがやっと私たちにも分かりやすい形で見え始めてきたのが今年であり、来年になるのかなと思います。

あなたに必要な変化とはなにですか?

会議や仕事において、何気ない専門用語や共通認識になっていることはたくさんあります。

「デザインする」「企業のブランド」「お客様への対応」「情報を公開する」「サービスを提供する」「マークアップする」

本当にいろいろあるわけですが、これらの意味を再度確認しなければいけませんし、場合によって今までとは違ったアプローチが必要になる可能性もあります。その兆候が7つのキーワードに見られましたし、私たちはその変化の準備をしていかなくては、賢く利用者や企業へ良き Web サイトのあり方を提案しきれない状態になるでしょう。工場のように製造するだけでは Web と利用者に追い付けませんし、チラシのように扱っている企業サイトも追い付けることはもう出来ません。これは「新しい技術を身につける」とはまた別、恐らくそれより重要なことだと思います。

変化はとても難しいです。ひとりでも難しいことがあるのに、企業となると余計難しいです。また上記に挙げた「デザインする」も「企業のブランド」も人や企業によってそれぞれです。「こういう仕事でなければデザインではない」なんて狭い話だと寂しいものですよね。課題なのは、あなたがしたいデザインとはどういうものなのかですし、それは Web とそこにいる利用者達のことを意識しているのかどうかだと思います。

そのためのヒントが今セミナーになったと感じていただけたのであれば幸いです。

あと、詳細なセミナーのレポートが読みたい方は versionfive さんの「WCAN 2009 WINTER レポート」、maki_t2ndさんの「WCAN 2009 Winter」がお勧めです。これらの記事もぜひ読んでみてください。

スライドは無料で Creative Commons 表示-非営利-継承 2.1 日本というライセンスで公開されています。リンク付きの PDF なので関連サイトなどじっくり見たい方はぜひどうぞ。

wcan2009.pdf (PDF形式 25.67MB) Creative Commons License

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。