WD101: Webデザインであるもの、そうでないもの
このシリーズでは Web Design101(WD101)と名付けて、ウェブデザインをより深く理解するための最初の一歩になる知識やノウハウをコラム形式で紹介していきます。
Web や書籍を見ていると、様々な「素晴らしい Web サイト特集」があり、一体何を基準に評価しているのか分からなくなることがあります。人間中心設計をしようという声が高まっていると同時に、グラフィカルで一方的なコミュニケーションのサイトも評価が高いですし、Web という媒体への理解や解釈が様々なので、評価がバラつく場合もあります。
もちろん、Web の捉え方は人それぞれで良いと思います。しかし、それにより「Webデザインしたい!」と考えている人たちが、何をもって良い Web デザインなのかが見え難くなる場合があります。
そこで、今回は Web デザインであるもの、そうでないものを幾つか挙げてみました。
これらをすべて理解して実践するのは、大変難しいです。しかし、こうした Web デザインの基礎的な考え方を基に、より良いものを作ろうという動きは各所であります。Web デザイン独自の考え方はありますが、幾つかは Dieter Rams(ディーター・ラムス)のデザイン提案と重なるところもあります。彼の言う「良いデザインは製品を使いやすくする」や「良いデザインは正直である」と通じるところが、以下の項目に繋がるところです。
「これが Web デザインであり、該当しないものはそうではない」という定義リストと捉えるのではなく、こうした考え方の中、Web サイトやアプリケーションを設計するよう心がけましょう・・・というひとつの方向性を示した項目として見ていただけたら幸いです。
Webデザインではないもの
- 見た目を素敵に作ることではない
- 見た目が良くなければ人は見てくれませんが、そこから初めることが本質ではありません。
- 一本線状のストーリーではない
- 表紙からおわりまで明確な線があるだけでなく、放射状かつ多方向に展開します。
- 一方的な情報発信をするものではない
- サイトを訪れている利用者にも同じくらい情報発信力があります。
- インパクトがあるもの作ることではない
- 誰にとってのインパクトなのか?そのインパクトは必要とされているのでしょうか?
- 流行色を選ぶことではない
- 好みの色を選ぶのではなく、ターゲットに沿った色を選ばなくてはいけません。
- クールな JavaScript 効果を加えることではない
- 動いているとウケるということはありますが、パフォーマンスはどうでしょう。
- トレンドについていくものではない
- トレンドを嫌うことはないですが、無闇に追ってもかえって疲れるだけです。
- グラフィックツールで作った見た目を再現するものではない
- グラフィックツールで作った見た目は、かなり限られた仮説にすぎません。
- すべての状態で同じように見せるものではない
- 多彩なモバイル機器が市場に出回ったことで、より現実味が帯びてきています。
Webデザインであるもの
- コンテンツに合った形状を見つけること
- そのとき考えられる最適な形状を見つけることで、何を設計しなければならないのか見えてきます。
- 常に変化し続けるもの
- 予測不可能だからこそ、柔軟性とスピードが重視されます。
- 利用者にコントロールの余地を与えること
- 自分たちに主導権があるのだということを利用者に認知してもらう工夫をする必要があります。
- 疎外しないこと
- ある特定のアプリケーションからだと、まったく情報にアクセスできなくなるみたいなことはしてはいけません。
- ある程度の秩序を保つこと
- 見た目は違っても、利用者が認知できるパターンのようなものを作ること。