バランスとは均等のことではない

昔は「バランスが大事」という言葉を使っていました。

また、アドバイスをいただくときも「バランス」という言葉を耳にしたことがあります。ワークライフバランスもそうですし、何か新しい施策やアイデアを提案するときも「バランスですね」と、対になる考えを一緒に話す人もいます。

最近どうもこの「バランス」という言葉の使い所に困っています。全体を見失っていない感を装う都合の良い言葉に聞こえることがありますし、明確な方向性を打ち出していないと感じることがあります。仕事文脈でバランスについて話すと響きは良いですが、言い方を変えると無難なわけです。そして、私の経験では無難なことやっていると何も変化に繋がらないと考えています。それもあって最近は質疑応答でアドバイスするときに避けている言葉のひとつです。

いろいろあるバランスどちらもバランスがとれています

バランスを「釣り合いがとれている」ではなく、「均等」と捉えている方は少なくありません。つまり「50/50」な関係です。ライフワークバランスとは可能な限り 50/50 に近づけることと思っている方がいるのではないでしょうか。バランスという言葉を避けているのは、その言葉を使うことで 均等にしましょうと聞こえてしまうのを懸念しているからだと思います。

バランスとは個人のもの

釣り合いがとれた状態とは、必ずしも 50/50 ではありません。人によっては 20/80 くらいの力配分がバランスがとれているのかもしれないですし、40/60 くらいが丁度良い人もいるはずです。ライフワークバランスだけでなく、デザイナーとして作るための時間と周りに伝えるための時間配分とのバランスにも言えます。

また、釣り合いがとれた状態を保つには『調整』が必要です。バランス配分は不変ではなく、常に変わり続けるものだと思っています。1年前のバランスは 20/80 くらいだったけど、今は 60/40 が丁度良いということはあるはずです。自分の仕事内容で例えると、ひと昔は調査と制作のバランスは 20/80 で今は 70/30 くらいですが、 それぞれひとりのデザイナーとしてバランスがとれた状態と考えています。来年はまた違う配分になっている可能性も十分にあります。

時間で変わるバランス

バランスはパーソナルな価値観だと思っています。

皆がそれぞれ自分のバランスを探して実践しています。他人のバランスを採用するのも手段ですが、結局自分のものを見つけ出さなければいけなくなります。多くの場合 50/50 ときれいに均等にはならないですし、均等になることを目指す必要はないと思います。また、今あるバランスを不変のルールと捉えて維持することもないわけです。

私のバランスはあなたのバランスと違いますが、どちらも良いバランスです。均等な状態を理想型と思って目指すことはないですが、それをバランスと思い込むあまり、そうでない人に対して「バランスがない」「極端だ」と決めつける人がいるでしょう。それは、言っている人のバランス配分と異なるだけで、バランスかどうかは自分で決めるものです。

まず崩してみる

片方を徹底してあえてバランスを崩すことで、自分のバランスが見つけやすくなる場合があります。例えばデザインシステムの話をすると、「クリエイティビリティとのバランスですね」という返答をいただくことがあります。それは間違いないですが、踏み込む前にそういう話をしているといつまでたってもバランスを見つけることができません。

デザインシステムのメリットを体感しないまま、デメリットばかり注目していると環境によっては孤立した UI デザイナーになります。また、デザインシステムといっても精度は様々なので、実践しなければクリエイティビティとのバランスがどこにあるのか見つけるのは困難です。うちの現場では色を合わせるだけで十分だという結論にたどり着くかもしれません(そしてそれは素晴らしいことだと思います)。

バランスは自分で決めるものですし、両方しっかりやらないとどの辺で釣り合うのか分からない場合があります。50/50 の均等を目指すのものではないですし、一時的に崩れた状態になることを恐れる必要はないと思います。

他人のバランス感や評価は気にせず、あなたに合うあなただけのバランスを見つけてください。