シンプルの本当の意味は何だろう
「シンプル」はデザイナーがよく使う言葉のひとつ。サイト構築をする際もシンプルにすることを考えることがあると思います。しかし、シンプルという言葉の使い方や捉え方は人によって異なる場合があります。要素や機能が絞られていていたり、色彩の使い方に対してシンプルと呼ぶことがありますが、それだけではありません。また、要素が多いからといって複雑ではなく、シンプルと考えられる場合もあります。シンプルとは視覚だけでは語られませんし、むしろ文脈や内面的なところから生まれてくる価値ではないでしょうか。
例えば mixi をはじめとした SNS には様々な機能や情報がひとつのページに盛り込まれています。見た目は大変複雑ではありますが、毎日使っている方にとっては苦になりませんし、自分がやりたいことを自由に出来れば、そのサイトは「シンプルである」と表現するでしょう。機能が絞られていて、簡単そうにみえる Twitter も複雑 (分かり難い) になることがあります。いきなり「なにしている?」と訊かれても書き出せる方は多くないでしょうし、自由度が高く情報の流れも早いので自分の中で目的を設定しないと疲れてしまう可能性もあります。
シンプルとは、人と製品/サービス/システムとの間で意味のある対話を実現して初めて得れる価値です。ここで言う意味のある対話は視覚的であることもありますし、コンセプトや物理的に感じるものなのかもしれません。人との対話でもそうですが、信頼関係を築くことによって初めて意味のある対話として成り立つと思います。それが製品やシステムになっても同じことです。
信頼を勝ち取る方法はいろいろあると思います。中には文化・社会・ブランドから信頼を得る場合もあるでしょう。作り手であれば、人々の毎日の生活や活動に注目して、それに対して共感や想像力を働かせることにより信頼のある製品やシステムを作ることが出来るのではないでしょうか。
「シンプル」はデザインする上で、常に考えているテーマのひとつですが、改めて考えると複雑なトピックのひとつです。文章にしてこう書いてはみたものの、Paul Rand のような偉人はもっと少ない字数で的を突いたメッセージを投げかけています。
Simplicity is not the goal. It is the by-product of a good idea and modest expectations. (シンプルはゴールではない。シンプルは良いアイデアと控えめな期待によって生まれた副産物である。)
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