COULD
すぐに使えるノウハウではなく、「なぜそうなっているのか」を考える記事を書いています。デザインの仕事で感じるモヤモヤに、構造から向き合いたい人のための場所です。
デザイナーに必要な「作る」と「考える」バランス
作るだけだと失うバランス スキルが多ければ就職のチャンスが増えるでしょうし、デザインとコードの間を取り持つためのコミュニケーションの手間も省けます。新しい技術を取り入れたデザインが考えられることで、表現の幅も広がるはずです。柔軟性、拡張性のあるデザインを作るときに コード脳が役立ちます [http://www.yasuhisa.com/could/article/code-and-thinking/] が、デザイナー自らがコードを書く必要性はないと考えています。 小さな組織、フリーランスであればコードを書かざるを得ない状況があるので、それは仕方ありません。『書けるべき』という強い表現が、どのような状況にも当てはまるように聞こえてしまうことに疑問を感じます。また、制作スキルばかりに力を入れても、デザイナーとしてのスキルの伸びに限界がある考えています。 デザインは人によって様々な定義が出てくるややこしい言葉ですが、私の中で「作る」ことと「考える」ことの 2 つに分けています。作ることは、何か目に見えるもの、触れることができるものを作り上げること。Web サイトが作れる、アプリの U
デザイン原則がどの現場でも必要な理由
皆がなんとなく頭に思い浮かべている「大事なコト」が、言葉が共有されていないばかりに、すれ違ってしまうことがあります。
協働のためのデザイン思考の再構築
2016年9月3日HTML5 Conference 2016 [http://events.html5j.org/conference/2016/9/] が開催されました。1,200 人を超える参加者。6トラック同時進行という巨大イベント。どちらかと言えばエンジニア向けのセッションが多いイベントですが、そういう場だからこそ「ぜひ話したい」と思えたところがあります。 今回「協働のためのデザイン思考の再構築 」という題名で話しました。以前からエンジニアとデザイナーとの間をどう繋げるかという課題について話したいという欲求がありました。ただ、こういうトピックはデザイナーばかりの場で話すのは意味ないですし、逆もしかりです。HTML5 Conference 2016 は、デザイントラックもあったことから、両方へリーチするには好都合。幸いエンジニアの方も私のセッションに参加していただいたみたいで、非常に嬉しかったです。 デザインシステムの課題 私は HTML, CSS, JavaScript は書けますし、PHP も多少書けます。コードがある程度分かると、全体構成からではなく部品からデザイン
根拠や成果を超えたデザインに思いを馳せる
人間中心設計だけでは見えないこと 今では見なくなりましたが、ひと昔の MacBook Pro や Power Mac の本体側面にあるスリープインジケーターや電源ボタンは、スリープ時に点滅をしていました。これがただの点滅ではなく、まるで人が眠っているときの呼吸のような動きをしていました。Apple はこの点滅のデザインの実現のためにコストをかけ、特許も取っています [http://www.freepatentsonline.com/6658577.html]。 Apple 製品は小型化・薄型化が進んでいるので、こうした『演出』が少なくなっていますが、今振り返るとスゴいなと思うわけです。誰も気にしないディテールに拘るという点はもちろんですが、製品に実装してしまっていること自体がスゴいなと。 最近は「利用者のニーズを引き出して、実装しましょう」「そのデザインに効果があったか数値化しましょう」という文脈の中でデザインが語られることが多いわけです。たぶん、そうした中で「電源ボタンを人間の呼吸のように点滅させる」というアイデアが実装されるのか疑問です。利用者から「電源ボタンに心地の良い点
なぜ多彩なデザインツールが出てきているのか
2010年代は『革命』 2000年代であれば、デザインツールは Adobe 以外の選択肢を考えることができませんでした。小さなツールは幾つか出ていましたが、仕事で使おうと思えるデザインツールはほぼ皆無。しかし、2010年に Sketch [https://www.sketchapp.com/] が登場して以来、状況が大きく変わり始めてきています。他に使おうと思えるものがなかった 2000 年代に対し、2010 年代は次から次と魅力的なツールが登場しています。今では「また出た」とウンザリしている方もいるかもしれませんが、2000 年代の静けさと比べると革命といって良いほどデザインツールが増えています。 こうした変化のなか、Adobe も Experience Designer [http://www.adobe.com/jp/products/experience-design.html] という Creative Cloud には今までなかった種類のアプリを 2016 年にリリースしました。今までデザインツールを独占していた Adobe でさえ、
ありがちなプロトタイプ失敗パターン
次へ進むための『何か』 プロトタイプは今日の設計プロセスにおいて必須の役割を果たしている … といった論調を見かけることがあります。特にアプリの場合、Web サイト制作以上に開発者とデザイナーの密接なコミュニケーションが必要になるので、単なる静止画データの受け渡しでは不十分です。そこで「プロトタイプを作りましょう」となるわけですが、他のツールと同様、手法を取り入れただけで制作における課題が解決されることはごくまれです。 プロトタイプは、紙で作るもの [http://www.yasuhisa.com/could/article/reintroduction-to-paper-prototype/]から、 Principle [http://principleformac.com/] のようなアプリケーションを使ってインタラクションを加えるものまであります。プロトタイプの完成度も制作スピードもツールによってまちまちなので、どのように扱えば良いのか迷う方も少なくありません。また、新しいツールを採用してプロトタイプ(のようなもの)を作ってみたけど、以前と状況が変わらないどころか、大変に
ごめんなさい、すぐに結果は出せません
手法や道具にある幻想 手法や道具はやっかいな存在だなと思うことがあります。それを導入すれば組織の文化が変わって物事がうまくいくのではないかという期待が寄せられることがあるからです。ここ数年のデザインの世界では UX [http://www.yasuhisa.com/could/tag/ux/] に似たような期待をしてしまっているところがあります。この摑みどころがあるようでない UX を『導入する』ことで製品やサービスが改善されると考える方も少なくありません。 この記事の冒頭に掲載してあるイラストのような概念図を見たことがあると思います。インフォグラフィックと言い表しても良いような図でデザインプロセスが紹介されているのを見て、「なるほど、この通りにやれば良いのか」と感じる方もいるでしょう。そうした図を作って紹介しているデザイナーや組織は、実際そのとおりやっていると思います。しかしそれは単にプロセスを導入したというより、そうしたプロセスが動かせるような文化を作り出した結果だと考えています。 UX を導入するということ自体ありえないと 3 年前の講演で話したことがあります [ht
デザインドキュメンテーションにある制作と共有の課題
ドキュメンテーションのための3つの課題 Web サイトデザインはもちろん、アプリデザインでも画面ではなく部品から始める [http://www.yasuhisa.com/could/article/wd101-start-with-components/] ほうが有効です。画面ごとで制作していくと、いつの間にか一貫性を失うことがありますし、様々なスクリーンサイズに対応するためのルールを後付けにすると、結局またやり直しになってしまうこともあります。 では、インターフェイスを一度見直してスタイルガイド(パターンライブラリ)を作り始めれば良いのかというと、それほど単純は話ではありません。私の中で以下の 3 つの課題があると考えています。 * 人とコトの課題 – これはワークショップを通して指摘しましたが [http://www.yasuhisa.com/could/article/ui-pattern-workshop/] 、ステークホルダーによって優先順位が違えば、指している要素の呼び名が違うことがあります。制作側視点だけで作ると思わぬ誤解が発生する可能性があります。
なぜ自信をもってデザインを説明するべきなのか
コラボレーションは難しい コラボレーションは今日のデザインプロセスにおいて必須です。様々な分野の専門家たちが集まるからこそ、より良い製品へと進化していきます。専門家だからこそ出せるインプットによって、最適な解決策が見つかる … はずなのですが、実際そうはいかないことがあります。立場が違えば、物事の捉え方も違います。それぞれが置かれている状況によって、意見が分かれることがあります。意見が一致すればコラボレーションとしての相乗効果が生まれますが、そうでないときは、不平や妥協する人が出てくるでしょうし、最悪の場合は製品の利用体験を損なうものを実装してしまうこともあります。 コラボレーションは響きの良い言葉ですが、一筋縄にはいきません。意見が合わないとき、私たちはよく自己防衛の姿勢になりがちです。「これは違う」と言われると、反射的に「そんなことはない」と言うことがありますが、こうしたやりとりがコラボレーションの歯車を狂わしていきます。自分を守ること、相手の意見を変えることが先決になり、肝心の課題解決の話し合いではなくなっていきます。こうなると以下の 3 パターンで話に決着が付いていきます