ユーザビリティ

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ほんとに使える「ユーザビリティ」
ユーザビリティ

ほんとに使える「ユーザビリティ」

エリック・ライス氏が 2012 年に刊行した「Usable Usability」の訳書です。 この種類の専門書は原書で読むことが多いので、久しぶりの訳書になりました。訳書の魅力は、日本語で読めるのはもちろん、原作者の住んでいる国の文化やニュアンスを理解していないと、伝わり難い部分を補っているところです。世界中を飛び回っているライス氏なので、世界のユーザビリティに興味をもつ読者に向けて執筆しているはずです。しかし、それでも『日本から』という視点では見え難いこと、分かり難いことは少なくありません。そこを、訳者 浅野紀予 さんは工夫されているなと思いました。 ※ 本書では、ユーザビリティは「使いやすさ」と「優美さと明快さ」という2

ユーザビリティ

模索が加速するユーザーテストのコツと今後の可能性

テストするとは模索すること ユーザーテストをすることのメリットは、Web やアプリの開発に携わる方であれば周知のことだと思います。例えば、スポーツ系 SNS Sidelines は、6 つの異なる A/B テストを実施したことで、コンバージョンを 5% から 55% まで上げることに成功しました。 最近見つけたユーザーテストの面白い例といえば、先月の大統領選挙でのオバマ大統領のメール戦略。キャンペーンEメールの件名を「有権者の皆様にお会いしたいです」のようなよくある件名から、「支出が多過ぎるかも」みたいなちょっと変わったものまで様々なパターンを検証。毎回 10 数パターンをつくった上でベストと考えられる件名をつかって配信されたそうです。いろいろ試した結果、最も寄付金が多かったときのメールの件名が「Hey (やぁ)」。カジュアルな口調を件名にもっていったほうが良い効果を得ることができたそうです。 米大統領選挙は Web でもアプリでもない特殊な例ですが、テストや模索を続けなければ分からないことが多いという一例といえるでしょう。続けることでデータが集まり、全体像や傾向が見えてきたわけです。 テストが失敗してしまう理由 ユーザーテストは利用者の行動や意図を探るための素晴らしい手法ですが、ただやれば答えが出るというわけではありません。どのツールを採用するにしても、

デザイン

多側面ある一貫性と理解の共有

サイト全体の設計をするときに、必ずといっていいほど考える課題のひとつが一貫性。GUIや情報の配置など一貫性を保ちたい要素は様々です。サイト全体の見た目だけでなく使い勝手や感覚的な印象を統一させることで、利用者にひとつの場にいるという安心感を提供すると共に、一定のブランドイメージを提供することが可能になります。 一貫性というのは単にすべてを同じにしたり、一定の基準を満たせば良いというわけではないところが難しいところ。ソフトウェア、Webデザインにおいて一貫性をつくるということはとても複雑なことだったりします。一貫性とひとことで言っても以下のように細分化することができます。 人の認知とシステムの振る舞いの一貫性 OSのインターフェイスガイドラインを基にした一貫性 類似製品にある一貫性(ブラウザの進む・戻るボタンはどれを選んでも左上にあるなど) ビジュアルの一貫性 インタラクションの一貫性 操作上の一貫性 (ページレイアウトやフォームなど) 用語の一貫性 クロスメディアの一貫性(Webと紙媒体で同じ振る舞いをしているかなど) 実のところ、上記の一貫性をすべて保つことは難しいことがあります。例えば OS のガイドラインはそれぞれ異なりますし、インタラクションにしても、それぞれ得意・不得意があります。すべての一貫性を保とうとするあまり、特定の環境では「よく出来ているけど、ちょっと違和感」という結果になる場合があります。 上図は Windows 7 と Mac OSX のダイアログボックスです。共に決定のためのボタン群が右下にありますが、

UI

ジェスチャーUIの課題と対策

タブレットやスマートフォンで積極的に導入されているマルチタッチテクノロジー。デジタルなオブジェクトに触れているような感覚が味わえるタッチインターフェイスは、抽象的なマウス操作に比べて直感的だと言われています。スクリーンに触れるだけの動作は直感的で簡単そうですが、これにジェスチャーが加わることで突然ややこしくなる場合があります。感覚的・直感的というよりかは、操作を覚えなくてはならない負荷がかかる可能性もあります。 未来のインターフェイスを語る上でよく出て来るのが映画『マイノリティ・リポート』。この映画に登場するマルチタッチ UI の技術は一般化されつつあるといっても過言ではありませんが、大きく腕を振りかざし、長時間立ち続けなければならないのであれば、すぐに疲れてしまいそうです。トム・クルーズ並みの強靭な身体でないと使えない・・・なんてことになると困りますね。 例えば Mac OSX とその上で動作する純正アプリケーションだけでも 幾つかのジェスチャーインタラクション が割り当てられています。すべてアップルが開発しているものの、ジェスチャーには若干のブレがあります。ほとんどのアプリケーションで3本指で左右にスワイプすると、ひとつ前のページに戻ったり先に進むことが出来ますが、アプリケーションによってはそれに加えて三本指で上下スパイプも同じようなアクションになる場合があります。 幾つかのアプリを使うと見えてきますが、マルチタッチで使われる指の数が増えるほどマクロな視点の操作が増えてくる印象があります。以下、簡単にまとめてみました。 1本指 選択や移動など主にオブジェクトの操作 2本指 回転やズームなど、オブジェクトの変形 3本指 ページ全体の移動やメニューの表示などアプリケーション全体に関わる操作 4本指 アプリケーション間の移動など

ユーザビリティ

見た目と使いやすさの素敵な関係

Web は、受動的に「観覧する」というより、能動的に「利用する」という特色が強いです。それゆえ、高いユーザビリティが求められますし、試行錯誤を続けている方もいると思います。ユーザビリティを洗練させることで、より人に使ってもらえる (売り上げに貢献する) Web サイトになると考えがちです。極端な例だと Google がそうで、見た目はともかく使いやすいさ、使い心地を徹底的に追及しています。では、使いやすければ好感度も高く満足されるサイトなのかといえば、実はどうでもないようです。 Wichita State University にある Software Usability Research Laboratory で、サイトの見た目とユーザービリティの関連性について調査を行っており、その結果が Web サイトに公開されています。 Visual Appeal vs. Usability: Which One Influences

UX

好ましいという感情と使いやすさの関係

もう2年以上前の話になりますが京都で講演をしたとき、利用者に響くWebサイトにおける構成要素を幾つか紹介しました(スライドはこちら)。機能性や有用性のようなユーザビリティに関わる要素だけでなく、有意義や満足度といった感情に関わる要素も紹介しました。利用者へよい体験を提供したいと考えているのであれば、こうした感情的な要素は外せません。利用者にとって有益なコンテンツを提供しているかどうか判断する上でも感情的な部分はひとつの測定要素といえるでしょう。人間のもつ特性や要因を把握し、利用者に良いと思ってもらうようにデザインすることを「Desirability」と呼ぶことがあります。 あまり聞かない言葉ですが、Useful, Usable and Desirable: Usability as a Core Development Competenceという Desirability に関する記事をマイクロソフト社が公開しています。ユーザビリティへの影響力は非常に高く、気に入ってもらうことで多少使い難いサイトでも使い続けるといったケースも出てきます。ここでいう「気に入ってもらう」部分はビジュアルに大きく関わっており、美的センスが利用者にどう響くかによって、入り込み方も違ってくるでしょう。場合によってはユーザビリティに追求するあまり使うモチベーションが落ちることもありますし、見た目が使うモチベーションそのものということもあるでしょう。 では、ユーザビリティはユーザー体験を考えるにおいて Desirability ほど重要ではないといえば、そうではありません。ユーザビリティが Desirability に大きな影響を及ぼす場合があります。利用者は Webサイトが使い難くかったり、

ダウンロード

Bad Usability Calendar 2009

Netlife Researchが、毎年ユーザビリティの観点でやってはいけない項目を「Bad Usability Calendar」というカレンダー形式でまとめています。2005年から続いており、2009年版も今月初めにリリースされました。年々、翻訳される言語が増えているのですが、今回は「LOLspeak」なんてちょっと変わった系統まで用意されています。 去年カレンダーを日本語訳したのですが、今年もやってみました。既に日本語版も PDF 形式でダウンロードすることが出来ます。今回は以前よりさらにウェブアプリケーション向けという印象があります。Tips だけでなく話の話題になりそうなトピックも扱っているのも良いですね。英語ですが、細かいキャプションとかちょっと笑えるところもあります(残念ながらそこまで翻訳出来なかった・・・)。 余談ですが、去年撮ったこの写真が、Bad Usability Calendar のフォトコンテストで入賞しました。この写真をはじめ、世界中の方が使っている様子をマップで見ることが出来ます。これはこれでおもしろいプロモーション方法かも。

UI

iPhoneから学ぶユーザビリティの極意

iPhoneは、今までとは少し違った使い方や考え方を必要とするデバイスです。Appleらしい使いやすくするための工夫が随所見られますが、だからと言って万人受けするわけでもありませんし、僕のような Mac 使いとそうでない方とでは iPhone の捉え方は随分違います。Create with Contextはデザインリサーチを行っている会社で、iPhone 3G が発売された夏頃に iPhone のユーザーテストを行ったそうです。その結果は SlideShare に掲載されている「How people really use the iPhone」で読むことが出来ます。 iPhoneを聞いたことあるけどほとんど触ったことない方や、聞いたことなくて初めて使う方など、僕のようなヘビーユーザー以外を対象に行われたこの調査。タスク別に調査やインタビューも行われており、iPhoneのインターフェイスで具体的にどの部分で利用者が『躓いた』のかが分かります。シンプルで分かりやすいと思っていたアイコンも、実はそうでもないなと気付かされる部分も少なくありません。 スライドの終盤には、iPhoneアプリケーションを開発する際に気をつけておきたいこと8項目が紹介されています。以下がその意訳です。 習得した操作方法を利活用する インタラクションを一定に保つ 複数のウィジェットにも統一感のあるコンセプトをもつ アクションウィジェットは間隔を置いて配置する 不慮な操作時のときのことも考える

ユーザビリティ

年々検索されなくなっているユーザビリティ

検索語を比較・解析する Google Trends というのがありますが、それとは別で Google Insights というツールがあります。地域・時間枠などで検索語の傾向を調査出来るのが特徴です。ウェブマーケティングに役立ちそうなツールですが、検索をする人たちの趣向と自分の興味がどれだけマッチしているのか確かめるのにも使えそうです。 試しに「interaction design」「web analytics」「information architecture」「usability」というウェブサイト制作において重要なキーワードを入力してみました。以下がその結果になります。世界全体で調べた比較グラフ 日本語で同じように書くと違う結果になるかもしれないと思い、今度は「インタラクション」「サイト解析」「情報構造」「ユーザビリティ」と入力して調べてみました。以下がその結果になります。日本語で調べた比較グラフ 全体的な傾向は国内外それほど変わりませんね。特に興味深いのが年々 Usability / ユーザビリティの検索数が減ってきているという点でしょうか。検索する人たちは年々ユーザビリティに興味を失っているのか、それともユーザビリティのエキスパートは Google を使って検索しなくなってきているのか、ユーザビリティという言葉を使わずユーザビリティに関連した詳細なキーワードを使うようになってきたのか・・・このグラフを見ただけでは答えより疑問のほうが増えてしまいそうですが、興味深い傾向だと思います。

UX

UX を構成する要素と測定方法

ユーザーエクスペリエンス (UX) という言葉は、体験という意味も含まれていることもあり、曖昧で測定し難いもののように捉えがちです。作る私たちがよく使う言葉ですし、今やセールストークとして使われている場合もあるかもしれませんが、「じゃ、実際どうやって効果を報告するの?」ということになると、難しい課題です。しかし、主観的な感想を述べることだけが UX の測定方法ではありません。UX はウェブサイトやアプリケーションを構成するひとつの独立した要素ではなく、以下の 6 つの要素の集合体といって良いでしょう。 コンピュータとのインタラクション 情報構造 (IA) インタラクションデザイン ユーザーインターフェイスデザイン ユーザビリティ ビジュアルデザイン 上記に挙げた要素の中には、既に解析や分析がされているものもあると思います。つまり、今まで使ってきたツールやメソッドを採用し、それらを複合することで、UX を測定することは難しくないわけです。 まず、UX が改善されたらどうなるかを想像してみると、分かりやすいでしょう。Nielsen Norman Group が出している Usability Return

デザイン

ヤコブ博士が考える4つの悪いWebデザイン

10年以上経った今でもユーザービリティに関する興味深い記事を Web上に掲載しているヤコブ博士。今回は「Four Bad Web Design」というシンプルなタイトルで悪い例を4つ挙げています。Web designers don’t do what I told them to do 13 years ago (13年前に言ったことを未だに出来やしない) と少々強めのトーンで始まるこの記事。もちろん、人ごとだと思って笑えない深刻な問題でもあります。以下にヤコブ博士が見つけた4つの悪い例を挙げつつ僕の見解を書いていきます。 悪いコンテンツ デザインと関係ないと思ったら大間違い。デザインは文章から始まるといっても良いです。 魅力的な見た目であろうが、正しくマークアップしてようが、文章がおかしかったらすべて台無しになります。ヤコブ博士が出している例では必要な情報がないときがあると訴えていますが、あったとしても文章が伝わり難かったり回りくどかったりするときもあります。長い文章をクライアントからいただいたとしても、そのまま使う前に、編集したりカットするなど読みながら検討する必要があるでしょう。 先が分からないリンク クリックしたら何があるのか明確に分からない場合があります。記事では「

ダウンロード

Bad Usability Calendar 日本語版

2005年からノルウェーにある Netlife Researchが「Bad Usability Calendar」という PDF を配布しています。ユーザビリティの観点でやってはいけない 12項目を毎年用意して広くユーザビリティの重要性を訴えているそうです。始めた年はノルウェー語しかありませんでしたが、年々翻訳が増えて今年は 13カ国語になっています。 実は数週間前にこのカレンダーの日本語訳をつくって提出したんですよ。そしたら最近ダウンロード出来るようになりました。ちょっと文字の配置がおかしいですが、使えないことないです。A3 か A4 の紙に印刷出来るようになっており、自分のデスクの近くや会議室に貼っておくことも出来そうです。話しのネタにはなりそうなので、ぜひどうぞ。 ミコちゃんもユーザビリティくらい知っていると言っています。