もう2年以上前の話になりますが京都で講演をしたとき、利用者に響くWebサイトにおける構成要素を幾つか紹介しました(スライドはこちら)。機能性や有用性のようなユーザビリティに関わる要素だけでなく、有意義や満足度といった感情に関わる要素も紹介しました。利用者へよい体験を提供したいと考えているのであれば、こうした感情的な要素は外せません。利用者にとって有益なコンテンツを提供しているかどうか判断する上でも感情的な部分はひとつの測定要素といえるでしょう。人間のもつ特性や要因を把握し、利用者に良いと思ってもらうようにデザインすることを「Desirability」と呼ぶことがあります。 あまり聞かない言葉ですが、Useful, Usable and Desirable: Usability as a Core Development Competenceという Desirability に関する記事をマイクロソフト社が公開しています。ユーザビリティへの影響力は非常に高く、気に入ってもらうことで多少使い難いサイトでも使い続けるといったケースも出てきます。ここでいう「気に入ってもらう」部分はビジュアルに大きく関わっており、美的センスが利用者にどう響くかによって、入り込み方も違ってくるでしょう。場合によってはユーザビリティに追求するあまり使うモチベーションが落ちることもありますし、見た目が使うモチベーションそのものということもあるでしょう。 では、ユーザビリティはユーザー体験を考えるにおいて Desirability ほど重要ではないといえば、そうではありません。ユーザビリティが Desirability に大きな影響を及ぼす場合があります。利用者は Webサイトが使い難くかったり、