即興が超える領域の壁
これは、私が好きな動画のひとつ。
歴史に残る映画の名シーンは、俳優たちによる即興が数多くあります。ヒース・レジャーが魅せた「ダークナイト」の怪演や「タクシードライバー」の名台詞が即興というのは、知る人ぞ知る有名な話。25 の映画のシーンを見ながら、俳優達の想像力と演技力を堪能できる内容です。(英語ですが、簡単な解説がアノテーションに記載されているので、表示しながら観覧すると楽しみが増します)
映画好きなら見ておきたい動画ですが、即興について考えさせられる動画でもあります。
俳優は台本どおりに台詞を話したり、監督の指示通りに演技をすることが仕事ではありません(それを好む監督もいますが)。「俳優だから」と、自分の周りにラインを引かず、与えられた世界の中を自由に動き回ることがあります。即興は、その表れだと思います。即興は、脚本によって定められた領域に留まらず、ときには領域からはみ出ることもあります。うまくいけば、作品の世界観を広げたり、登場人物に深みを与えてくれることがあります。
俳優は即興を通して、自分の領域を広げるだけでなく、新しい世界観を築き上げることがあります。
即興は、デザイナーや、チームでモノを作る人たちにも必要な能力だと思います。肩書きによって、自ら領域を築いてしまい、それより外に出られないようでは、良いクリエイティブに結びつかないことがあります。Web やアプリのように、必然的に様々な専門家が関わる仕事だとなおさらです。
- デザイナーでもプログラムやマーケティングについて知っておく
- ディレクターでも指示だけではなく、手を動かせるようにする
- エンジニアでもデザインの基礎について学んでおく
- 肩書きを気にせず、全員参加でデザインについて考える場をもつ
肩書きから外れた経験や学習を積んでおくことが、即興に結びつくことがあります。
今は即興を許さない環境にいるのかもしれません。しかし、即興がある環境だからこそ良いクリエイティブが生まれるのは、映画の例をみても分かりますし、IDEO のようなデザイン会社をみても納得です。もしかすると、即興できないと思っているのは自身の頭の中だけなのかもしれません。
即興は、やろうと思ってやるものではありません。自分の専門分野以外について少し勉強しておくと、必要なタイミングで自然と即興が生まれるでしょう。