GIMPが提案するソーシャルUI

GIMP着実に機能を増やし続けているオープンソースの Photoshop 代替プログラム GIMP。他アプリケーションとの連携を考えると Adobe 製品で揃えた方が有利ですが、機能だけみると Photoshop のライバルと見なしても良いくらい充実しています。GIMPは Photoshop と同様、プラグインやアクションが共有されているので、ある程度の機能のカスタマイズが可能です。

高機能というのは嬉しいですが、それ故に使いたい機能がどこにあるか分からなかったり、どうやって使えば良いか調べるのも面倒だったりします。日本でも書籍は販売されていますし、日本語Wikiもありますが、手間がかかることから結局慣れたソフトウェアに戻ってしまうということもあると思います。

そんな課題を解決するかもしれない機能が AdaptableGIMP です。細かい説明は後にして、まずはビデオを見てください。

達成したいタスクを検索すると、必要な機能がツールバーに自動的に並びます。表示されたカスタムツールバーにはそれぞれ使い方を教えてくれるドキュメンテーションへリンクされているので、学習しながらタスクをこなすことが出来ます。よく Web で出回っているような Tips 集やハウツー系であれば、こうした AdaptableGIMP として取り込むことが出来そうですね。「角丸ボタンを作りたい」「古い写真のようにしたい」とか。

タスクは誰でも作成・共有することが出来、Webサイトから観覧できます。チュートリアルと GUI を組み合わせたようなコンセプトもおもしろいですが、誰でもツールバーを共有出来るような仕組みがあるのもオープンソースならではかもしれません。

一方、Adobe のほうも Configurator というツールバーを自由にカスタマイズするための機能を実装しています。Adobe Exchange のほうでツールバーを共有出来るようにしてあるみたいですね。Adobe は膨大な量のヘルプドキュメントがあるので、AdaptableGIMP と似たようなことは出来るかもしれません。

AdaptableGIMP は、上級者には必要のない機能ですが、使い始めた方やソフトウェアをじっくり学びたいという方には丁度良い機能です。開発者側が最適と考える UI を提供するだけではなく、利用者にカスタマイズさせるというのは、どのソフトウェアにもあります。ただ、AdaptableGIMP はそれをソーシャル(コミュニティ)という枠で行っているという点で、他にはないユニークな視点だなと思いました。

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。