4つの組織タイプから考えるデザインの始め方
「何から始めたら良いか分からない」「とりあえず試してみたけどうまくいかなかった」という方はフレークワークをヒントに効果的な施策は何か考えてみてはいかがでしょうか。
組織の特徴を理解してアプローチを考える
ある組織ではうまくいくことも、別の組織では空振りといったことはよくあります。例えば、組織 A ではカスタマージャーニーマップを作ることで課題共有がしやすくなったとします。この成功を基に組織 B で試してみたら、まったく響かないケースがあります。 UX デザインに限ったことではないですが、新しいことを始めるのが難しいのが、それぞれユニークな組織文化に合うアプローチを考え、実践しなければいけないところ。ベストプラクティスを実践しても成功しないのも、組織というペルソナを無視して手段を実行しているためでしょう。
いろいろ試して模索するのもひとつですが、少しでも組織の特徴を理解した上で施策をうちたいところです。組織の特徴を把握するための手段のひとつに Competing Values Framework(競合価値観フレームワーク)が役に立ちます。
Robert Quinn と John Rorbaugh が 1983 年に考案した組織文化を測定するために作られたフレームワーク。組織を「協調性重視」「創造性重視」「市場重視」「管理重視」と 4 分類するもので、それぞれに合わせて何をすれば良いか考え始めるのに便利なツールです。言い換えるなら、組織というペルソナのテンプレートのようなものと言えます。
実際はこの 4 分類に綺麗に収まることはなく、強弱のある組み合わせになります。しかし、上記のいずれかが強い場合が多いと思います。それぞれの特徴に合わせてUX デザインを始めるとしたら以下のようなアプローチが考えられます。
協調性重視
専門性が高い人材が多いものの、部署を超えたコラボレーションを重視する組織。コラボレーションするための仕組みや環境作りに力を入れる傾向があります。
- なるべく多くの人を巻き込む
- まめな情報共有を行い、どのように進んでいるのか途中段階も見せる
- ファシリテーターのような役割をもつ人がいるとドライブしやすい
- デザインスプリントのような参加者がオーナーシップがもてるような手法が効果的
創造性重視
来月には新しいことを始める可能性があるくらいスピード感がある組織。実験的・先進的なことにも積極的で、まず行動するタイプの方が多いです。
- とにかく始めることが重要(承認を待たない)
- ワークフローなど『型』を作るのが苦手
- ステークホルダーと一緒に作るなどスピードを上げる手段を模索
- プロトタイプのような成果物を通して意図や目的を明確にしていく
市場重視
競合に負けないように早く施策をうち、結果・成果を出すことを重視する組織。スピード感はあるものの、成果を出すための調査が欠かせなくなります。
- 競合調査やデータに基づいて説明する
- 効果測定ができる施策が受け入れられやすい
- 専門家を招いてレクチャー してもらうことが起爆剤になることも
- ビジネスモデルキャンバスのような市場とプロダクトの関係を視覚化することから始める
管理重視
一定以上の成果・結果を出すには何が必要か模索する組織。安定性を求めるので、新しいことより管理したりスケールできることを重視します。
- 縦割りかつ決済者の関わりが薄い場合があるので定期的な報告・共有が必須
- リスクや制度を大きく変えることを好まない
- スケールを見据えた『型(ワークフロー)』をセットに提案
- プロダクトだけでなく、組織の成長を評価するための指標を設ける
競合価値観フレームワークがあらゆる状況でも使えるとは言えませんが、「何から始めたら良いか分からない」「とりあえず試してみたけどうまくいかなかった」という方はフレークワークをヒントに効果的な施策は何か考えてみてはいかがでしょうか。