「セマンティックなマーク付けとメタデータの活用」に参加してきました
先週の土曜日になりますが、サイバーガーデンbiz主催、神崎正英さんによる「セマンティックなマーク付けとメタデータの活用」というセミナーに参加してきました。2時間半という長丁場でしたが、セマンティクウェブというスケールの大きい話なので、時間がいくらあっても足りない感じがしました。その中、神崎さんの見解も交えてコンパクトにまとまった内容だと思いました。
スライドは既に公開されているので参考にどうぞ。
何が簡単でシンプルなのか
今回のセッションで「簡単」と「シンプル」という言葉が何度も出てきました。神崎さんがこの言葉をどのような意味を含めて語っているのかが重要だと思います。例えば、クライアントや利用者のためにウェブサイトを作るという仕事をしている視点から「簡単」や「シンプル」という言葉を捉えるとすると;
- 実装コスト (時間とお金) が低い
- 実装に伴うリスクが低い
- 今使っているノウハウでどれだけ実装が可能か
以上のことを連想すると思います。もちろん、RDFa のことを学ぶことは、プログラミング言語に比べると簡単ではありますが、神崎さんは上記のことを踏まえて「簡単」と「シンプル」という言葉を使ったわけではないと思います。その言葉のもつ捉え方が異なると、結局セマンティックウェブは「難しい」ということになるかと思います。
言葉と言葉、意味と意味が繋がりあうことで、World Wide Web を通じたコミュニケーションをより豊かなものにする可能性を秘めているのがセマンティックウェブの基本的なコンセプトだと思います。それをマークアップという非常に単純な構造を利用することよって実現可能になります。従来、それが理論上の話であり、一種の理想論でしたが、それが実装可能な状態になってきた。しかも、実装の段階は様々だしアプローチも幾つか出てきています。プログラミング言語より簡単ですし、自分が出来る範囲内で実装出来るという意味で「簡単」ですし、意味付けマークアップをするだけというのも「シンプル」です。
※ 英単語をどれだけ知っているか知らないかでシンプル度に随分差が開きそうですけどね。
マークアップにバリューを
神崎さんが言う「簡単」と「シンプル」を理解したからといって、仕事に活かすことが出来るかといえば、またそれは別の課題です。最も導入がしやすい Microformats は自動生成ツールが充実しているとはいえ、アッという間に出来るものではありませんし、時間が必要とされるものです。また、マークアップは視覚的に映し出されませんし、現状特殊なツールを使うことでしか効果がないのも、実装に足踏みしてしまいがちです。
セマンティックウェブだけでなく、SEO、アクセシビリティ、ユーザビリティにおいてマークアップはとても重要です。先月のセミナーでも指摘しましたが、マークアップはビジュアルデザインをブラウザ上に表示させるための枠組みという要素が強い場合があります。開発行程の一番最後にマークアップがある間はセマンティックウェブはもちろん、高いウェブアクセシビリティの提供も難しいでしょう。行程の見直し、そしてマークアップの価値を高めることが今後の課題といえます。
将来、マークアップのある程度の自動化は出来ると思います。ただし、書かれている文章を機械でも分かるように『翻訳』する作業は人間が行わなければなりません。セマンティックウェブの考え方はマークアップの価値を高めるひとつの要因になるかと思います。
「セマンティック HTML/XHTML」は読み物としては難解ではありますが、他の技術書にはない切り口からセマンティックウェブの話に繋げて行く文章や構成は素晴らしいなと感じました。丁寧に書かれていると同時に、神崎さんのセマンティックウェブに対する熱い思いが伝わりますし、それが結果的に情報の幅とボリュームとして現れているのではないかと思います。
あと今回は、久しぶりにセミナーのメモをスケッチ致しました。Twitterで実況中継もリアルタイムならではのおもしろさがあるので好きですが、絵にして残すのも楽しいですね。
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