先週告知しましたが、電子書籍「エクスペリエンス ポイント」が本日発売になりました。以下のストアで購入することができます(ストアの製品ページへの直リンクです)。

書籍制作にあたり

以前から、このサイトの運営において 2 つの課題がありました。ひとつは、マネタイズの方法です。幾つかの広告ネットワークからのお誘いをいただいたことがありましたが、コンテンツより優先させる形で広告を掲載しなければならなことに納得できませんでした。また、ページビューが基になっている広告モデルだと、ページビューを重視してしまい、コンテンツの質やクリエイティブにも影響するかもしれないという懸念もありました。そこで、広告以外の方法を模索していたのですが、決定打が見つからない状態でした。

もうひとつの課題は、読者の視覚化です。 Google Analytics のようなツールを使えば、マスとしての読者は把握できるものの、彼等がどのようなことを考え、何を求めているのかが分かりません。そして何よりも、その読者がロイアリティのあるのかどうかが分かりません。 Facebook ページを作れば良いじゃないかという意見もあるかもしれませんが、何をもって Like しているのかが分からないですし、キャンペーン化してしまうと、Like の重みはそれほどありません。これではロイアリティの高い読者が誰なのかの把握が難しいです。

こうした課題を抱えながら、サイトを運営していたのですが、転機がきたのが昨年でした。ひとつは電子書籍が、日本でも普及の兆しが見えてきた点。専用の eインクの電子書籍リーダーでなくても、高解像度のデバイスをつかって読むのがそれほど苦でなくなってきました。アプリと同様、きちんとパッケーンジングすれば売ることは難しくないという土壌もでてきました。

Storify電子書籍のサイトは週末をつかって制作しましたが、この仮定を Storify のほうでまとめてあります。興味があればぜひ。

また、ソーシャルメディアも使い方次第で、誰がロイアリティがあり、彼等に向けて自分なりの『サービス』を提供することが可能になったのも、私の中で大きな転換でした。10,000 人の顔の見えない数字だけの読者ではなく、100 人くらいだけど、顔と名前が分かる世界は、違って見えます。顔が分かれば、受動的な読者から、能動的なアクションをとれる人も見つけやすくなります。現在は休止していますが、昨年のブッククラブは、読者の顔を確かめる上で、非常に有意義なイベントになりました。

実は、今回の電子書籍は、私が知っている読者の力を借りて作られています。私がもっているデバイスはほんのわずかですし、使わないアプリもたくさんあります。また、誤字・脱字もすべて見つけれるわけではありません。顔の分かる、自分が知っている方々に声をかけたら、協力者はすぐに集まりました。テストをしてくださった方、具体的な提案や、スクリーンショットまで送ってくださった方もいます。ひとりで電子書籍を作ることはできます。しかし、今の質まで高めることはできなかったと思います(もちろん、キリのない作業ですけど)。

今回の電子書籍は、私の中で抱えていた 2 つの課題へのひとつの回答だと思っています。顔が見えなかった読者が見えるようになったから、作ることができた電子書籍です。この電子書籍で稼げるとは思っていませんが、今後のコンテンツの質の保持と向上には繋がるはずです。また、Web と電子書籍のサイクルができれば、読みたいテーマでまとめて読むというスタイルを選ぶことができるようになります。

ぜひ、購入を検討してみてください。