UIだけでもデザインできる理由
UI(ユーザーインターフェイス)は、いつの頃からか魅力的な視覚要素が含まれた GUI として語られるほうが多くなりました。これはある種、デザインを装飾としてのみ捕われてしまう状況と似ているところがあります。
では、ユーザーインターフェイスとは一体何なのか。スケッチしてみました。
昔からあるデスクトップでも、Google Glass のような未知のデバイスでも、人とコンピュータの関わりは必ずといっていいほど発生します。
人が何かをインプットすることで、コンピュータは処理したデータをアウトプットして人に伝えます。ユーザーインタフェイスとは、人のインプットを助長したり、コンピュータが処理したデータを人が理解できるようにアウトプットする役割を果たします。つまり、人が操作するコンピュータとの関わりを円滑なものにするのがユーザーインターフェイスの基礎と捉えることができます。UI を HCI (Human-Computer Interface) と言い換えることがありますが、UI とは表層的な絵を指すだけではなく、関係性を設計するものというのが分かってきます。
- 人はなぜ、そのシステムに触れようとしているのか
- 彼等の何を期待して操作しているのか
- インプットする手順はあるかどうか
- インプットするための具体的な方法は何か
- アウトプットするために必要なデータはなにか
- インプットに対する適切なアウトプットの形式はあるか
- アウトプットに気付いてもらう表現はなにか
人とコンピュータの関係を円滑なものにするには、上記のような課題に応えなければいけません。GUI はそのうちの幾つかの課題に応えてはいるものの、すべてではありません。また、見た目が良いからといって、インプットがしやすかったり、アウトプットが理解しやすいとも限りません。私たちは広義の UI の視点から GUI をもっと観察する必要があるでしょう。様々な GUI を観察することで、デザイナーがどのように関係性を考慮して視覚化しているのかを考える機会を与えてくれます。
「UI だけ」と書くと語弊があるかもしれませんが、私は UI だけでも素晴らしいデザインの道筋が開けると思っています。また、上記の課題を前提にして UI 設計に取り組むことは、利用者の心理・行動や環境について考えるキッカケを与えてくれます。それは UX であると捉えることは出来ますが、掴みどころがない広い意味をもつ UX という言葉を用いるより、UI の意味を見直した上で考える方が分かりやすいときがあります。
GUI という観点から UI をデザインするのであれば、装飾で終わって面白くないかもしれません。しかし、人とコンピュータとの関係性を設計するという意味合いから UI を捉えるのであれば、深く面白い領域になると思います。