iPhoneから学ぶユーザビリティの極意

iPhoneは、今までとは少し違った使い方や考え方を必要とするデバイスです。Appleらしい使いやすくするための工夫が随所見られますが、だからと言って万人受けするわけでもありませんし、僕のような Mac 使いとそうでない方とでは iPhone の捉え方は随分違います。Create with Contextはデザインリサーチを行っている会社で、iPhone 3G が発売された夏頃に iPhone のユーザーテストを行ったそうです。その結果は SlideShare に掲載されている「How people really use the iPhone」で読むことが出来ます。

iPhoneを聞いたことあるけどほとんど触ったことない方や、聞いたことなくて初めて使う方など、僕のようなヘビーユーザー以外を対象に行われたこの調査。タスク別に調査やインタビューも行われており、iPhoneのインターフェイスで具体的にどの部分で利用者が『躓いた』のかが分かります。シンプルで分かりやすいと思っていたアイコンも、実はそうでもないなと気付かされる部分も少なくありません。

スライドの終盤には、iPhoneアプリケーションを開発する際に気をつけておきたいこと8項目が紹介されています。以下がその意訳です。

  • 習得した操作方法を利活用する
  • インタラクションを一定に保つ
  • 複数のウィジェットにも統一感のあるコンセプトをもつ
  • アクションウィジェットは間隔を置いて配置する
  • 不慮な操作時のときのことも考える
  • マルチタッチに頼りすぎない
  • タップ時に視覚的に分かる効果を加える
  • アフォーダンスのあるインタラクションを提供する

上記の項目を見ても分かる通り、iPhoneアプリ開発だけでなく、ウェブサイト制作全般にもいえることが少なくありません。特に「不慮な操作時のときのことも考える」というのは重要ですね。たくさんユーザーテストをしたり、UIを模索しても、来訪者すべてにとって使いやすいサイトを作るのは不可能ですし、利用者も勘違いや単純なクリックミスによって求めていない場所へ移動してしまったり、エラーを出してしまうことはあります。人間なのでそういったミスが出てしまうのは当然です。そういった際に、どう軌道修正してやり直したり改善出来るのかを知らせてあげるための設計が必要でしょう。

洗練されていると言われている Apple のアイコンもすべてがクリックした時の次のアクションを伝えているものではありません。アイコンで表現したコマンドと、利用者がアイコンをみて想像したアクションとの違いが「驚き」や「躓き」に繋がってしまうこともあります。コマンドを単に視覚化するのではなく、コマンドを選択した時に何が起こるのかを視覚化することにも注目したほうが良いかもしれませんね。

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。