先週のセミナーで、ページ遷移ではなくデータがどのようにフローしていくのか想像しながらサイトデザインが必要になってくると話しました。近年、ページもしくはひとつのサイト内の情報設計だけでなく、ウェブ全体でその情報はどう扱われるのかという視点も加わったと思います。RSSやAPIはその始まりの段階だといっても良いでしょうし、こうしたセマンティックウェブ的な技術はブラウザの一部の機能として取り込まれたり、技術を意識することなく使えるようになってきています。

Microformatsは、徐々に広がりつつあるマークアップ方法ではありますが、具体的な実用例やツールが少ないということで制作者側も足踏みしている状態です。そんな中、先日マイクロソフトが Oomphというツールキットをリリースしました。そうです、Web Slice を作っているマクロソフトが Oomph です。

このツールキットは、IE用のプラグイン、hCard, hCalendar の HTML/CSS テンプレート、そしてページ内に Microformats があるとハイライトして他のサービスでそのままデータを利用出来るjQuery と組み合わせたツールがセットになっています。IE用のプラグインをインストール後、Microformats でマークアップされたページを表示すると、アイコンが点灯します。クリックすればページ内の Microformats し、地図を表示したりアドレス帳に追加するといった Firefox 用 Plug-in である Operator と近い動作をします。JavaScript で作られた摘出ツールは、IE用プラグインと同等の機能をページ上で行うもので、こちらのページでどのように使えるか見ることが出来ます。

Microformats のことを最初にセミナーで話したのは3年前でした。そのときから「これは広まるのか?」という質問をよく聞きますし、今でも変わらずあります。簡単とはいえマークアップにかかるコストがあるので、無料で出来るものでもありません。広まるか広まらないから「業界」という名のトップ層ではなく毎日マークアップしている制作者ひとりひとりにかかっています。Microformats そのものがボトムアップで仕様を作ったり啓蒙活動をしているのと同じことがいますね。

また Microformats は将来もっと「広まる」と思いますが「デファクト」という存在にはならないと思います。Web Slice を作っているマイクロソフトがあえて Microformats 用のツールを提供しているのを見ても分かる通り、これは最終的にひとつに集約されるというものでもないと思います。

サイトに訪れたい人もいれば、RSS技術を利用したアプリケーションやサービスを使って情報を観覧したい人もいます。ウェブの使い方、関わり方が多様化しているわけです。利用者がデータを使って何かしたい(例えばイベントをカレンダーにすぐに追加したい)ときに、そのサイトはワンクリックで出来るようにしているかどうかです。RSSもそうですが、Microformats は、インターフェイスで見える分かりやすいものでもなければ、「自己主張」するものでもありません。ただし、欲しいと思ったときにそこにあると便利なひとつのチャンネルだと思います。

利用者が「こうしたい」と思ったときに、サイトが提供出来ているかどうか。多様化されているウェブの利用方法に合わせて、サイトも多様なチャンネルが必要です。そのひとつとして Microformats は欠かせない存在だと思います。

Operator は、Microformats の可能性を示すひとつのショーケースであったように、Oomph も新たに加わった素晴らしいショーケースです。摘出するための JavaScript が記述されたページを見るだけでも価値アリです。