マイケル・ムーアが2004年のアメリカ大統領選挙を前に、全米62カ所をツアーした模様を映し出したドキュメンタリー映画。その年は「華氏911」が公開されるなど、精力的に政治的活動を行っていたムーア監督。大学生を中心とした若い世代へブッシュに投票しないよう呼びかけるために、共和党色の強い州や激戦区になっている地域で演説を行いました。彼のドキュメンタリー映画は賛否両論があると思いますが、彼のアクションや批判を恐れない勇気は尊敬してしまいますね。

プロパガンダと言われることもありますが、ジャーナリズムと名ばかりでブッシュ政権への客観的な批評や、詳細な調査を怠っていたアメリカの報道にも問題があったと思います。それゆえ、ムーア監督がドキュメンタリー映画を作って議論の場を作っているのでしょうし、本当は彼がわざわざ作ることもなかったのかもしれません。名ばかりのジャーナリズムは何もアメリカだけではないと思いますが、違いはムーア監督をはじめ数々の声とそれを発する勇気を持つ人々がアメリカにはいるということなのでしょうか。

肝心の映画のほうですが、ミュージシャンのライブDVDを見ているのと同じような感じでした。彼特有の編集やカットもなければモノローグもありません。BGMも使い回しがあったりして単調な感じがしました。もちろん、ありのままの姿、特に講演を支えた若い世代の方達の声を反映するという意味では今のようなのが良いのかもしれませんが、見ている側としては少し物足りない気がしました。

この映画はインターネット上で無料で公開されたことで一時期話題になりましたが、現在はインターネットだけでなく、本編に幾つかの特典が付いている DVD も購入することが出来ます。オンライン上で無料もしくは低価格で提供するという形は音楽ではありましたが映画でも登場ですね。無料化が進むとは思えないですが、クリエーターが出したいときにすぐに出せる場が増えているのは良いことかなと。