Opera Japan のパネルディスカッションに参加しました
数日前の話になりますが、Opera Japan にて社員向けのパネルディスカッションが開催され、スピーカーとして招待されました。林 信行さん、ミツエーリンクスの木達さんに並んで一緒に話すことが出来て恐縮でしたが、こんな機会はまずないので楽しんで参りました。Opera が示すことが出来る日本のプレゼンスに関するディスカッションもありましたが、Opera というひとつのブラウザに捕われない大きな話もありました。
HTML5 がこれからWebアプリケーションにどのような影響を及ぼすのか、そして使える環境が整えられ始めている現在においてデザイナーや開発者はどのような姿勢をとっているかといった話は多くの時間を費やしました。ジャーナリストから見た視点、大規模の Web サイト制作会社の視点、そしてひとりの Web デザイナーの視点がそれぞれあり、興味深い展開でした。どの視点をとっても「なぜ」HTML5 や CSS3 を使うのかではなく「いつ」「どのように」のほうが課題という印象がしました。Progressive Enhancement の意識調査と共通していえることですが、作る側が重要性を理解していても、クライアントや利用者に対しての提案の仕方が模索されきれていないのが現状です。このあたりがクリアになることで導入サイトの増え方も変わってくるでしょうね。
また、技術視点での提案ではなく利用者視点の提案も必要です。DHTML や Ajax が流行った時期もそうでしたが、無闇に技術が使われたサイトはたくさん登場しました。これはきっと HTML5 だけでなく @font-face でも同じようなことが起こると思います。多くのサイトが『間違い』をすることで結果的に他のサイトが洗練されてくわけですが、デザイナーとして技術視点ではない良い提案が出来ると良いなと思っています。
Opera というブランドに捕われないで自由な Web 話をするのは楽しいですが、ディスカッション中に「Opera はノルウェー的な部分があるのか?」という質問を投げてみました。Safari や Chrome はアメリカを象徴しているわけではありませんが、開発している会社を象徴しているソフトウェアになっていると思います。同様に Opera も企業の性格やノルウェー的な部分があるのかなとふと思いました。ノルウェーの方だけでなく、スウェーデンの方や他のヨーロッパ諸国の方もいたので見解を聞くには良い機会かなと。
ひとつ出て来た返答の中で興味深かったのが、Opera はヨーロッパ的な部分があるかもしれないという意見でした。すべてのヨーロッパ人にいえるわけではありませんが、多くの人は原則、信条、倫理的な部分を何よりも重んじるとのことでした。確かに Opera はオープンフォーマットのサポートを強調している印象がありますし、オープン Web の思想と直結している機能が多いですね。強い姿勢が時に様々な機能を他のブラウザよりいち早く導入する要因になっていると思いますし、逆にシェアが増えない理由になっているのかもしれません。
もちろん、文化や思想ですべてを語ることが出来ませんが、Web という範囲に限定して語ることは難しいことが多いと思います。ブラウザもそうですし、Web デザインでも言えることです。
英語でのディスカッションだったので少し大変でしたが、あっという間に時間が過ぎてしまいましたね。社外から人を招待してディスカッションが出来る Opera Japan はスゴいなと思いましたし、こうした機会を与えてくださったことに感謝しています。現在を踏まえた未来を語るのは楽しいですね。