私のポッドキャスト録音と編集のやり方
続けるために楽をする
おかげさまで Automagic Podcast は 2019 年 7 月上旬で 250 回を迎えました。年々ゲストのバラエティが広がってきているおかげで、リスナーは今でも増え続けています。誰かに会うと「聞いている」と言われるので大変嬉しいです(恥ずかしいですが)。
ポッドキャストだけでなくブログにも言えますが、続けるためには無理のない仕組み作りが欠かせません。始めた頃はパソコンの内蔵マイクで録音して Audacity で編集という完全無料体制。機材や環境は徐々に充実させていますが、常に「どうやったら楽に続けられるか」を考えています。音に関して詳しくないですし、他のこともやりたいので力を注げない(注ぎたくない)のが理由かもしれません。
また、ゲストを呼ぶ形式の番組特有の難しさがあります。
- 会って話すのがベストだけど時間と場所の拘束が増えてしまう
- 1 回きりのゲストもいるので機材・設定を整えて欲しいとは言えない
- ゲストとして来てもらうだけでもありがたいので、向こう側で設定しなくても録音をすぐスタートさせたい
こうした理由から収録は基本 Skype を使ったオンラインのみにしています。これにより移動時間の削減だけでなく、東京以外の方もゲストとして呼ぶことができます。私も 1, 2 時間の拘束なので予定が入れやすいです。他にゲストに用意していただくのはイヤホンのみ。Skype も特別な設定をする必要もないので、ゲストは特に何も用意することなく普通に使っていれば収録が完了するという流れになります。
仕組み化でデメリットをカバー
私もゲストも気楽に録音ができるのがメリットですが、デメリットがゲストの音質が下がるところ。ゲスト側で QuickTime 録音してもらうなど手段がありますが、 Windows だと同じようにはいかないですし、慣れない作業をしてもらうことで時間の無駄になることもあれば、テクニカルトラブルも考えられます。
こうした理由からゲストはポッドキャストに参加していただく以外何もしなくて済むようにしていますが、収録の工夫で少し解決することができます。
まずできることは、マイク(私の声)と Skype (ゲストの声)を別々の音声ファイルとして収録すること。昔から使っている Audio Hijack で別々に収録するためのワークフローを作っています。 Audio Hijack はパソコンで使えるミキサーのようなアプリで、パソコンで扱うあらゆる音源の録音に使えます。Audio Hijack で下図のようなテンプレートをあらかじめ作ってあるので収録時間の 5 分前から準備しても間に合います。
Audio Hijack 用ポッドキャストテンプレートのダウンロード
万が一 Skype が使えないゲストがいても、音源にしているアプリを別のに切り替えれば設定が完了するのも便利なところです。
音声ファイルを別々にしておけば、ゲスト側で気になる雑音や音の調整がしやすくなります。例えばノイズを消す作業もノイズ除去などの機能を使えば、気になる雑音はある程度消すことができます(無料で使える Audacity にもあります)。自動ツールで排除できないノイズはスペクトル表示で消すこともあります。
音声の編集は Adobe Creative Cloud を使っているので Adobe Audition を選んでいます。Audition にはテンプレートと呼ばれる一連の操作を自動化する機能があります。例えばノーマライズのような音調整は必ずするので、テンプレートとして保存します。また、マルチトラック画面での編集もエフェクトのプリセットが作ってあるので、いつも変わらない自分の声はプリセットに任せてゲスト側の編集に時間を使うようにしています。
まとめ
自分には合わないから辞めるのであれば、それで良いと思います。ただ、続けなければ分からない知見があるのも事実。コンテンツ配信の難しさ(面白さ)を学ぶ良い機会ですし、量と質のバランスを自分なりにどう折り合いをつけるかといった考え方はデザインの仕事にも役立ちます。
今回紹介したポッドキャストの収録・編集の考え方は「周りに負荷をかけずに続けるためにはどうすれば良いか」という課題に対して導き出した自分の回答です。人によって量・質のバランス感覚も違えば、コンテンツ配信によって得たいことも異なります。ただ、リスナーというコンテンツを受け止めてくれる相手がいてこその媒体なので「習作だし飽きるかもしれないけど、登録お願いします」だと少々自分勝手だと思いますし、だからこそ続けることを重要視しているのかもしれません。
私の知っている方も含め、 Web / UI / UX デザイナーがポッドキャストを始めてくれて大変嬉しいんですけど、頼むから10回は続けてくれ。デザイナーだからなのかもしれんが、質にコダワリ過ぎて続かないケースをよくみる。最初は続けられる緩さが必須よ。質は続けながら少しずつ上げた方が良いよ。
— Yasuhisa🥴 (@yhassy) July 23, 2019