ポストCMSの世界

従来のCMSは大きすぎる

従来の CMS をつかった Web サイト制作は、様々なレイアウトパターンを制作し、そこに集めてきたコンテンツを表示させるというものでした。コンテンツを MySQL のようなデータベースに格納し、それをアプリケーション側で整理や連携を行い、指定したテンプレートに書き出していきます。コンテンツの格納、操作できるアプリケーション、表示させるテンプレートという 3 つの要素をもつことが CMS の特徴といえるでしょう。

しかし、これらすべてが含まれていることが今後の CMS の姿とは言えなくなってきました。コンテンツ、アプリケーション、テンプレートという Web サイト制作のための要素が、すべてひとつのシステムによって管理されているのは作る側にとって効率的で便利ですが、運営側にとって不都合なことが幾つかあります。

  • 別システムへのコンテンツの移行が難しい
  • 機能追加が必要な場合、CMS向けに独自開発が必要になる
  • テンプレートも独自開発が必要で、組み込み作業も発生する

オールインワンで様々な操作ができる利便性はありますが、ひとつのシステムに監禁状態にされると言ってもいいかもしれません。マルチデバイス化だけでなく、ソーシャルメディアやオフラインなど Web サイト以外できめ細かなコンテンツのコントロールが必要な現在、ひとつのシステムに頼りきった運営は、スピードと柔軟性を失うことになるかもしれません。

現在出回っている CMS が大きすぎるからこそマイクロCMSが注目されているのでしょうし、Jekyll のようにデータベースを必要としないフラットなデータから Web サイトを生成するようなツールを採用するところが増えているのでしょう。

縛られない制作と運営

では、ポスト CMS の CMS は、どうのような姿をしているのでしょうか。

実は既にその一部をみることができます。今年 3 月に登場した Metalsmith は Node.js で作られたシステムで、プラグ&プレイで小さな機能を追加していくことができます。言い方を変えるならば、CMS に関わるすべての機能がプラグインと見立てて作られています。

ポスト CMS の CMS とは、現在のオールインワン CMS とは真逆の存在にあるものと考えています。

Metalsmith の場合、データベースもない、テンプレートもない、操作するためのアプリケーションレイヤーを組み立てる仕組みだけを提供するものになっています。これにより、好きなデータベースを選ぶことができるでしょうし、Markdown や JSON ファイルでも良くなります。テンプレートに独自の癖がなくなれば、制作の効率化に繋がるだけでなく、きめ細かなデザインの改善もしやすくなります。

他にもコンテンツの格納を専門にしたシステムもでてきています。OsmekWebhook はその一例で、システムへ格納したデータを API でアクセスし、書き出すことを可能にしています。表示するためのシステム、フレームワーク、言語は各社好きなものを選ぶことができます。コンテンツとシステムが完全に分離されているので、新しい形状のコンテンツ配信が実現しやすくなります。

従来の CMS もオールインワンの存在から少しずつ変わろうとしているところがあります。例えば、Movable Type 6 から実装されている Data API は管理画面へログインしなくてもコンテンツへ直接アクセスできることができますし、テンプレートも MTML という独自マークアップ言語で作る必要もなくなります。他の CMS も似たようなアプローチを取り始めているのも、ポスト CMS 時代が来ていると実感しているからかもしれません。

これだけ CMS の姿が進化し続けているものの、コンテンツの移行や連携には課題が残ります。例えば Osmek のようなサービスが閉鎖される場合、コンテンツ移行や、Web サイトとして書き出す作業は従来のより困難になる可能性もあります。まだ課題は幾つか残されているものの、すべてのシステムでコンテンツの管理や書き出しをすべて行うという考え方は少しずつ変わっていくでしょう。

Movable Type Advent Calendar 2014