SEOも人間中心

Google のパンダアップデートでは「コンテンツの質」が順位に大きな影響を与えます。2011年のリリース以来、コンテンツの質を順位に反映させるための改善が続けられています。SEO を考える上で今でも正しいマークアップや文書の構造化は重要ですが、今まで以上に機械ではなく、人のためにコンテンツをつくるという視点が欠かせなくなります。

つまり、人気がでるコンテンツを作れば良いというわけではなくなることを意味します。当然、一時的にランクを上げることができますし、SEO としても良いことのように見えます。しかし、その人気のあるコンテンツが、自社の製品やサービスとは関係のないものだったとしたらどうでしょうか。パンダアップデートでは、コンテンツの質を「信頼できるかどうか」で判断しています。一時的な人気は、中・長期を見据えた信頼には繋がるとは限りません。これは Google だろうが、人だろうが変わりません。

検索もデザインも「人のために作る」ことがますます重要になってきている現在。以前から SEOとデザインは密接になると考えていましたが、まさに現実的になってきています。

それでは、実際に何をすれば SEO のノウハウをデザインやコンテンツ運営に活かせるのでしょうか。

キーワードからストーリーを

キーワード調査は SEO の基本中の基本の手法ですが、デザインにも役立つ工程です。キーワード調査をすることで、利用者が自社の何を求めてサイトを訪れているのかを知ることができます。キーワード調査をしていて面白いと感じるのは、何を入力しているのかを知れる点ではなく、キーワードを通してどういった人が何を考えて訪れているのかを知ることができるところです。つまり、ペルソナを形成するためにキーワード調査は非常に役に立つことを意味しています。

たとえ同じ製品を探していたとしても、人によって重要視しているところが異なれば、目的も異なることがあります。ひとつの製品・サービスでも様々な切り口で伝えることで、特定のプロフィールに合ったコンテンツやデザインを設計することが可能になります。Google Analytics、又は Webmaster Tools でキーワードを収集して、それらのキーワードを通して何処へアクセスしているのかを把握していきます。

多くの場合、企業名・製品名が高い頻度で検索されていますが、それ以外で何があるのかを拾うようにすると、より利用者像が明確になります。Google Analytics であれば、ブランド名を省いたキーワード、ランディングページ、CTRをまとめたカスタムレポートを用意しておくと良いでしょう。

インプレッションや、クリック率が高いキーワードは注目に値しますが、そのキーワードを扱ったコンテンツを作れば良いというわけではありません。あくまでキーワードは人間像を知るための要素として捉え、コンテンツ作りもキーワードをちりばめるのではなく、キーワードから導き出された人間像に向けて作る必要があります。彼等が興味を示し、コンテンツを共有したり、コンバージョンへ繋がるといった行動に移らなければ意味がないわけです。

例えば本サイトでは以下のキーワードが、インプレッションが多く CTR も高いです(サイト名や名前は省いています)。

  • OmniGraffle
  • スタイルガイド
  • ペルソナ設計
  • ワークショップ 進め方
  • デザインプロセス

これらのキーワードを見ると、「もっと OmniGraffle の記事を書けば良い」「スタイルガイドの事例をたくさん紹介しよう」ということになります。それもひとつのコンテンツ案としてアリですが、見つけたキーワードから以下の人間像を導き出すことができます。

  • 制作サイドのチームを率いたり、クライアントと直接対話をする存在
  • キーワードの使い方が詳細で明確なので、Web リテラシーが高く目的の情報があるかどうか即座に判断できる
  • 作り方に興味はあるものの、作る前の段階(設計や準備)に高い関心を抱いている

上記の人間像の期待に応えるコンテンツやデザインを提供することで、検索エンジンはもちろんのこと、読者のリピート率を上げることにもなります。本サイトでは新規と再訪問者ではエンゲージメントが異なりますが、信頼できるコンテンツを提供できているかどうかの指標にもなっています。

キーワードから人間像を導き出すことを意識することで、以下のことに役立てています。

  • 意図や利用シーンを明確にしたペルソナ設計
  • キーワードを分類し、設計した何人かのペルソナに割り当てる
  • キーワードのインプレッションと KPI を比較し、ターゲットにするキーワードかどうかを見極める
  • キーワードからコンバージョンに繋がっているページが、適切なかたちで語られているか評価する
  • ペルソナが求めるコンテンツはなにか、彼等が納得できる装いや振る舞いを考える

キーワードだけで人間像を決めつけることはできませんが、使われている検索キーワードは彼等が日常に使う言葉で入力された『生の声』です。キーワードをコンテンツのネタとして考えるだけでなく、キーワードを人間像を描くヒントとして捉えることで、サイト運営やデザインの方向性が導きやすくなるでしょう。