決して使いやすいとはいえないタッチUI

iPhoneの登場以来、国内外問わず多くのスマートフォンがタッチスクリーンを採用しはじめています。これからのユーザーインターフェイスはタッチスクリーンだと感じている方もいるかもしれませんが、利用者はどのように感じているのでしょうか。Canalysという調査会社がヨーロッパのモバイルユーザーにタッチスクリーンに関する反応をまとめています。

Survey reveals extent of shift in mobile UI preferences

この調査によると、次のモバイル機器の購入の際、指で操作するタッチスクリーンにしたいと考えている方は 38% にのぼり、スタイラス式(16%)の購入を考えている方を大きく上回ります。このようにタッチスクリーンの注目度は高いですが、既にタッチスクリーンの携帯電話を利用している方の反応は少し違います。Canalys の調査によると、47%の利用者が次の購入の際は同じ UI のものを利用すると応えています。言い換えれば半数以上がタッチスクリーンに満足をしていない可能性があるといえます。iPhone や HTC ブランドの携帯電話の方は高い割合で使い続けたいと応えているのに対し、Sony Ericsson のタッチ携帯は 29% と低い結果にもなっています。

タッチスクリーンにすることでより柔軟で多様なインプットを可能にしますが、ボタン式のように誰もが馴染んで使える UI とはいえないようです。今 iPhone で流行しているゲームは特にそうなのかなと思います。iPhone の特性を活かしたオリジナルゲームは良いかもしれませんが、従来のゲームの移植版だとボタンをたくさん押したりカーソルで移動するものが多かったりします。そのときボタンのような触感がある UI のほうが咄嗟の判断も含め操作がしやすいです。もちろん慣れという部分はあるでしょうけど、ひとつの課題ではあります。

iPhone や Palm Web OS をはじめ多くの携帯デバイスの UI は、タッチスクリーンを徹底的に研究してつくられたものばかりです。しかし、一般の利用者に使われ始めたのはここ数年と比較的新しい技術ですし、使われて初めて分かることも少なくありません。今後、幾つかの企業が新しい提案をしてくると同時に共通の UI パターンも増えてくるでしょう。そしてもしかすると、iPhone をはじめタッチを売りにしている携帯電話もボタンが少し増えたものを発売するのかもしれません。タッチ UI は便利な場合が多いですが、触感に頼らなければならない部分もあるので、そのあたりのバランスをどう形にするのかが興味あります。

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。