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すぐに使えるノウハウではなく、「なぜそうなっているのか」を考える記事を書いています。デザインの仕事で感じるモヤモヤに、構造から向き合いたい人のための場所です。
Webを活用したマニュアルの役割とは
先週、新宿で開催されたテクニカルコミュニケーションシンポジウム2010 [http://www.jtca.org/symposium/index.html] にて、パネルディスカッションのパネラーとして参加させていただきました。Web技術やデザインに関連する話ではなく、ネット社会のいまとマニュアルのこれからを考えるという内容でした。マニュアル(テクニカルライティング)という世界はあまり詳しくありませんでしたが、出演のオファーをいただいた2ヶ月前から調査・勉強をし、このサイトでも紹介しているような情報を交えて話に加わりました。 そもそもマニュアルとは? 電子書籍でもハマる問題 [http://www.yasuhisa.com/could/article/metaphor-usability/] ですが、今までのマニュアルの見た目・印象を活かしつつ電子化してしまうと、紙のように見えて紙ではないよく分からないデジタルマニュアルになります。「よりリッチに」ということでインタラクティブなコンテンツが盛り込まれた CD-ROM が同封される場合もあります。しかし、そんな形ではマニュアルの電子化に
紙の漫画とは違う電子漫画の可能性
先週、集英社の漫画雑誌「ジャンプSQ.」が iPad アプリとして無料配信 [http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1008/17/news061.html]されました。他にも Yahoo!コミック [http://comics.yahoo.co.jp/promo/appli/iphoneos/] や eBookJapan [http://www.ebookjapan.jp/ebj/index.asp] のように漫画をたくさん読める場も日本で増えて来ています。iPad は単行本に比べて少し大きいので見やすいですし、文字数が少なくサイズもあるので、雑誌のレイアウトをそのままスキャンしたようなものに比べて読みやすいです。漫画の電子書籍というジャンルであれば携帯電話が先取りしていますが、スクリーンのサイズと独自のインタラクションを加えることが出来るという点で、iPad をはじめとしたタブレット向けの漫画は雑誌より先に広まりそうです。 iPad くらいの大きさ(もう少し小さくてもいいです)
組み立てるだけのサイト制作プロセスを変えるヒント
書籍や雑誌をはじめとした印刷物。TVやラジオで見られるような広告。デスクトップで動作するソフトウェア。これらの制作プロセスは Web サイト制作において影響を与えてきてモデル。テクノロジーやノウハウが蓄積され独自性も多少出て来たものの、Webサイト制作プロセスは基本的なところは10年くらい変わらないのではないでしょうか。 配布してしまったら終わりの印刷物。一瞬でもインパクトがあればそれで良いテレビCM。企画といっても仕様や機能を決める話になり、始めたら後に戻りにくいウォーターフォール式のソフトウェア開発。いずれのプロセスも長所はありますし、それぞれの形に合っているから使われているわけですが、人と人、情報と情報、そして人と情報が常に双方向に繋がり続けている Web という有機体にはいずれの方法も適していません。 流動的に変化を続ける Web だからこそ、アジャイルソフトウェア開発 [http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%95%E3%
Q&A: エンゲージメントを与えるための考え方や手法はありますか?
> 成果物のUXにおいて、Jesse James Garrettが話しているようにエンゲージメントを与えるということが重要になってくると思います。それぞれのサイトの趣旨によっても変わってきますが、長谷川さんはどのようなアウトプットの仕方でエンゲージメントを与えようと考えますか?また、その際、気を付けていることや長谷川さんが持っている方法論等があれば教えてください。 from: toshi ここ数年、デザインやマーケティングなど様々な分野で耳にするようになった「エンゲージメント」。愛着心や絆など、分野でによってニュアンスが微妙に異なるこの言葉ですが、ここで言う「エンゲージメント」とは「積極的に行動する状態」「集中・没頭出来る状態」を指します。アプリケーションやサイトを利用において、利用者が意味のある体験をしたかどうかを測る測定値としてエンゲージメントに注目する場合もあります。エンゲージメントのある体験とは楽しいだけでなく、生産的でしょうし、簡単と感じる場合もあるでしょう。 楽しい時間を過ごしているとき、自分にとって意義のあることをしているときは、集中力が増しますし、時間がアッと言う間
Waveから見えてくるGoogleの弱点
発表された当時から「なんかスゴそうだけど何かよく分からない」と言われていたGoogle Wave。常に細かな改善はされていましたし、今年の 5 月に開催された Google I/O 2010 [http://www.yasuhisa.com/could/article/google-positive-ux/] では Wave を利用したカンファレンスの整理や情報交換に利用されていました。私も先月開催されたセミナー&ワークショップ [http://www.yasuhisa.com/could/diary/aomori-ux-2010/]で Wave を利用していたわけですが、発表されてわずか1年でGoogle Wave 開発中止 [http://googleblog.blogspot.com/2010/08/update-on-google-wave.html]になりました。 一般公開されている Public Wave を見てみると結構盛んなやりとりをされているものも少なくなく、
メタファーが作り出す期待値と使いやすさの関係
Webをはじめとしたテクノロジーを利用したものには、馴染みのない機能や象徴的で捉え難いアイデアがあります。それらをスクリーンショットで見せたり、分かりやすい解説があったとしても伝わらない場合が多いです。そこで、他にある似たようなものと関連付けさせて理解しやすくします。これを私たちは「 メタファー」と呼びます。 メタファーはパソコンの中にたくさん見ることが出来ます。アイコンデザインがその代表格です。絵としてフォルダを表現することで、頭の中で「幾つかの書類をまとめることが出来る」という本物のフォルダと関連付けがしやすくなり、操作を促すことが出来ます。 フロッピーディスクアイコン (保存) [http://www.yasuhisa.com/could/article/meaning-of-save/] のようにメタファーからシンボルへと進化した例外もありますが、機能やインタラクションを説明せずに利用者に伝えることが出来るメタファーは、アプリケーションデザインやWebデザインでよく使われます。 メタファーが作り出す「使い難い」 ユーザビリティを向上させることが出来るメタファーですが、何
記事ページのアクセス通信簿
今のような記事ページになった理由 今年の始めに記事ページを新しくしました。そのあと小さな調整を行ったり機能を追加はしていましたが、そろそろどのような結果が出たのが発表するには良い時期だと思いますので幾つか紹介したいと思います。 ご存知の方もいるかもしれませんが、今「記事」と呼ばれるエントリーはほとんどすべてレイアウトが違います。中には色を変えただけのものもありますが、レイアウトが少し複雑なものや画像が活用されているものもあります。凝り過ぎたことをすると読み難くなってしまいますが、毎回見た目が新鮮なので飽きることもありませんし、それがキッカケで読んでくれる方もいるかと思います。 最近、海外ではこうした記事ごとにレイアウトを変えるという手法が増えて来ていますが、私は10年近く前に同じようなことをしていました。当時は CMS もなく、ひとつひとつ HTML で書いていました(アーカイブページのリンクまで手書きで調整していたわけですから、今考えると信じられない手間ですね)。学生で時間があったということで日記を書く度にレイアウトを変えていましたし、場合によっては Flash も利用してい
Q&A: ユーザー側面の変化をどのように促しますか?
> ユーザーを利用者や閲覧者などに分類するのをx軸と考えると、各タイプの成長、もしくは分類の変化をy軸と考えられるのではと思いました。最終的に獲得したいターゲットユーザーにもよりますが、例えば、ECサイトでの観覧者から消費者への変化という風に、各タイプの学びによるステップアップ、もしくは他タイプへの変化は、どういう道程・要因が考えられるかをお聞きしたいです from: CalmTech [http://twitter.com/calmtech] この質問に応えるには、まず全体像を視覚化してみたほうがよさそうですね。X軸のユーザ分類にはユーザーという言葉に潜む5つの側面 [http://www.yasuhisa.com/could/article/five-sides-of-the-word-user/] で紹介したものを活用します。左から右へ向かうにつれてユーザーがより能動的なアクションをとると見なして並べてみました。Y軸には「ECサイト」や「Webアプリ」など幾つかサイトの種類を配置。各種Webサイトがどういった側面をもったユーザに響くのか考えてみました。 例えば EC サイトだ
新聞サイトの有料サービスの糸口
有料コンテンツは成功しない? イギリスの新聞サイト The Times [http://www.thetimes.co.uk/] は、6月から 有料サービス [http://www.timesplus.co.uk/] を開始し、記事の全文を読みたい場合は会員登録をしなければならないようにしました。その結果、2月のアクセス数に比べ 90% も落ちたそうです (詳細記事 [http://www.guardian.co.uk/media/2010/jul/20/times-paywall-readership] )。外サイトからリンクを辿ってアクセスした際は、自動的に登録ページへリダイレクトされるように設定されており、そのうちわずか 25.6% が先に進んでサイトを観覧したそうです。値段だけでなく、やり方も不味かったと思いますが、これは大打撃といえるでしょう。 The Times は 15,000 の有料会員を獲得したので、一概に失敗例とは呼べません。