Q&A: ユーザー側面の変化をどのように促しますか?

ユーザーを利用者や閲覧者などに分類するのをx軸と考えると、各タイプの成長、もしくは分類の変化をy軸と考えられるのではと思いました。最終的に獲得したいターゲットユーザーにもよりますが、例えば、ECサイトでの観覧者から消費者への変化という風に、各タイプの学びによるステップアップ、もしくは他タイプへの変化は、どういう道程・要因が考えられるかをお聞きしたいです

from: CalmTech

この質問に応えるには、まず全体像を視覚化してみたほうがよさそうですね。X軸のユーザ分類にはユーザーという言葉に潜む5つの側面で紹介したものを活用します。左から右へ向かうにつれてユーザーがより能動的なアクションをとると見なして並べてみました。Y軸には「ECサイト」や「Webアプリ」など幾つかサイトの種類を配置。各種Webサイトがどういった側面をもったユーザに響くのか考えてみました。

ユーザーの側面とサイトの種類の接点を表した表

例えば EC サイトだと、放浪者・探訪車・観覧者・消費者の4つの側面をもったユーザーがアクセスします。結果的に購買につながってほしいわけですからアクセスした方の多くが消費者になってもらいたいと考えるでしょう。図では該当するユーザ側面にはバーが塗られていますが、最終的に変化してもらいたい像には濃いめの色でバーが塗られています。

大雑把な分類をしているので、すべての EC サイトがそうであるとは言いきれませんが、こうして見渡すとサイトの分類によって訪れる人のタイプが異なるのが分かります。「観覧者」を目指すサイトがここでは3種類ありますが、該当するユーザ側面はそれぞれ異なるのでキッカケ作りや誘導の仕方も異なるでしょう。サイトの種類が違えばユーザーは違うというのは、サイト制作をする方にとって感覚的に分かっていることですが、こうして視覚化してみるとより明確に分かります。

それでは、最終的に変化してもらいたいユーザー像になってもらうには何が必要なのでしょうか。例えば Web アプリケーションであれば、トップページにビデオチュートリアルを盛り込んだり、ユーザー登録をしなくてもすぐに操作出来るといった敷居を可能な限り低くすることで、探訪者を利用者へ導きます。サイトによってケースバイケースではありますが、幾つか共通点があると思います。

コンテンツ
ECサイトであれば商材でしょうし、読み物サイトであれば記事です。言い換えればサイトのコア (核) を持つこととでしょう。これがなければいくら魅力的なビジュアルや高いユーザビリティを確保しても意味がありません。
明確さ
ここでいう明確さは情報が一目で見渡すことが出来るという意味ではなく、一体このサイトは何があるのかというコンセプトが一瞬で理解出来るかどうかという意味です。100文字以内でサイトを説明出来ないサイトだとすれば、ユーザーには響いていない(分かりにくい)サイトでしょう。

人間味
機械的な処理が行われているのではなく、その先にホンモノの人がいるような感覚はあるでしょうか。突き放すようなデザインはされていないでしょうか。不特定多数ではなく自分のためにあるような雰囲気が作られているでしょうか。ビジュアルの表現、エラーの見せ方、ガイドの仕方など様々なところで人間味は出せます。

ユーザビリティが大事だとか、SEO をしっかりしようなど技術的・専門的なノウハウは幾つかありますが、上記に挙げた3つのうち2つ以上欠けているのであれば他で何を努力しても利用者に変化は訪れないと考えています。逆にこの3つが揃ってさえいえば、たとえ少々使い勝手が悪くても、ビジュアルが他より少し劣っていても良い方向へ導くことが出来るのではと考えています。

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。