調査

A collection of 8 posts

デザイン

感情移入の邪魔をするエンパシーギャップに注意

「自分は絶対にそうしない」の正体 デザイナーであれば思いやりではなく感情移入ができるようになっておきたいですが、同じ立場になって考えるだけだと思わぬ落とし穴に出くわします。 ダイエット、新年の抱負、過労、セクハラなど、様々な方達のエピソードを聞いたときに「自分だったらそんなことはしない」「なぜそうなってしまったのか」と反応してしまったら危険信号です。それは、Empathy Gap(エンパシーギャップ)と呼ばれる認知バイアスの可能性があります。 エンパシーギャップには大きく 2 パターンあります。 感情の高ぶりや非日常的な状況の影響力を過小評価してしまう状態 どのような状況でも客観的に分析・思考できると過大評価してしまう状態 例えば新年の抱負を考えるときは、真っ新な気持ちで様々なプランを立てると思います。しかし、日が経つと次第に宣言した習慣が続かなくなってしまうことがありますが、これもエンパシーギャップによる過大評価が原因です。ちょっとした状況の変化や気分によって行動が大きく変わることを考慮できていないパターンです。過去の経験を無視して、今年こそ!と真っ先に考えてしまうのもエンパシーギャップのひとつです。 デザイナーであれば自分がつくった成果物を過大評価してしまうエンパシーギャップがあります。これにより上手く使えないユーザーや反対意見に対して「分かっていない」「エッジケースだ」という結論に至ってしまいます。 ユーザーインタビュー(ユーザー調査)でもエンパシーギャップが発生する可能性があります。ただ、ユーザーに行動や考えていたことを聞くだけでは、「ターゲットユーザーにはないケースだ」と結論付けてしまうかもしれません。

デザイン

ユーザー調査に必要な分析の「はじめの一歩」

分析で価値が変わる ユーザー調査(ユーザーリサーチ)は始めるのも実施するのも大変ですが、分析するのも楽なことではありません。せっかく調査してもログがあるだけでは意味がありません。ユーザーの言葉を引用してポスターやスライドで見せるのは啓蒙目的であれば良いですが、本当に必要なのは次の開発へ繋げるための判断材料です。分析でユーザー調査の価値が決まるところがあるので、次へ繋げるためにも分析は欠かせないところになります。 分析もデザインと一緒でツールの使い方を覚えたり、綺麗なレポートの事例を見ただけでは上達しません。基本を覚えた上で、何度か実践を繰り返すことで少しずつ上達していくものです。定性調査でも定量調査でもつかえる分析の第一歩になるポイントを押さえておけば、レポートの質もグッと上がります。 目的を明確にすること 分析をする前に重要になるのが、調査の目的を明確にすること。分析手段を知っていても、分析対象になるデータの質が悪いと意味がありません。ユーザーインタビューでも「どうやって使っていますか?」という広い質問ではなく、「〇〇のタスクをどのように完了していますか?」と絞った質問にしたほうがあとで分析がしやすくなります(もちろん誘導質問にならないような聞き方が必要ですが)。 データを集めて整理したらいよいよ分析が始まるわけですが、以下の 4 つがユーザー調査で行う代表的な手段。深掘りを始めるための第一歩にはなるはずです。 パターン よく見かける傾向は何かを見るけること。情報整理の基本中の基本ですが、ユーザー調査の分析にも欠かすことができません。たくさん見かけるフィードバックや行動は何でしょうか。五月雨式にフィードバックを見ているだけでは見えにくい傾向も、表にして整理すると見えてくることがあります。 例外・アンチパターン よく見かける傾向を探し出すだけでなく、意外なことを見つけることも忘れてはいけません。場数を踏まないと見えてこないですが、

視覚化

ユーザー調査を実施するための地味だけど効果的な取り組み

うまくハマらないユーザー調査 ユーザー調査という言葉を聞くと、どういうイメージを頭に思い浮かべますか? 数週間のインタビューと観察。実施するための入念な準備期間。数十ページにも及ぶ調査レポートなどを想像する人は少なくありません。本格的な調査が必要な場合はありますが、早く動かなければならないプロダクト開発の文脈では現実味がありません。例えば以下の理由で調査をしない(できていない)現場をたまに見かけます。 アジャイルのような早いサイクルで成果物を作り続けるプロセスに、調査がうまくマッチしない場合がある 特にスクラム開発は調査・デザインとの相性が悪い場合がある プロセスに調査ができる人が参加していない場合がある 時間とお金がかかるというイメージが強すぎて手が付けられない 調査・プロダクト開発それぞれがもつ有益な情報が見えにくい 調査には「長くじっくり実施して、きちんとしたレポートを作る」という先入観が付きまといますが、それだけが調査の姿ではありません。『調査』というフェイズを設けるのではなく、今の開発プロセスの中でどういう調査(手法)が実践できるか考えたほうが取り組みやすくなります。 調査を取り入れるための対策 きちんとした調査をしなくても、調査ゼロより圧倒的に良いです。議論がまとまらないときの拠り所になりますし、周りから「もっと知りたい」という声が出てきます。以下は私も実践している小さな調査を始め方や、共有するための手段です。 先回りの計画を立てる スクラム開発は早く成果物を作り上げるのに適したプロセスですが、抜本的な課題解決を考える時間をとるのが難しいです。例えば、1 週間のスプリントという短いサイクルでは、

UX

調査を当たり前にするための第一歩

調査という行為は日常では当たり前 車や家など高い買い物をするとき、値段や見た目だけで買うことはないと思います。専門家や信頼できる知人に相談することがありますし、書籍やインターネットで情報収集することもあります。買う前に調査するのも「失敗したくない」「自分にとって最良なものが欲しい」という欲求があるからでしょう。値段が高いのであればなおさらです。 購入前の調査は車や家のような高い買い物だけではありません。食事、書籍、服など数千円のものでも調査をすることがあります。インターネットのおかげで情報と近くなったことから、あらゆることが調査しやすくなったかもしれません。 高い買い物であれば調査は必ずするといっても過言ではありませんが、web サイトやアプリ開発になるとそうでもなかったりします。高い買い物をしているにも関わらず調査をしないところが今もありますし、定量調査はするものの、ユーザーの声を聞くという定性調査までできていないところがあります。 日常であれば数千円の買い物でも調査することがあるにも関わらず、数百万以上かかる web サイトでは調査をしないというのも不思議な話です。 身近な存在にすることから始める 定性調査をしないひとつの要因として、調査対象と接触する機会が少ないというのがあります。定量調査であれば、Google Analytics のようなツールをつかって情報へ気軽にアクセスできる手段がありますが、定性調査はなかなかそうはいきません。ターゲットユーザーを探さなければならないのはもちろん、インタビューや観察を通して集めたデータを手軽に見る手段を作らなければいけません。定量調査に比べて、定性調査を身近に感じてもらえる方法が少ないのが遠い存在に見えてしまうのかもしれません。 ターゲットユーザーに直接会って話をしたり、実際にプロダクトを使ってもらって感想を聞くのが理想ですが、身近に感じてもらうための手段は他にもあります。まず手始めとして Hotjar のようなツールを使うのがオススメです。

ビジネス

デザイナーも知っておきたい数字との付き合い方

数字と向き合う ビジネスに貢献するデザイナーとして、ある程度のデータ分析能力は必要です。「デザインが重要」と言われるようになったのは良いことですが、それを証明しなければ装飾するだけの仕事に逆戻りしてしまいます。「データ分析」と書いてしまうと、深い数学の知識が必要そうに聞こえますが、そんなことはありません。 まず、数値が存在しないところにデザインを評価するところが幾つかあります。Web サイトやアプリを使う体験は主観的かつ感情的なものですから、ユーザーからの生の声が聞ける窓口を築いたり、ユーザーインタビューやヒューリスティック評価をするといった定性分析が必要になります。 ただ、こうした定性分析にしても「これはどうですか?」といった質問から始めても、次に繋がる改善点が見つからないどころか、開発に混乱を招くことがあります。そこで、定量調査が大きな役割を果たします。ユーザーの動機や感情を数字から読み取ることはできませんが、ユーザーの「なぜ」を導き出すヒントを与えてくれます。 例えば Google Analytics には、行動フローというユーザーが画面をどのように遷移したのか視覚的に見る機能がありますが、ユーザーが辿る道筋の傾向を知るには最適です。制作サイドで想定していなかった遷移が見つかるかもしれないですし、どこで離脱しているのかも判別しやすくなります。行動フローのデータを基に「なぜ、ユーザーはこの操作をしたのか」を調査するためにインタビューやユーザーテストを行えば、定性分析の目的がより明確になります。 強そうな指標からの脱却 データ分析全般に言えることですが、目標・

コンテンツ

必要なコンテンツを発見するための簡単調査方法

コンテンツ発見のために必要な調査 現存コンテンツの課題を発見するためにコンテンツ・イベントリーは欠かせない存在です。スプレッドシートにひたすらデータを入力するという地味な作業が伴いますが、コンテンツを一望することで「なんとなく」と察していた課題を目に見える形にして共有できるようになります。コンテンツを気軽に作って配信できるようになりましたが、それが利用者にとって意味のあるものなのか評価も必要ですし、そもそも現存コンテンツは誰がどう管理しているか把握しておかなければ改善すらできない場合があります。 自分たちが持つコンテンツから課題を発見するだけでなく、利用者が求めるコンテンツは何かも知る必要があります。そのためにユーザー調査があるわけですが、調査を通してコンテンツに関わる以下の課題を解決することができます。 言葉 : 配信側の言葉遣いや分類の仕方が、利用者と同じとは限りません。ニュアンスが似ているだけでまったく違う言葉を使っている可能性があります。 メンタルモデル : モノ・コトの見方や行動は、固定概念や前提に大きく影響されています。利用者のもつ概念や期待は何でしょうか。 ニーズ : 配信側になると「伝えたい」「売りたい」という気持ちが先立つことがあります。伝えることは重要ですが、利用者が必要としているものを提供できなければすれ違いになります。 優先順位 : 作りたいコンテンツ、導入したい機能はたくさんあります。何をどの順番に作れば良いのかを決める判断基準としてユーザー調査が役に立ちます。 どのプロジェクトでもユーザー調査をするべきですが、予算や時間が限られている場合、十分な調査ができない場合があります。しかし、だからといって調査をまったくしないのは良くありません。調査ゼロより、何かしらの調査があるほうがデザインへの理解が格段に上がるからです。書籍などで書かれているような調査ができないからといって諦めず、簡単にできることからスタートすると良いでしょう。 時間をかけなくても利用者が求めるコンテンツを見つける方法は幾つかあります。

プロセス

デザイン調査にあるバイアスとの向き合い方

シミュレーションとリアリティ デザイン調査は利用者の理解、そしてプロジェクトの方向性を共有するために欠かすことができません。調査がないデザインプロセスは UX デザインとは呼べないといっても過言ではないほど重要ですが、調査だけで利用者の『現実』を捉えるのは難しい場合があります。 ユーザーインタビューを通して様々な意見を聞き出すことができますし、その場で使い方を見せてもらうこともできるでしょう。しかし多くの場合、利用者の声と意図にはギャップがありますし、会議室という日常とは異なる場で、現場で起こっていることを再現するのは難しいです。ユーザーインタビューだけでなく、ユーザビリティテスト、カードソーティングなど様々な手法はありますが、調査する側によってつくられた状況の中(シミュレーション)で行われることが多いです。調査の多くはシミュレーションであり、現実(リアリティ)とは異なることを理解していないと、調査の仕方や集めるデータにバイアスがかかることがあります。 バイアスと向き合った調査 バイアス(偏り)はデザイン調査をする際、課題として挙がるトピックのひとつです。デザイン調査において、以下のバイアスが多大な影響を及ぼします。 確証バイアス 自分が立てた仮説を過信するあまり、それを立証するためのデータばかり集め、反証するデータを無視してしまう傾向。 アンカリング 最初に引き出したデータなど、ひとつの情報に引きずられてしまう状態。重要視したデータに合わせるように調整してしまうことも。  自信過剰バイアス 自分が正しいと思い込んでしまって、それが判断に大きな影響を及ぼす状態。