2025年の私のノート活用
良いツールを探すのではなく、自分に合ったワークフローを模索し続ける視点が重要です。
今も変わり続けています
ナレッジマネジメントのためのノートにはさまざまな選択肢があります。たとえば、Notionで情報を整理している方もいるでしょうし、カスタマイズ性を重視してObsidianを選んでいる方もいると思います。また、買収後にさまざまな機能追加や改善が進んでいるEvernoteも、依然として十分活用できます。このように便利なツールがいろいろありますが、Appleユーザーであれば、メモだけで十分かもしれません。
私は、ブロック単位でリンクや参照がしやすいことから 2 年ほど Roam Researchを使っていましたが、今は Tana というツールを使っています。
ノートの運用方法(ワークフロー)自体は変わりませんが、クエリを使って点在する情報をより簡単に集めやすくなりました。例えば、「昨年ハイライトしたデザインシステムに関する記録」を一箇所にまとめて表示することが可能です。このような機能は Roam や Logseq にも見られますが、ハイライトがある記事ではなく、ハイライトした内容を直接参照できる点が特徴です。新しいブロックが追加されるたびにリストが自動的に更新される点も便利です。
ここ1~2年のAIブーム以前から、MemのようなAIを活用したノートアプリは存在していましたが、最近ではさまざまなツールで見かけるようになりました。私が使っているTanaには、コンテンツとチャットする機能に加え、自分で簡単なAIボットを作る機能があります。例えば、「週間セラピスト」というボットを作成し、過去7日間のジャーナルを読み取り、セラピストの視点でフィードバックを提供してもらっています。
ノートメイキングにおいてAIは欠かせない存在となっていますが、特に便利なのはNotebookLMです。このツールは、文献など理解に時間がかかる情報を、参照付きでわかりやすく解説してくれます。ブレストには向いてないですが、存在しない情報については「ない」と明確に答えるため、正確に理解するきっかけになります。また、AIの学習に利用されない点も安心材料となり、アップロードへの心理的ハードルが低くなるのも魅力です。NotebookLMをわざわざ開く手間はありますが、その価値を十分感じられるツールだと思います。
AIの活用などツール群は少し変化しましたが、ノートの運用方法そのものは、この5年間ほとんど変わっていません。一方で、過去1年で大きく変わったことといえば、紙のノートを再び使い始めたことです。Apple Pencilの登場以来、ペーパーレスを徹底していましたが、昨年から紙に戻りました。紙のノートを使うことで、スクリーンから離れて書くことに集中できるだけでなく、ツールバーや機能に気を取られることなく、自由に書ける新鮮さも感じられます(今頃!)。
手書き自体はApple Pencilでも可能ですが、紙に書く際の触感はまた異なる刺激となります。かつては紙面をデジタル化する手間がネックでしたが、今ではカメラで撮影すれば自動で要約してくれるので、紙のノートを使うハードルが大幅に下がりました。これも紙のノートを再び使い始めた理由のひとつです。
ツールに惑わされず、使い続けよう
さまざまなツールがあるので迷うかもしれませんが、まずはApple純正のメモから始めてみてはいかがでしょうか。メモは年々機能が追加されており、現在では他のノートへリンクしたり、トランスクリプトを書き出したりと、有料アプリと同等の機能を備えています。アプリが苦手な方は、紙のノートにコミットするのも良い選択肢です。
私が使用しているTanaについては、正直なところ強くおすすめはできません。私はノートにページやフォルダ構造は不要という考え方を持っているため、この考えに合わない人にとっては、TanaやRoamのようなブロック形式のツールは非常に扱いにくいかもしれません。一方で、自分の考えやノートを通じて達成したい目的が明確であれば、それに合うツールは必ず見つかると言えるほど、現在は多くの選択肢が揃っています。
大切なのは「ベストツール」を見つけることではなく、「ベストワークフロー」を模索し続けることです。自分の頭の中が整理され、アイデアを創出できる、自分に合ったワークフローを作るという視点が重要です。私はRoam ResearchからTanaへとツールを変えましたが、ノートとの向き合い方(ワークフロー)は変わっていません。むしろ、自分のワークフローを変えないためにツールを変えたと言っても良いかもしれません。
ブックマークのようにただ情報をかき集めるためにノートを利用するのではなく、考えの断片的なものを書き残すということを少しずつでも良いので続けると自分の思考の整理や深化に繋がっていきます。時間が経つにつれて、それらの断片が互いに結びつき、より大きなインサイトや新しいアイデアを生み出すきっかけになるはずです。