デザインを知るきっかけを作る Design with Intent
イギリスのデザイナー Dab Lockton 氏が中心になって開発されたDesign with Intent は、デザインをより深く考えるのに便利なツールキットです。カードがリリースされたのは今月ですが、プロジェクト自体は 2008 年から続いている長いプロジェクト。何度か形を変えたり、コンテンツが加わって現在の形になりました。
このツールキットはブレインストーミングやアイデアをつくるための材料として作られたそうですが、ひとつひとつ読むだけでも勉強になります。カードサイズであることから文字数も限られているので、英語でもさらっと読める感じ。101枚あるカードは8つのカテゴリ (視点) に分類されています。ダウンロードページには 101 枚分まとめてダウンロードするリンクと各カテゴリごとにダウンロード出来るリンクの 2 パターンが用意されています。以下が、分類カテゴリとその要約です。
- 建築的
- 人々の行動を建築の視点から考察。角度や位置のようなマイクロレベルから、道路構造のようなマクロレベルまで
- エラー防止
- 実世界をヒントにエラーを防止するためのアプローチを紹介
- インタラクション
- オンライン、オフラインでよく見られる様々なインタラクションの紹介
- 遊び
- ゲームをはじめとして遊び心の要素を紹介。その中の幾つかはゲームデザインにも繋がります
- 知覚的
- インターフェイス、形、記号の意味や心理への影響について幾つか紹介されています
- 認知的
- 行動経済学や認知心理学に通じるキーワードを中心に紹介。人がどのように行動するのかを誘導する力をもっています
- マキアベリズム
- 目的のために手段を選ばない主義の意。デザインする上で何を犠牲にして、どの辺を落とし所として考えるかのヒントになります
- 安全性
- 利用者のちょっとした行動が危険を招く可能性がある場合、それをどのように知らせるか、そしてどう妨げているのかを紹介しています
こうしたカード式のツールキットといえば、今は iPhone アプリにもなっている IDEO の Method Cards を思い出しますね。複数人でアイデアを出すときは、こうしたカードを使った方が必然的に手が動きそうですし、話のブレを最小限に抑えてくれそうです。カードを読んで「あぁ、こういうこともちゃんと考えないとな」という気付きにもなりますし、話のきっかけになります。
Design with Intent は、広義な意味でのデザインをコンパクトに知ることが出来る素晴らしいツールキット。「自分はデザインは分からない。デザイナーではない」と思っている方もカードを読むと自分も重要なポジションとして携わっていると気付くきっかけになるかもしれません。英語で少し大変だと思う方もいるかもしれませんが、ヘッドラインだけ眺めるだけでも役に立つと思うのでぜひダウンロードしてみてください。