Everything That Happens Will Happen Today
元 Talking Heads の David Byrne と、Brian Eno のコラボアルバム。この2人は 1981年に「My Life in the Bush of Ghosts」というアルバムを出しているので、今回は実に四半世紀ぶりになります。常に先を行く音楽を作り続けている2人ですが、今アルバムは配信方法も先進的です。
アルバム (CD) 自体は 11月30日 にリリースされますが、デジタル版をオンラインで先行購入出来ます。アルバムに収録されている「Strange Overtones」は無料でダウンロードすることが出来ますし、全曲ストリーミングで聞くことも可能。320kbps の高ビットレートで、もちろん DRM はありません。MP3だけでなく、音質の劣化がないといわれているオープンソースフォーマット FLAC 形式でもダウンロード可能です。デジタルダウンロードは 1000円ほどで買えますが、300円足せば CD 付きで購入することが出来ます。会員になる必要がありますが、CD購入を選んだ方でもすぐにデジタル版はダウンロード出来ますし、PayPal アカウントを持っている方はそちらから購入することも出来ます。
アルバムのデザインは Stefan Sagmeister が手がけているという点も注目ですね。デラックス版は 70ドルと高いですが、いろいろ特典が付いています。今回、大手レコードレーベルは一切関わっていないそうで、CDのほうもインディペンデントの業者が関わるとのこと。
こうした配信方法は Radiohead が去年リリースした「In Rainbows」が記憶に新しいですが、またビックネームアーティストが独自のチャンネルで DRM フリーの音楽を配信しているという点で注目です。「In Rainbows」もそうでしたが、「Everything That Happens Will Happen Today」は作品として素晴らしいです。作品に対する自信の現れがこうした配信方法を選ぶきっかけになっているのでしょうか。
配信方法に話題が先に行ってしまいがちですが、Brian Eno が作り出す奥行きのある世界観に David Bryne のボーカルがうまく融合されていますね。デジタル音楽であるものの、暖かみを感じるのはさすが Eno ミュージックといったところでしょうか。デジタル化が進んだ現代社会において、人がどのように生活し生きて行くのかというメッセージが歌詞からもメロディーからも伝わってきます。2人のファンにとってお勧めのアルバムですが、まだ聞いたことない方にとっても興味深いアルバムだと思います。
iTunes Store にせよ Amazon MP3 Store にせよ海外の音楽シーンでは DRM フリーが当たり前になりつつあります。何台ものパソコンで音楽を聴くなんてそうはないから DRM はそれほど気になりませんが、気持ち的に楽ですし、友達に気軽に音楽をお勧めすることが出来るのが良いですね。