本には独特の魅力があります。年々買う数は減ってきているものの、所有したいと思わせる魅力のある本はたくさんあります。本を買う機会は減ってきていますが、本の数は常に増えて続けているような気がします。技術書は同じトピックでも幾つか新刊で出ていますし、新書のほうにはブログネタのような題名を幾つか見かけるときがあります。雑誌も同様のことが言えますが。

どれが本にふさわしいかどうかは分かりませんが、このまま作る本を増やし続けるのが本の未来のようには思えません。若い世代になればなるほどスクリーン上で情報を収集したり、長い文章を読む傾向にあります。オンラインで読んだほうが効果的かつ分かりやすい場合も少なくないからでしょう。スクリーン上での文字も良くなってきていますし、Kindle をはじめ電子ブックのためのビジネスモデルも出てきています。

もちろん本がなくなるとは思いません。書籍は何世紀も存在していて愛用されているわけですから、これからも変わらず本は愛される存在でしょう。むしろ、その情報が本である必要があるものがを改めて考えて作ることが重要なのかなと思います。ウェブの特性を理解してウェブサイトを作るように、本の長所と短所を理解して質の高い本を作ることがひとつの未来なのかなと感じています。以下に本の長所と短所をリストアップしてみました。

長所

  • 触感
  • 所有感
  • 持ち運びやすい
  • 長時間じっくり読める
  • 買いやすい
  • 長文は読みやすい
  • 編集されている

短所

  • 検索出来ない
  • ハイパーリンクなし
  • 固定バージョン
  • 流通の限界
  • 直線構造
  • トピックの固定

長く本と付き合ってきた人間だからこそ、触感や所有感は魅力的な部分ですし、これが本を買う理由になっている場合もあります。そして、この2つを徹底的に突き詰めた書籍もたくさんあります。長所の部分を徹底的に突き詰めたり、長所からみて本である必然性があるものが、未来の本を支えて行くのかなと感じています。本を作っている方は既に分かっていて模索されていると思いますが、数より質にシフトするためのビジネスモデルがないのかもしれませんね。

ひとつはデジタル書籍の数を増やすことだと思います。特定のリーダーを使わないと観覧出来ないのではなく、複数フォーマットでデバイスを選ばない形式で配信することが必須ですね。リーダーを開発出来る余地があれば、利用シーンも増えると思います。あともうひとつは発売した書籍のデジタル版もパッケージして売る方法です。例えば O’Reilly では、書籍に認証コードを記載しておいて、サイトからデジタル版をダウンロード出来るようにしています。「とりあえず持っておきたい」という所有欲を満たしつつ、検索性や機能性をデジタル版で補うわけです。このパッケージング化で本が買いたくなる種類のものも幾つかあると思います。あとはオンデマンドになるのかなぁ。それだと印刷物としての質をどれだけ追求出来るのか気になりますが。