思考スタイルから知識整理ツールを選んでみよう

自分の思考スタイルをツールに合わせるのではなく、思考スタイルに合うツールを選んだほうが長く使えると思います。ツールを選ぶときに「自分の思考スタイルはどんな感じだろう?」と考えてみてはいかがでしょうか。

機能だけでは選べない知識整理ツール

情報と情報を繋ぎ合わせることで知識になると考えたとき、自分的に Roam Research がシックリくるサービスでしたが、人の性格と同じように思考の仕方は千差万別。ツールを選ぶときに気をつけなければいけないのは、機能だけでなく、自分がどのように物事を捉えるのが得意なのか振り返ることから始めたほうが良いです。

フォルダ構造が存在せず、メタデータも含めて自分でどのように情報をまとめるか設計しなければいけない Roam Research だと、使いにくくて知識整理どころかではない人もいるはずです。

UI デザインツールにしても同じことが言えます。Sketch, Figma, Adobe XD。機能比較をしても大差がないですが、何を得意としているか、どう UI デザインを捉えているかが異なります。機能の違いよりコンセプトの違いによる「とっつきやすさ」「しっくり感」が、人によって評価が分かれるところだと思います。

知識を整理するためのツールは幾つかありますが、機能ではなく、思考の仕方で選ぶとしたらどうなるでしょうか。

4つの思考スタイル

私たちはどのようにコミュニケーション、コラボレーション、学習をしているのでしょうか。探せば様々な研究を見つけることができますが、参考になったのが FourSight と BridgePoint Effect が共同で調査したイノベーターの 4 つの思考スタイル。知識整理と直結する研究ではありませんが、人がどのように考えるかと、知識の整理・活用は何かしら関係あると思います。

調査結果では思考を 4 つのスタイルに分類しています。思考スタイルによってどのように知識を整理したいか追記しています。

Clarifier

何か始める前に不透明なことを可能な限り減らしておきたい人。いろいろな情報を吸収した上で、どうすべきか吟味してから行動するタイプ。どういう情報を入れるか吟味し、構造的に整理したいと考える。

Ideator

アイデアを模索したり繋ぎ合わせるのが得意な人。抽象度の高いことや大きな絵を描き、それに向かって進むことを好むタイプ。たくさんの情報を吸収し、有機的に情報を育てたいと考える。

Developer

理想ではなく実現可能なソリューションを求める人。納得がいくまで作り込んだり、模索を続けるタイプ。自分の仕事や生活に直結した情報をまとめたり深めたいと考える。

Implimentor

考えてから行動するのではなく、行動してから考えるタイプ。今すぐにできるソリューションを実践し、結果に基づいて調整するタイプ。白紙のような場所で使いながら整理の仕方を考える。

私の場合、構造に囚われず自由に思考を広げたり、整理の仕方を模索しながら決めることを好むから Roam Research との相性が良かったのだと思います。恐らく自分は Ideator と Implimentor が混ざった存在かもしれません。

Roam Research の Graph View

例えば上図は「Knowledge Management(知識整理)」からノートを書き始めていますが、「組織だと何か違うの?」「ノートの取り方はどうだろう?」と展開し、今回の「思考スタイル」へと繋がっています。調査をしながら自由にノートを作って関係性が作れるところが魅力です。これに「保存するフォルダはどこ?」「タグは?」とか考え始めると、自分の場合は思考が止まってしまいます。

一方「Clarifier」タイプの人だと、ノートは構造的に整理しておきたいと考えるでしょうし、ノートに入れる情報もしっかり吟味したいかもしれません。そういう方だと、 Evernote のほうがシックリくるはず。現実主義の「Developer」タイプだと、今使っているツールのなかで工夫したいと考えるでしょうし、そのツール内でできることを模索(カスタマイズ)していくと思います。

「Ideator」的な気質をもっているけど、「Clarifier」タイプが考えるように構造化もしたいなら Obsidian は良い選択肢かもしれません。フォルダ構造を作りつつ、リンクをはって自由にノートを展開できるのは魅力です。

Evernote の OCR 処理のように自分のニーズを満たす機能が何かハッキリしていれば機能で選んだほうが良いと思います。しかし、それだけで選べないのがツールの難しいところ。自分の経験から言うと、自分の思考スタイルをツールに合わせるのではなく、思考スタイルに合うツールを選んだほうが長く使えると思います。ツールを選ぶときに「自分の思考スタイルはどんな感じだろう?」と考えてみてはいかがでしょうか。

筆者について

Photo of Yasuhisa Hasegawa

組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決するといった仕事をするなど、チームでデザインに取り組むためのお手伝いをしています。各地でデザインに関わる様々なトピックで講師をしています。