先週の金曜日、アクセシビリティキャンプ東京 キックオフミーティングに参加しました。既に世界各地で開催されているアクセシビリティキャンプの東京版を始めるそうで、その最初のミーティングになります。

私自身はアクセシビリティの専門家ではありませんが、今のアクセシビリティ周りの活動や課題、そしてアクセシビリティに関わるプロフェッショナル達が抱く想いを知りたくて今回参加してみました。

見え難いアクセシビリティ

以前から奇妙だと思っているのが、コンテンツ/デザイン/機能など様々な物事において付加価値が重要視されているのにも関わらず、アクセシビリティになると付加価値ではなく、ボランティアに近いサービスとして見られる点。その要因として、健常者は省かれてアクセシビリティが捉えられている、障害者のためにある配慮になっているからかもしれません。アクセシビリティはコンテンツ/デザイン/機能の付加価値になるのですが、そこがまだリンクしていないのでしょう。

アクセシビリティの話題自体が捉え難いのも課題です。取り上げられる話題が、コード、技術仕様など目に見えて分かりやすいものが少ないので、実装しても実感に繋がらないことがあります。その上、アクセシビリティの向上の事例が障害者に向けた補助が大半であれば、情報へのアクセスしやすさという意味でのアクセシビリティとして捉えられ難いのも当然かもしれません。

こうした状況はもう何年も続いているわけですが、デザイナーとしてアクセシビリティをもう一度考え、啓蒙するにはおもしろい時期に来ているのではないかと思っています。見え難い・分かり難いアクセシビリティであれば、見える化するのもデザイナーとしての役割です。近年 UX が日本国内でも注目が集まっていますし、UX の向上のためのアクセシビリティという視点は皆頭のどこかに持っていると思います。

見える化することによるキヅキ

ひとつデモを作ってみました。
アクセスキー(accesskey)は HTML に記述されているものの、視覚化されていることが少ない便利な機能です。アクセスキーを UI として見せることで、普段気付かない人もアクセスキーの便利さに気付いてもらえると思います。デモページにアクセスして、altキーを押すと割り当てられているアクセスキーを見ることができます。

アクセスキーの見える化

今回作ったデモは数多くの課題を残しています。タッチデバイスではアクセスキーを割り当てたところで、キーをうまく使いこなすための術が見つかりませんでした。

最初、ジェスチャーを使ってメニューへアクセスするためのパネルを表示させようと試みました。スクロールが長いページも少なくないので、ジェスチャーを使っていつでもどこでもメニューへアクセス出来るものです。Mobile Safari は WAI-ARIA のサポートが進んでいるので、ダイナミックコンテンツやオーバーレイ形式のパネルを読み上げることは難しくありません。

しかし、iPhone の VoiceOver に切り替えると、幾つかのジェスチャーが操作のために割り当てられているので、制作者側が自由にジェスチャーを加えて機能実装するのが難しいです。iOSアプリであれば、ジェスチャーのカスタマイズが可能みたいですが、ジェスチャー操作に慣れている方にとって不便になる可能性があります。

今回はアクセスキーという普段は視覚的に見えない機能を UI として見せることで、利用機会を作るだけでなく、アクセシビリティへの配慮はより多くの人の使い勝手を上げるものである事例を紹介しました。

こうした「見えない」ものを「見える化」することは、デザイナーには興味深い課題だと思います。同時に、技術的な制約や中間案をどのように見つけるのが難しいと感じました。アクセスキーに関していえば、ソフトウェアベースで UI を提供しても良い機能のひとつ。携帯に実装されているブラウザはアクセスキーを UI にして表示しているのに、他では実装例が見られませんね。ブラウザの機能を Web ページが各自UI実装しているという意味では、文字の拡大・縮小機能と似ていなくはないです。

アクセシビリティは皆に関係したものであることを伝えるには、文字通り皆のもののように見せるのも手段だと思います。利用者の邪魔にならないように、いかにして使い方、情報の消費の仕方を伝えることが出来るのか・・・というのは難しい課題です。しかし、いろいろ作っていくことでアプローチの数を増やすことで、時と場合に応じた対応が出来るのではないかと考えています。