UXライティングを続けるための仕組み作り
面倒という理由で仕組み化を放置すると、ライティング活動が続かない、評価されないといった状況に陥りやすくなります。
がんばるだけでは続かない
UX デザイナー / UI デザイナーであれば、UI コンポーネントや画面に表記されるラベルや文章の重要性を理解していると思います。良いライティングは利用者の行動を促すだけでなく、不安を和らげる役割も果たします。重要だから気になるところから少しずつ改善しようと行動に移す方もいますが、それではすぐに行き詰まります。
UXライティングとコンテンツ戦略の密接な関係でも触れましたが、気づいた人が少しずつ改善するといった『草の根活動』だけでは長続きしません。ライティングがプロダクト / web サイトにどのように貢献しているか分かるようにしないと、努力しているわりに評価されないことになります。また、皆が同じモチベーションで仕事をしているわけではないので『やる気』を周りに期待するのも無理があります。
書籍などを参考にしながらライティグを改善するだけでなく、やる気のある少人数が頑張るといった状態から抜け出すための戦略(プラン)が不可欠です。コンテンツ戦略のない UX ライティングは周りから評価されなくなり、次第に自分もやらなくなる(停滞する)ことになります。
仕組み化へ一歩踏み出す
戦略と書くと大袈裟ですが、重要なのは『ライティング』という活動に連続性をもたせることです。例えばメニューのラベルを「注目」から「おすすめ」に変えたいと思ったとき、下記のようなことを考慮する必要があります。
- その変更がなぜ必要なのか
- その変更がプロダクト / web サイトにとって重要か
- その変更が他の変更より優先的に行うべきか
- その変更にかかるコスト(ヘルプなど他の場所への影響は)
気付いたところ、気になるところを改善するといった『点』の活動ではなく、上記のようなことを考えながら、周りと共通認識をもちながら続ける『線』の活動では大きな違いがあります。
コンテンツ管理シートを作りました
仕組みを作ってライティングを改善できるように Notion でコンテンツ管理シートを作ってみました。自分のワークスペースに複製して利用することができます。
コンテンツ管理シートは 2 つのデータベースで構成されています。
施策
改善したい部分を起案するためのドキュメントが並ぶテーブルです。施策にはステータスを付けて簡易進捗管理ができるだけでなく、重要度と実装難易度といったラベルを付けれるようにしています。
重要度はユーザーインパクトやコンセプトとの相性など様々な観点で評価することができますが、必要に応じてラベル名を変えるなどカスタマイズしてください。最初は主観で構わないので、他の施策と比較・検討する習慣をつけるようにしましょう。
施策ドキュメントはテンプレート化されており、下記の項目が事前に用意されています。
- ユーザーコンテキスト: どういう文脈で画面 / UI が表示されるのか
- ライティング変更の目的: 変更理由
- 変更項目: 具体的にどの部分をどう変えるのか
細かく書き込むのは面倒かもしれませんが、なぜ変更したのか振り返るのに便利ですし、今までの取り組みが共有しやすくなります(完了状態の View に切り替えるだけというお手軽感)。
タスク
各施策にタスクを追加できるようにしていますが、施策を横断してタスクを確認できるようにしています。誰が今何を担当しているか分かるだけでなく、類似したタスクの処理をどう進めるか考えるキッカケ作りにもなります。
Notion を使うかどうかは現場次第ですが、気になるところを改善するといった『点』の活動から、比較検討して施策を進める『線』の活動が始めやすくなると思います。また、完了した施策も記録されるので、どれくらいライティング改善の活動をしたかも一眼でわかるのもメリット。どういう稼働を続けてきたのか定量的に見ることができますし、次の施策を感がるヒントも見つかるかもしれません。
仕組みが煩わしいと感じる方もいると思いますし、活動を記録するのも手間です。しかし、面倒という理由で放置しておくと、続かない、評価されないといった状況に陥りやすくなります。あなたの組織とユーザーにとって価値のある活動をしていると思ってもらうためにも、コンテンツ管理シートなどを使って比較・検討と記録に挑戦してみてください。