物理的な近さと心理的な近さから考えるプロセス
CSS Nite LP11で「人の特徴から見えてくる次のデザイン提案」というミニワークショップを行いました。時間の都合で考えたアイデアは後ほど共有という形で終了しました。今回から数回に渡りいただいたアイデアを幾つか紹介していきたいと思います。
近さ
モノとモノが近いと、遠いもの同士に比べて関連性が近いと理解する。
人の特徴を活かしてサイト特有のゴールを達成させるためのアイデアを練るというのが今回のワークショップの目的ででした。ワークショップでは14もの人の特徴を紹介しましたが、その中のひとつに Proximity (近さ) というのがありました。
上の図を見てください。色が違いますが、直感的に隣り合っている円が同じグループに属しているように見えると思います。色にはまったく共通点がありませんが、近さが同じグループであると思わせています。AとI、FとHはそれぞれ同じ形と色です。しかし、それぞれに何か関連性があるとは考え難いです。たとえ同じ情報でも近くなければ関連性が見えてこない一例です。上の図は極端な例ですが、情報を設計する上で「近さ」をつかって感覚的に関連情報であることを伝えることが出来ます。
こうした情報の距離感ではなく、別の近さに注目したのが crema さんのアイデアです。上記に挙げた近さは物理的・視覚的近さですが、cremaさんが注目したのは心理的な近さです。今回のワークショップの題材として選ばれた CSS Nite だけではありませんが、講演者は「壇上のエラい人」に見えてしまうので心理的に遠く感じてしまうかもしれません。
「壇上のエラい人」という心理的な遠さはネガティブな部分だけではありません。憧れに繋がる場合がありますし、講演者のステータスが何かを学ぶときの保証になることもあります。CSS Nite には「活動全体を知っていただき、はじめて参加される方の敷居を下げること。」というゴールがあるので、講演者と来場者の間を縮めることはゴール達成のためのひとつの手法といえます。
心理的な近さというのは、言い換えると「親近感」です。講演者があまりに遠い存在と感じてしまうと、「自分には関係ない」とおもって参加に繋がらない場合があります。テレビに出てくる芸能人とかみていると感じることですが、圧倒的な何かを備わっている人より、普通の人よりちょっと何か違うという人が多く出演しているイメージがあります。もしかすると近所にいるかもしれない、友達でいるかもしれないという親近感が一般受けしやすいのかもしれません。CSS Nite の講演者の演出にもそういった親近感がもしかすると必要ではないかというのが今回の crema さんからの提案です。
講演者との距離を縮めるより重要なのが、コミュニティの敷居の低さでしょう。CSS Nite くらい長く開催しているイベントだと『グループ化』しているように見える可能性はあります。会員制や特別なルールはありませんが、なんとなく輪に入り難いと感じてしまい参加に至らない方もいるでしょう。こうした距離感を縮めるための提案もされていました。
まとめると以下の心理的な距離感が CSS Nite にあると考えられます。
- 講演者と受講者
- 受講者同士
- 開催地という遠さ
- CSS Nite と参加検討中の方
- 受講者と参加検討中の方
こうしてみると分かりますが「近さ」を考えるだけでも、様々な関係が入り組んでいるのが分かります。これらをすべて解決するひとつの提案を考えるのは難しいので、まずは上記のように関係を分類したあとそれぞれの解決案を練ってみると明確さが増すかもしれませんね。
今回、crema さんは Twitter のハッシュタグを利用して即興でアイデアを出していただきました。以下のそのときのログを記載しておきます。crema さんの思考の広がり方とアイデアの生まれ方が読むと感じ取れると思います。