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デザイナーや開発者であれば、アプリや Web サイトを見ると何かしらリアクションがあると思います。「かっこいい」「面白い」「使いやすい」といった感想は、口に出さなかったとしても考えることです。第一印象から生まれる感覚は大事ですし、常に身の回りにあるデザインに意識を向けることは良いことです。しかし、そうした感情的なリアクションがデザインに対する良い批評にならないことがあります。

批評やフィードバックは、現行のデザインをさらに良くするために行われます。「これは使いにくい」はひとつの感想ではありますが、次のステップのための道筋とは言えません。それが誰にとって、なぜ使いにくいのかを共有しないままでは意図が伝わっていないようなものです。むしろ、使いにくいものを作ってしまったデザイナー個人への批判に聞こえてしまう恐れもあります。デザイナー自身も、すべてのフィードバックが個人に向けられているものではないことを認識すべきですが、コミュニケーションの工夫が必要です。

デザイン批評は、チームでデザインすることが当たり前の今では必ずあることです。しかし「きちんと批評をしましょう」と思っても、すぐにできることではありません(批評と批判を混同している人もいます)。デザインについて話す機会を作ることはもちろん、デザイナーであれば第一印象をさらに深堀りしてデザインをみる癖をつけておくべきでしょう。

実際その仕事に携わっていないと分かり得ないことも多々ありますが、デザインと出会ったときに以下のような質問を投げかけてみましょう。こうした質問は主観的・感情的なリアクションにならない、的確なデザイン批評をするための良いトレーニングになります。

  • どのようなユーザーをターゲットにしているか?
  • ユーザーのニーズはなにか?
  • ユーザーはどのような状況でアクセスすると考えられるか?
  • 情報や機能は、理解しやすく明記されているか?
  • ユーザーは利用後(視聴後)どのようなアクションをとるか?
  • そのアクションはユーザーニーズを達成したと見なせるか?
  • トーン&マナーはブランドと合致しているか?

誰でも好きなデザインやスタイルはあります。自分の好みとは違うからといって、悪いデザインと見なすことはできません。4年前になりますが、楽天のデザインを批評したことがあります。「楽天のようなデザインは好きではない」と言ってしまうのは簡単です。しかし、上記のような質問を投げかけることで、自分の好き嫌いを超えた学びになることがあります。時には視点を変えてくれることもあります。様々なスタイルがあり、それぞれに適したスタイルがあることを発見することは、最終的に自分のデザインの視野を広げる機会をつくってくれます。

チームで自社製品のデザイン批評を行う際でも上記のような質問は役に立ちますが、あらかじめ共通言語を築いておくと話がしやすくなります。自社にとっての「良いスタイル」を共有するために Pinterest のようなツールを用いたムードボードスタイルガイドをつくるのは有効な手段です。そして何よりもオープンな会話できるような関係が、チーム内でのデザイン批評の基盤になります。

良いデザインという名の目的地(ユーザーゴールやビジネスゴール)へ向かっているはずなのに、遠回りをしたり迷い続けているのはもったいないです。デザイン批評は、その迷いを少しでも減らすためにあります。上司、クライアント、チームメンバーにデザインの批評の仕方を知ってもらうことがベストですが、その前にデザイナーがデザインの批評ができるように日々考え方を養う必要があるでしょう。まずは数をこなすこと。ブログやソーシャルメディアのようなオープンな場ではなく、個人用のジャーナルに書き留めることからスタートしてみてはいかがでしょうか。