書籍 Web Designer 2.0 の表紙その昔、私も書籍を出していたことがありました。
2005年の春、まだ日本では「Web 2.0」という言葉がほとんど耳にされなかった時期に「Web Designer 2.0 進歩し続けるWebデザイナーの考え方」という名の書籍を出しました。扱ったトピックが広くて浅く、中級者向けだったということもあり、それほど多く売れたわけではありませんが、今の私の考え方の基礎が執筆を通して形成された書籍です。

今はもう使えない技術話もチラホラありますし、振り返ると非常に恥ずかしい文章を書いていたので、今買うことをオススメしませんが、7年経った今も通用するメッセージがいくつか残っています。

ここ数年 UX やら利用者中心やらの話をよく耳にするようになりましたが、著書のほうでも利用者に向けて作ることの意味について掘り下げていました。書籍に書かれている以下の文章に想いが集約されていると思います。


本書をここまで読んで、お気づきの方はいるかと思いますが、本書では「ユーザー」という言葉をあまり使っていません。替わりに「利用者」、「人」という言葉を頻繁に使っています。Webサイト制作に携わっていると、サイト利用者が「ヒット数」や「ページビュー」というフレーズや数字に置き換えられることがあります。実際の利用者は数字ではなく、私たちと同じ個性のある人間です。「ユーザー」という言葉では、どうも顔のないデータを連想してしまいがちなので、あえて使っていないのです。単なる言葉の捉え方の違いではありますが、そういった意識をあえてすることで、Webサイト制作とは「普通の人々」を相手にして作っているのだ、と意識しているわけです。

「ユーザー」ではなく顔がある「人」。こうした考え方をもつことで、自分の中で利用者中心のデザインを常に忘れないようにしています。


私がターゲットにしている読者の中にある共通用語として「ユーザー」というフレーズがあることから、今は所々に使うことがります。しかし、基本的な考え方は今も変わりありません。

手法、ワークフローは、テクノロジートレンドのように表れは消えていくことがありますが、考え方って色あせないなと改めて感じています。「考え方」「姿勢」というものは、厄介なものです。スキルとして落とし込むのは時間がかかりますし、即時性がないので必要ないようにも見えます。しかし、仕事をする上で常に土台として支え続けてくれる存在です。テクニックやメソッドは変化し続けていても、土台があることで、最適なものを選ぶことができますし、作るときの拠り所にもなります。ずっと昔に書いたものが今でも自分の中で『通用している』のは、その現れだと思います。

どう言葉を捉えて、使うのかは人それぞれだと思いますが、自分の中で考え方というものを大事にしていきたいですね。