私は不真面目なデザイナーです

リアルで会うときくらいは、もうすこしエモいコミュニケーションができたほうが楽しくないか!?と思うときがあります。

私は不真面目なデザイナーです
撮影:@ayujimann

記事、ポッドキャストTwitter をはじめとした情報発信しか接点がなかった方とお会いすると、よく「印象と違う」と言われます。下記のようなことをいつも発言しているわけですから、真面目な人に見えて当然ですよね。

デジタルプロダクトや web デザインには真剣ですが、硬い性格ではありません。クライアントとの会話でもよく分からないこと言って呆れ顔されることもありますし、ボケた発言もしています。良くも悪くもアメリカで過ごした頃の影響が残っているのかもしれません。

真面目な日本人像は壊したかった

6月2日から3日にかけて開催された Design Matters Tokyo 23。久しぶりに英語で登壇しましたが、準備期間は「上手に話さないと!」より、「どうやって面白く語ろうか」に時間を費やしていたと思います。もちろん来場者が満足するような実践的な内容やリサーチはしたものの、それを楽しんでもらうためのストーリー構築はあれこれ頭を悩ませました。

海外から見ると「日本人は真面目」という印象は根強く残っています。それは決して悪いことではありませんが、真面目だけが日本在住のデザイナーの姿ではありません。面白く、楽しくデザインについて語れる人もいることを知ってもらいたいので「今回は笑いをとる」という目標を立てて挑みました。

Design Matters の観客は他で見ないくらい心の広い観客だったせいもり、最初から最後まで笑いのある 30 分になりました。たぶん誰も内容は覚えていないかもしれませんが、楽しかったという感情は残せたと思います。登壇後に「スタンドアップコメディアンみたいだった」と言われたので心の中でガッツポーズでした💪

リアルイベントに参加する意味

過去 3 年、何度かリモートで登壇する機会がありました。参加の敷居が下がったのは素晴らしいことですが、相手の反応も見えにくく、関係性が作り難いのがリモートイベントのデメリット。続けているうちに、ただ情報伝達しているだけのように感じることもありました。

コロナ禍以前のイベント登壇で気を付けていたことのひとつが「リアルイベントでしか出来ないことをする」でした。そこでしか聞けない情報はあるしれませんが、本当の価値は同じ場所にたくさんの人が集まっていることだと思います。自分のなかで大事にしていたのはリアルで人と会うから分かり合える感情的な繋がりをもつことであって、ただ情報を伝えることを重要と捉えていない側面があります。

ここでも「真面目な日本人」が発動しているかは定かではないですが、役に立つことを発表しないといけないという先入観から、成功事例や実績を盛り込んだ『情報伝達』を多く見かけるようになりました。昔からありましたが、コロナ禍を通してその傾向は一層強くなったようにも見えます。

情報を求める人、情報が得られることを期待する人のほうが多いと思うので、むしろ私のようなアプローチのほうが面白くないと感じる人が大多数かもしれません。笑い(コメディ)にしても、テイストは千差万別なので、かえって人を遠ざけてしまうこともあります。

ただ、あとで記事や動画など情報伝達する方法はいくらでもある世の中なので、リアルで会うときくらいは、もうすこし抽象的でエモいコミュニケーションができたほうが楽しくないか!?と思うときがあります。どうせ日々の仕事は KPI やら品質やら現実と向き合わないといけないわけですから、イベントのときくらい少し夢を語ったほうが気分転換になるはずです。

Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。