Emergencyというモバイルアプリをモックアップしました
7月は青森でセミナーをした思い出に残る月ですが、同時に岩手・宮城内陸地震に遭遇した月でもあります。地震が大嫌いな私にとっては地上14階の地震エクスペリエンスはかなり恐ろしかったわけですが、同時に気付きがある瞬間でもありました。地震が発生した数分後、母からメールが来ました。青森にいることを知っていたので心配してメールをしてくれたわけですが、書き出しが「電話が繋がらないのでメールしました」になっていました。
恐らく携帯電話のネットワークが災害時はパンク状態になって繋がらなかったのでしょう。しかし、ネットではあっさりコンタクトがとれたわけです。メールだけではなく、ウェブサイトへのアクセスも同様です。地震が発生するとネットユーザーは真っ先にウェブに情報をアップしています。例えば「揺れた」「地震」と書き込む人は Twitter だけでも結構います (プライベートモードにしている人も含めたらもっといるでしょうね)。僕も青森にいた当時はかなり早い段階で Twitter に一言書いていました。実はこれって生存確認に結構使えるのではないかと思うわけです。いち早く自分の知人が無事かどうか知るためのインターフェイスが欲しいと感じました。
どのキャリアも災害用伝言板サービスは設置していますが、わざわざそこにアクセスするのは面倒ですし、たとえ被災地にいなくてもパニクってしまうこともあるわけですから、クリック数は最小限にしておきたいところ。また、人によってコミュニケーションチャンネルが違うわけですし、ひとつに集約するのも無理があるような気がします。
様々なサービスを利用して、ほぼリアルタイムで人々が情報をアップデートしているものの、自分が携帯電話に記載している『リアルな』人情報との整合性がとれていないのが現状です。これについては以前紹介した hConnect コンセプトでも触れましたが、デスクトップアプリとしてだけでなく、携帯電話と連携をとることが出来れば、よりリアルタイム感が増すと思います。
Twitter や mixi といったソーシャルウェアを利用して発信した情報 (生存確認) を、自分のアドレス帳と結合する方法があれば、アドレス帳を眺めるような感覚で生存確認が出来るだけでなく、連絡への窓口も近くなるのではないでしょうか。こうやって文字ばかりで説明しても仕方ないので「Emergency」という災害時に使うソーシャルアドレス帳のモックアップを作ってみました。
パッと見はアドレス帳と同じですが、異なる点が2つあります。まずは、災害が発生した地域周辺に住んでいる方のみがリストアップされる点。どれだけの範囲を指定するかは設定で変えることが出来るようになっており、そのとき気になる人のみ表示するようになっています。ソーシャルウェアを利用して情報発信をしたかどうかも一目で分かるようにアイコンを名前の隣に配置。緑色なら何か情報をウェブ上に書き込んでいるので無事だというのが分かるようになっています。連絡先の上には赤いバーで災害の詳細が書かれており、ワンタップで災害情報を観覧出来るようになります。
災害情報では Google Maps を利用してどの辺で発生した災害なのかインタラクティブに確認することが出来るだけでなく、どれだけの範囲を連絡先に表示しているのか分かるようにしています(一番外側に見える細い円が選択範囲)。このアプリケーションの災害情報は位置関係と概要しか分からないようになっていますが、矢印アイコンをタップすることで、詳細情報が書かれているサイトへアクセス出来るようになります。
連絡先リストの名前をタップすると、左図のような詳細ページが表示されます。こちらは携帯電話のアドレス帳に保管されている個人データを表示してあるだけでなく、その人が利用しているソーシャルウェアの情報も掲載しています。この例では、田中さんは Twitter のユーザーで 2分前に「揺れたー。」というメッセージを書き込んでいます。投稿されたメッセージをタップして Twitter へアクセスするのも良いですし、携帯もしくはメールですぐに連絡出来るようになっています。
自分が災害に出くわした際、又は特定の人に対してメッセージを送信したい際に使うページ。メールを書くのと同じような感覚で、アプリケーションを切り替えることなく、すぐに一言送ることが出来ます。送り先のサービスは複数選択出来るようになっており、自分がもつ複数のネットワークに同時告知して自分が無事であるか宣言したり、又は被災地にいる方に応援メッセージを送ることが出来ます。
いかがでしょうか。
現実的に難しい部分もありますが、不可能というレベルではないと思います。日本にいる限り、地震は避けることは出来ませんし、災害は地震だけではなく台風や火災もあります。災害情報、ネット上のソーシャルネットワーク、そして携帯電話に保管されている情報を組み合わせたアイデアですが、使い方によれば単なる生存確認以外にも用途がありそうです。こうしたアプリケーションが人を近づける可能性もあると思いますし、コミュニケーションの敷居も低くなるのではないでしょうか。動けるものを作れたほうが最高なんでしょうけど、そこまで技術力がないので、見た目で勝負してみました。誰か作ってくれ(笑