ナレッジマネージメントができるワークフローを作ろう
様々な道具を使い分けて生活するのが当たり前の今ですから、どう繋ぎ合わせると楽になるのか考えながら『知識のためのワークフロー』を設計してみてはいかがでしょうか。
自分だけの道具箱を作る
大工の道具箱には、仕事に必要な道具がたくさん揃っています。素人の目から見ると違いが分かりにくい道具でも、プロには欠かせないものだったりします。道具の数が少なくても仕事はできますが、ある特定の目的のために作られた道具を使ったほうが仕事の効率が上がります。
デザイナーにしてもそうです。やろうと思えば Photoshop で様々な種類の仕事をこなすことができます。Photoshop でも UI デザインはできるわけです。しかし、UI デザインに特化した別ツール(例えば Adobe XD)を使ったほうが、画面遷移や使い心地を検証しながら作れるだけでなく、エンジニアとの連携がしやすくなります。大工のように使える道具を増やして適材適所で道具を使い分けたほうが自分にとっても周りにとっても良いことがあります。
道具を増やすと覚えるのが大変になるのは事実。しかし、使える道具が少な過ぎると効率化の機会を失う場合があります。
「ツールが多すぎて混乱する」「過渡期が過ぎれば落ち着くかも」と思った時期もありましたが、今は幾つかツールを集めて自分の道具箱を充実させたほうが仕事がしやすくなると思うようになりました。UI デザインの仕事をするときも Sketch, Figma, Adobe XD を案件ごとに使い分けていますが、お客様が抱えている課題、仕事環境、設計したいワークフローによって変えるようにしています。
デザインツールをはじめ IT 系のツールの素晴らしいところは、個別でツールを使うだけでなく、ツールとツールを連携させることができるところ。例えば Sketch で作ったデザインを JIira と連携できる Inspector Sketch for Jira は好例です。ツールとしては別々ですが、連携させることでプロジェクト進行に関わる幾つかの手間を省くことができます。
ツールは私たちの仕事や生活を拡張する『パズルピース』のようなもの。ピースがどういう役割を果たすのか理解するだけでなく、そのピースが私たちの仕事や生活のどの部分にはめ込むとうまくいくのか考えなければいけません。似たようなピースをたくさん持っていても迷うだけですし、合わないピースを持っていてもかえって手間になります。
情報のフローを整理する
知識整理ツールを選ぶとき、機能だけではなく思考スタイルで選んだほうが良いのも、自分に合うワークフローが作りやすいから。知識整理ツールは、自分の知識を整理するためのピースに過ぎません。様々な情報を自分の知識としてまとめ上げるための『箱』として知識整理ツールがあります。ツールを使いこなすためにも、今どのような情報ソースがあり、知識を使って何をしようとしているのか振り返ってみたほうが良いです。
下図は私の情報の流れを簡単にまとめたものです。
Roam Research は情報を解釈したり整理するための場(Process)ですが、その前にどこかで情報を集めたり(Capture)、インプットする場(Consume)があるはずです。自分は今どこで情報をインプットしているのか整理してみると、どういうピースが必要なのか見えてきます。
例えば電子書籍でハイライトした内容は後で振り返りたいので Roam Research に入れておきたいところ。たまったハイライトを Kindle の web サイトからコピー & ペーストして集めるのも手段ですが、手間がかかります。そこで Readwise のようなツールを使って、書き出しをほぼ自動化してしまうのも手段です。
ハイライトを加える度にコピー&ペーストしなくて良いですし、設定画面からどういう形式でハイライトを書き出したいか決めることができます。こんな小さなツールのためにお金を払うのってどう?と思う方もいるかもしれませんが、何回も同じ作業を繰り返して時間を失うことを考えると安い買い物だと思います。
スマホで情報インプットしている場合は ショートカット App を使って一連の作業を自動化することもあります。特定の用途に特化したツールを集めたり作ったりして、自分だけの知識整理の道具箱を作っています。
Roam Research だけで『がんばる』のもひとつですが、様々な道具を使い分けて生活するのが当たり前の今ですから、どう繋ぎ合わせると楽になるのか考えながら『知識のためのワークフロー』を設計してみてはいかがでしょうか。そうすることで、今自分が使っているツールの役割が明確になりますし、ツールとの向き合い方も変わるはずです。