COULD
すぐに使えるノウハウではなく、「なぜそうなっているのか」を考える記事を書いています。デザインの仕事で感じるモヤモヤに、構造から向き合いたい人のための場所です。
感情移入の邪魔をするエンパシーギャップに注意
「自分は絶対にそうしない」の正体 デザイナーであれば思いやりではなく感情移入ができるようになっておきたい [https://yasuhisa.com/could/article/empathy-design/]ですが、同じ立場になって考えるだけだと思わぬ落とし穴に出くわします。 ダイエット、新年の抱負、過労、セクハラなど、様々な方達のエピソードを聞いたときに「自分だったらそんなことはしない」「なぜそうなってしまったのか」と反応してしまったら危険信号です。それは、 Empathy Gap [https://en.wikipedia.org/wiki/Empathy_gap] (エンパシーギャップ)と呼ばれる認知バイアスの可能性があります。 エンパシーギャップには大きく 2 パターンあります。 * 感情の高ぶりや非日常的な状況の影響力を過小評価してしまう状態 * どのような状況でも客観的に分析・思考できると過大評価してしまう状態 例えば新年の抱負を考えるときは、真っ新な気持ちで様々なプランを立てると思います。しかし、日が経つと次第に宣言した習慣が続かなくなってしまうことがあ
2010年代で変わったデザインとこれから
みんなのwebになった10年代 この 10 年を振り返って大きく変わったのが、web が水と電気と同じように欠かせない存在になったこと。もちろん、それ以前から web は多くの方が使っていましたし、早い時期から web の可能性を信じていた人もたくさんいました。しかし、それでもパソコンという難しいデバイスを使うのが大前提でしたし、多少なりとも専門的な web の知識が必要でした。 少し敷居が高かった web の壁を完全に壊したのがスマートフォンの存在。日本では ソフトバンクモバイルが 2008 年に iPhone 3G を販売していましたが、本格的に普及し始めたのは 10 年代に入ってからだと思います。スマートフォンによって誰でも気軽に web へアクセスできるようになっただけでなく、web かどうかを意識することなく、コンテンツを消費したり作ることが可能になりました。 先進的な人たちだけのものではなく、みんなのものになった web。もう立派なオトナです [https://yasuhisa.com/could/article/next-generation/]。これによって w
デザインシステムを作る前にデザインのシステムを理解しよう
解決しなければならない課題に目を向けなければいけません。一貫性がない状態が生まれた要因は何でしょうか。
Q&A 隠れたステークホルダーの見つけ方
> 大きな会社であればあるほど、プロジェクトが進むにつれて合意形成範囲が広がってしまう場合があります。対面するメインチームのクライアント自身も認識していなかったステークホルダーが後から出てくることもあります。事前にどうすれば良かったでしょうか。 匿名 私自身も経験したことがありますし、数千人規模の大企業になると途中からステークホルダーが増えるという状況は避けされません。ただ、少しでも有利な状況にすることは可能です。 クライアント組織の構造を理解する 案件を進めるとき、クライアント企業の「担当者」が主な窓口となりますが、その方が決裁者ということはあり得ません。その上に「部長」がいるかもしれませんし、そのまた上も存在します。また、組織外にも案件を進める上で重要なキープレーヤーがいる可能性もあります。 早い段階(できれば最初のヒアリング)でクライアント組織と、周りを取り巻く要素は何か把握すると良いでしょう。下図はシンプルな例です。 * コンサルタント / アナリスト: アドバイザーのような役割で入ってくる方で、ビジネスや市場といった全体像を分析した上で、成果物(デザイン
それでも私はデザイナー
今の働き方をするキッカケ 最近、私は業務で Sketch をはじめとしたデザインツールを開く機会が減ってきています。意図的に名を伏せるようにしていますし、実際はチームで作っているわけですから「私がこれを作りました」と言えるものもありません。それもあって周りからは何をしているか分からないと怪しまれるわけですが、それでも「私はデザイナー」と言っています。 何かを作って世に送り出すことがデザイナーと定義するのであれば、私はそう呼ぶ資格がないかもしれません。今は人の課題、部署間の課題、作り方の課題、進め方の課題、改善の課題、運用の課題といった外からでは見えにくいところを取り組んでいます。 上記の課題に興味をもったのも、出来上がった成果物への不満や失敗をした経験があるからですが、「誰のためのデザイン? [https://amzn.to/37KiEnG]」の著者であるドン・ノーマン博士が 10 年前に書いた「Why Design Education Must Change [https://jnd.org/why_design_education_must_change/]」はインスピレー
ユーザー調査に必要な分析の「はじめの一歩」
分析で価値が変わる ユーザー調査 [https://yasuhisa.com/could/article/starting-user-research/] (ユーザーリサーチ)は始めるのも実施するのも大変ですが、分析するのも楽なことではありません。せっかく調査してもログがあるだけでは意味がありません。ユーザーの言葉を引用してポスターやスライドで見せるのは啓蒙目的であれば良いですが、本当に必要なのは次の開発へ繋げるための判断材料です。分析でユーザー調査の価値が決まるところがあるので、次へ繋げるためにも分析は欠かせないところになります。 分析もデザインと一緒でツールの使い方を覚えたり、綺麗なレポートの事例を見ただけでは上達しません。基本を覚えた上で、何度か実践を繰り返すことで少しずつ上達していくものです。定性調査でも定量調査でもつかえる分析の第一歩になるポイントを押さえておけば、レポートの質もグッと上がります。 目的を明確にすること 分析をする前に重要になるのが、調査の目的を明確にすること。分析手段を知っていても、分析対象になるデータの質が悪いと意味がありません。ユーザーインタ
UXデザインを諦めないための戦略作り
デザインという日々のタスクに文脈とストーリーを結びつけることで、どの川に向けて一石を投じているのか分かりやすくなるだけでなく、次に何をすべきか考えやすくなります。
若手・ベテランデザイナー関係なく伝えたかったこと
chot.design [https://chot.design/] という学習サイトで、私のインタビュー記事「 「エンパシー能力を高めよ」——長谷川恭久が若手デザイナーに伝えたいこと [https://chot.design/magazine/yasuhisa/] 」が公開されました。誤解なく読んでいただいているみたいですが、補足情報をいくつか書き出してみました。 エンパシーって思いやりとは違うの? エンパシー / Empathy(感情移入)と シンパシー / Sympathy (思いやり)。英語表記がとても似ていますが、結構違います。 デザイナーなら知っておきたい感情移入と思いやりの違い [https://yasuhisa.com/could/article/empathy-design/] で紹介した動画が一番分かりやすいですが、思いやりは自分の立場で相手を悩みや痛みを捉えることで、感情移入は相手と同じ立場になって悩みや痛みを分かち合うことです。 例えば web サイトの障害者対応も、感情移入と思いやりとでは取り組み方が大きく変わります。思いやりは障害者に対して「可哀想」
課題解決の視点を伝え方にも活かしていこう
メリットがメリットにならないとき 「〇〇は古いから新しい△△のほうが良い」 「今は△△であるべきなのに、なぜ変えないのか」 自分が信じるやり方への想いが強いと上記のような論調になりがちですが、残念ながらこうした言い回しで「よし、では変えてみよう」と思う方はほとんどいません。例えば「web デザインで Photoshop を使うより、XD をはじめとした他のツールの方が良い」と言って新しいツールのメリットを伝えることがありますが、あまり効果的ではないと思っています。 今までのやり方より新しい手段のほうが良い、といった伝え方には下記の問題があると思っています。 * 故意ではなくても相手を否定しているように聞こえてしまう * 伝えている本人にとって得するようにしか聞こえない * 結局、従来のやり方がその人にとって楽 メリットを伝える時、ツール・手法・プロセスにおけるメリットを伝えるのは単にスペック(仕様)に近いもので、それが何であるかを説明しているのに過ぎません。伝えている側は一所懸命「ここが良いんです!」と説明していたとしても、聞き手からすれば「すごいですね。で?」になり