Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。

ブラウザ

Beyond IE Six というページをつくりました

[http://beyondiesix.jp/] 先週いよいよ Internet Explorer (IE) の自動アップグレードが開始 [http://blogs.msdn.com/b/ie_jp/archive/2012/03/26/10287454.aspx]されました。これにより、多くの Web 開発者の頭を悩ましていたバージョン 6 (IE6) がなくなるのではないかと期待している方もいると思います。制作者の都合だけでなくても、より早く安全な Web 体験が出来ることを考えると、利用者にもメリットはいくつかあります。 自動アップグレードによって、IE6のシェアは今後さらに下がることでしょう。しかし、真の課題は IE6 がなくなっても残り続けると思います。見た目を同じにする [http://www.yasuhisa.com/could/article/progressive-enhancement-result/] という古い考え方を持ち続けている間は、IE6

ゲーム

ゲームから立ち返る利用者のためのデザイン

ゲーム要素がゲーミフィケーションではない 2012年3月24日に Android Bazaar Conference 2012 Spring [http://www.android-group.jp/conference/abc2012s/] が開催されました。今まで Android コミュニティとの接点がもてなかったので、今回のようなビックイベントで講演できるのは、またとないチャンスだと思いました。 今回は「人間中心遊戯設計」と題して人に注目したゲームデザインの取り入れ方について話をしました。ゲーム、特にオンラインゲームは私の得意分野。オンラインゲーム [http://www.yasuhisa.com/could/tag/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0/]とデザインに関する話題は 2006 年から取り上げていますし、講演でも [http://www.yasuhisa.com/could/diary/

テクノロジー

激変するテクノロジーとの正しい付き合い方

過渡期はない 「過渡期」という言葉は、今の世界には合わないのではないかと思います。 新しいテクノロジーが出る度に、人は「今は過渡期だから大変」「過渡期だから様子見」と口にします。Webの世界は毎年目まぐるしいスピードで新しいテクノロジーやトレンドが登場することから、毎年こうした言葉を耳にします。私が「過渡期」という言葉が好きになれないのは、私たちは常に変化の中にいるという事実を見ていない、消極的な表現に聞こえてしまうからです。 CSS Nite in FUKUI で、予測不可能な世界でデザインをする [http://www.yasuhisa.com/could/article/unknown-future/] ことの意味を話しました。上の図は、そのときに紹介した技術開発の進展と製品性能の成長を表した「Sカーブ」です。ひと昔は、Sカーブはゆるやかで、サイクルも10年〜20年くらいの長いものでした。しかし、今は複数のSカーブが重なり合っているだけでなく、サイクルも1年と短い場合もあります。 常に過渡期と感じてしまうのは、S字カーブの後期にあるはずだった安定期がなくなり、常に新しい

インターネット

Curator's Code からみるWeb共有のもつ課題

尊重のためのシステム Tumblr や Twitter のように、気軽にリブログやポストがしやすいプラットフォームになると、参照元が分からないポストをよく見かけます。お気に入りの画像を Tumblr で見つけても、参照元・作った人が分からないのでクリッピングしないこともあります(又は自分で検索して探すこともあります)。誰でも簡単に情報を共有できるのが Web の魅力ではありますが、参照元が失われることでコミュニケーションの奥行きが失われることがあります。 昨年の震災 [http://www.yasuhisa.com/could/diary/light-and-darkness/] で明るみになったところがありますが、多くの人は参照元を調べませんし、自分のタイムラインに現れた情報をそのまま受け入れて、再度拡散することがあります。表層的な情報だけが広まるだけで、突っ込んだ情報や議論が見え難くなる場合もあります。何を参照したのか、何を基に情報発信しているのかが分かるだけでも、情報の接し方が変わるのではないでしょうか。 こうした考えを基にして生まれたのが Curator’s Code

Webデザイン

コンテンツ視点で考えるレスポンシブ戦略

SEOならレスポンシブに PC版の Facebook でオススメのリンクをみたら、モバイル版だった。 スマホで Twitter を見ていたら、PC版のサイトに誘導されて操作が面倒だった。 モバイルサイトのアドレスに注目すると、「m」「mobile」「i 」など、のサブドメインが最初に付いている場合があります。これは、PC版の『本家』Webサイトとは別のバージョンを表示していることを意味しています。スマホやタブレットなど、デバイスに応じて最適化されたサイトを表示しています。 利用者のために最適な環境を提供するという意味では、専用サイトは適した対策です。しかし、SEOの視点で見ると専用サイトを作って、URLを細分化してしまうのは良くない傾向です。モバイルユーザーであれば、モバイルで見たサイトをそのまま共有するでしょうし、デスクトップユーザーにしても同様です。10のリンクが付いたかのように見えても URL を見ると 2 つ 3 つに分散しています。 URL をひとつにして、サーバー側で変換するという方法もありますが、サイト全体にかかる負荷を無視するいことは出来ません。デザインの決断を

Webデザイン

今後のWebデザインとの向き合い方

2012年2月25日 CSS Nite in TAKAMATSU vol.6 [http://cssnite.webridge-kagawa.com/vol6/] が開催されました。CSS Nite は、ツールの使い方や制作のノウハウなど、テクニックを扱うことが多いイベントですが、今回は全編を通してコードが出ないという珍しい構成でした。いつもとは少し違う雰囲気ではありましたが、他の CSS Nite にはない満足感を得た方も多かったのではないかという印象を受けました。イベントの様子はTogetterでまとまっている [http://togetter.com/li/263998]ので参照してください。 私のセッションは、Webデザインのウソ・ホント ~ Web らしくデザインするためのヒントと題して、未来を見据えた Web のデザインを行う上で必要な考え方や取り組み方法を紹介しました。 今月はセミナーで登壇する機会が3回もあり、過密なスケジュールでした。準備は大変でしたが、3回を通して一貫としたテーマがあったかと思います。なんとなく「未来のWebデザイン三部作」と呼べる内容だった

Webデザイン

レスポンシブWebデザインから始まる適応への道

2月22日 Web担当者Forum 主催のイベント 企業サイトのスマホ“対応”とその一歩先の”最適化”とは? [https://web-tan.forum.impressrd.jp/q/201201/12016] に登壇させていただきました。今回はレスポンシブ Web デザインの話題を中心に、Web への窓口がますます増える今後にどう対応していけば良いのかを、技術・デザイン・企画・そして具体的なソリューションなど様々な視点で講演されました。 今回は、先月執筆したレスポンシブにデザインするために克服すること [http://www.yasuhisa.com/could/article/responsive-design/]をキッカケで話すことになりました。「 未来へレスポンシブに対応するための設計と戦略」と題して、スマートフォンやタブレットだけでなく、もう少し視野を広げてレスポンシブの実現について話をしました。 クロスオーバーする時期が来た 制作者向けのセミナーであれば、レスポンシブ Web デザインを語るのにふさわしい人は他にいると思うのですが、今回は Web担当者Forum とい

インターネット

流動し続ける時代におけるWebとの付き合い方

2012年2月18日、CSS Nite in FUKUI [http://cssnite.fisc.jp/]が開催されました。今回は「 予測不可能な世界でWebデザインをしよう 」と題して、今後のWebに必要とされる価値と制作のためのアプローチについて話をしました。2年前は聞いたことなかったようなサービスやデバイスが、あっという間に大企業に成長したり、広く普及する時代。先がどうなるか分からない中、私たちは今何ができるのでしょうか。 テクノロジーで変化する人の価値観 価値観は、どのようなテクノロジーと共に暮らしているかで決まる部分があります。「本を読む」にしても、紙媒体の書籍だけ想像する人もいれば、ケータイや電子書籍を想像する人もいます。「TVを見る」にしても、HDDレコーダーをつかって観覧している人と Apple TV を使っている人では番組を見る行為が異なります。 紙の雑誌は、動かないiPad・・・それを当たり前と感じる世代が2年前に突然現れたわけです。 テクノロジーが物事の捉え方に大きな影響を与えているわけですが、近年テクノロジーの進化のスピードが急激に高まったことで、たっ

WD101

WD101: Webは寛容性をデザインする場である

このシリーズでは Web Design101(WD101)と名付けて、ウェブデザインをより深く理解するための最初の一歩になる知識やノウハウをコラム形式で紹介していきます。 * Webは見た目のコントロールがきかない [http://www.yasuhisa.com/could/article/wd101-nocontrol-in/] * モニターの外をデザインするのが大半である [http://www.yasuhisa.com/could/article/wd101-outside-monitor/] コンテンツと、取り囲む要素のバランス Webは、コンテンツを配信・消費するために最適化された媒体(又はシステム)です。テキスト、画像、ビデオなど様々な種類のコンテンツが存在しますが、それらコンテンツを通して人と人、コンテンツとコンテンツ、人とコンテンツが繋がる場が Web です。デザイナーであろうと開発者であろうと、この前提を抜きにして Web デザインを語ることはできません。 コンテンツは純粋な形であればあるほど、より多くの人に届けることが出来ます。装飾された

ゲーム

イノベーションが続くF2Pゲームの現在と未来

ここ 1,2 年で頭角を現しているソーシャルゲームですが、MMOG (多人数オンラインゲーム) のジャンルから見ると、今の流行の前兆をいくつか見つけることができます。 10歳前後をターゲットにしている Club Penguin。親が安心できるような機能やサービスを充実させ、サービススタート当時から高い評価を得ています。 2005年から運営している Club Penguin [http://www.clubpenguin.com/] (2007年にディズニーが買収) は、ブラウザベースの子供向け MMORPG で、無料で遊べるものの有料会員制も導入しています。ソニーが 2009年か運営している Free Realms [http://www.freerealms.com/] は、子供をメインターゲットにしているオンラインゲーム。PlayStation 3, Windows, Mac で遊べる MMORPG で無料から遊べることが出来ます。いずれもノンゲーマーと呼ばれてる人たちからも指示を得ているカジュアルオンラインゲームです。 ソーシャルゲームの定義には様々な解釈がありますが、共にマ

UI

ニュースの理解が深まるタイムツリーコンセプト

リアルタイム時代に必要なニュースUI 新聞サイト・ニュースサイトは、基本的に「記事」という情報の単位をもつことを前提にしています。そして、記事という単位を時系列やテーマ(カテゴリ)別で表示できるように CMS でコントールしています。こうした見せ方は情報サイト全般で扱われていますが、今のニュースのスピードや Web 利用の変化と照らし合わせると、記事という情報単位があまりにも大きく柔軟性が乏しく感じることがあります。現在のニュースサイトのコンテンツに起こっている現象が幾つかあります。 * 速報ですら記事にしないといけないので、200文字程度のページが存在する * 記事というタイトルとテキストを必要とする『入れ物』があるため、テキストだけ、ビデオだけ、写真だけといったコンテンツタイプの格納がしにくい * ソーシャルメディアでブレイクしたニュースに追いつけない * ニュースサイトのリアルタイムと、人が体感するリアルタイムは異なる。ニュースサイトが提示する「最新情報」が人が感じる最新とは限らない * ひとつの出来事が地続きで繋がっているものの、利用者はトピック/タグで絞り込んで検

コンテンツ

Webのコンテンツ配信はマークアップから

異なるマークアップの意味 コンテンツを校正・編集・デザインするという意味合いが Web になると少し異なるのですが、この感覚が多くの方と共有されないまま 2012 年を迎えています。 従来の、つまり紙における校正・デザインは一種の独裁支配といえます。 紙によるコンテンツ配信は、発信する側が最適と考える見た目を、完全な形で読者に届けます。読者が扱い難いと思おうが関係ありません。紙におけるコンテンツ配信の質は、校正・編集そしてデザインにおいて作られた厳密な世界を届けれるかどうかにかかっています。 しかし Web は、配信者側による独裁支配ではありません。骨組みは設計されているものの、あとは読者が自由にコントロールできます。文字サイズが小さいと思えば、自由に大きさを調整できます。白色背景が目にキツいと思えば、色を反転させることもできます。とにかくじっくり読みたいと思えば、 Instapaper [http://www.instapaper.com/] のようなツールを使ってデザイン要素をすべて省いてコンテンツを消費することも出来ます。 従来の「支配する」校正・デザインの感覚をその

コンテンツ

文脈にある2つの分類と人間らしさのバランス

今後デザインしていく上で重要となる文脈 [http://www.yasuhisa.com/could/?s=%E6%96%87%E8%84%88] の理解。文脈と一言でいっても範囲が広過ぎて何処から何をすれば良いのか分かり難い言葉です。文脈によって活かされるコンテンツ配信 [http://www.yasuhisa.com/could/article/context-content/] で取り上げたような実例があると「あぁこういうことか」と分かるものの、実際自分でするとなると始めるための具体的な要素が知りたくなります。 文脈は、ヒューマンとテクニカルの2つに大きく分類することが出来ます。ヒューマン側のコンテキストは人間の態度・行動・思考への理解が必要になる分野です。社会学・心理学とったアカデミックな分野も取り込んで研究するのも手段ですし、ペルソナを用いたデザイン思考プロセスでも導き出すこともできます。 テクニカル側のコンテキストは今の技術をつかって取得することが出来ます。HTML5 の geolocation [http://html5demos.com/geo] はその典型的な例

UX

感情デザインの必要性と評価のためのヒント

あなたは上の写真を見て、ちょっと笑顔になりませんでしたか? 笑わなかったかもしれませんが、悲しくなったり怒ることはなかったと思います。 人は感情の生き物です。自分の想いを表情や仕草によって表現することが出来るだけでなく、他から影響を受けたり、影響を及ぼすことが出来ます。見知らぬ子供の写真を見て、自分の感情が変わったのも私たちが感情の生き物であることの表れでしょう。 ポジティブな感情をデザインを通して引き出すことが出来るのでしょうか。「Design for Emotion [http://www.abookapart.com/products/designing-for-emotion] 」のような書籍が昨年出たのも、感情とデザインの関連性が強いことを示していますし、利用者に注目したデザインプロセスや、文脈 [http://www.yasuhisa.com/could/?s=%E6%96%87%E8%84%88] を考慮したデザインが注目されるのは、人の感情をどうデザインするかを探求するための手段なのでしょう。 従来のコンピューターと人間の関係は比較的シンプルでした。大きな装置に向

アクセシビリティ

見えるアクセシビリティをデザインする

先週の金曜日、アクセシビリティキャンプ東京 キックオフミーティング [https://www.facebook.com/events/149976381777809/]に参加しました。既に世界各地で開催されている アクセシビリティキャンプ [http://www.accessibilitycamp.org/]の東京版を始めるそうで、その最初のミーティングになります。 私自身はアクセシビリティの専門家ではありませんが、今のアクセシビリティ周りの活動や課題、そしてアクセシビリティに関わるプロフェッショナル達が抱く想いを知りたくて今回参加してみました。 見え難いアクセシビリティ 以前から奇妙だと思っているのが、コンテンツ/デザイン/機能など様々な物事において付加価値が重要視されているのにも関わらず、アクセシビリティになると付加価値ではなく、ボランティアに近いサービスとして見られる点。その要因として、健常者は省かれてアクセシビリティが捉えられている、障害者のためにある配慮になっているからかもしれません。アクセシビリティはコンテンツ/デザイン/機能の付加価値になるのですが、そこがまだリンクし

仕事

あなたが定義するWebの仕事を見つけるために

1月13日イマジカデジタルスケープ主催イベントOPEN-iセミナー [http://www.zusaar.com/event/186002] が開催されました。様々な情報やトレンドが目まぐるしいスピードで流れては消えていくので見定めれない。今までのような作り方では続けられないかも・・・となんとなく思いながらも変えることが出来ない方はいると思います。先月の CSS Nite Shift 5 [http://www.yasuhisa.com/could/article/shift5-the-end-of-websites/] では、従来の Web サイト制作は終焉を迎えると話しましたが、そこでは「ではどうする?」といった部分は深く掘り下げませんでした。今回は「 テクノロジー×クリエイティブ視点でみる、Webの仕事の行方」と題して、今後の Web プロフェッショナルの姿をテクノロジー視点、クリエイティブ視点から紹介しました。 あなたが職種を定義している 「Webデザイナーってなに?」「Webディレクターって何をしてるの?」「これから Web デベロッパーってどうなるの?」みたいな話を時々

Webデザイン

レスポンシブにデザインするために克服すること

画像の課題は解決されつつある 先日 Web担当者 Forum で、レスポンシブ・ウェブデザインの功罪とモバイルファースト [http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2012/01/10/11911] という記事が掲載されました。Media Queries [http://www.w3.org/TR/css3-mediaqueries/] を活用するなど実装のための概要を説明した上で、非表示だけど読み込まれているから膨大な画像素材が存在する PC サイトのレスポンシブデザインは不適切であると書かれています。 現存の Web サイトを Media Queries だけでレスポンシブ・ウェブデザインをするのであれば、Web担当者 Forum での指摘は間違っていませんが、実際のところレスポンシブにデザインすることは、Media Queries による対応だけではありません。例えば、画像の表示のさせ方を工夫すれば、記事で指摘している課題はある程度解決できます。Web担の記事からもリンクされている CSS Rador

インターネット

キーワード 2012: Everyscreen(スクリーンワールド)

スクリーンに囲まれた世界 「デジタルとリアルの境目がなくなってきた」 「リアルな交流が Web でも出来るようになった」 そんな言葉を耳にするようになった理由のひとつは、Web へアクセスする手段がパソコン以外からでも手軽に出来るようになったから。いつでも何処でもアクセス出来るわけですから、Webを身近に感じるのは当然のことなのかもしれません。スマートフォンだけでなく、 iPad [http://www.apple.com/jp/ipad/] や Kindle Fire [http://www.amazon.com/Kindle-Fire-Amazon-Tablet/dp/B0051VVOB2] をはじめとしたタブレット機器も利用され始めたことで、パソコンから Web を見るという行為は過去のものになりつつあります。 Ciscoの調査結果によると [http://newsroom.cisco.com/press-release-content?type=webcontent&articleId=5892556] 、2015年までにモバイル機器のインターネットのデータ送受信量は今の2

インターネット

キーワード 2012: Cultivate(耕作する)

昨年「キーワード 2011」と題して注目のテーマを幾つか紹介しましたが、今年もやります。最初のキーワードは「Cultivate 」です。農業に挑戦しようという意味ではなく、耕作するときのような視点と振る舞いをしようという意味が含まれています。このキーワードはデザイナーだけでなく、Web に関わる様々な仕事に通じます。 Webの狩猟時代は終わった Web だけではありませんが、今までのビジネスは石器時代の狩猟社会に似ていると思います。顧客をたくさん獲得すること、ひとりでも多くの振り向いてもらうこと、自分たちの場所に集めること・・・これらは野生の動植物を採取していた石器時代の狩りと重ねることができます。Web でもページビューや会員数の価値は未だに高いですし、ソーシャルメディアだと言っても結局 Like 数やフォロワー数といった『採取数』が重要視されています。とにかくたくさんの人に注目してもらうにはどうしたら良いのか、という考え方は狩猟社会的な価値観かもしれません。 人の顔が見え難く、ひとりひとりのニーズを聞き入れることが難しい状況であれば、たくさんの人を『刈り取る』くらいしか出来なか

コンテンツ

Year in Review 2011

#a01文脈を理解したWebコミュニケーションデザイン [http://www.yasuhisa.com/could/article/context-web-communication/] 今年の Web デザインを語るのにひとつの軸になった記事。モバイルにフォーカスした記事も書きましたが、来年も文脈をテーマに幾つか記事を執筆することになると思います。 記事を読む [http://www.yasuhisa.com/could/article/context-web-communication/]#a02 デザインのなかにある魔法と活用の仕方 [http://www.yasuhisa.com/could/article/design-magic/] 仕組みが分かっていると、どうしてもこうした感覚を失いがちになりますが、重要な視点だと思います。デザイナーは錬金術師であれ。 記事を読む [http://www.yasuhisa.com/could/article/design-magic/]#a03ソーシャルメディアがもつ光と闇 [http://www.yasuhisa.com/coul

UI

伝わるアニメーションのための第一歩

2011年 UI/UX トレンド [http://www.yasuhisa.com/could/article/ui-ux-2011-trends/] で、アニメーションが実装される機会が増えるだろうと予測しました。今はアプリだけなく、Webサイトでもよく見かけるようになりました。実装が簡単に行えることから、何気なく使われていることが多くなったわけですが、正しく実装するのが意外と難しかったりします。 アニメーション効果はコミュニケーション を円滑にするために使われるべきです。アニメーションが発生した瞬間に何かしらのコミュニケーションがインターフェイスと利用者の間に生まれます。つまりアニメーション効果を実装するということは、コミュニケーションの目的を明確にすることから始まります。コミュニケーションを確立しているかどうかで、アニメーション効果がギミックになるのか、意味のあるものになるのか決まります。 アニメーションと一言でいっても様々な形があります。例えば jQuery [http://jquery.com] には以下のようなアニメーションが実装可能です。 .animate()C

インターネット

Louis C.K. とネットプロモーションの挑戦

Louis C.K. [http://en.wikipedia.org/wiki/Louis_C.K.] というアメリカのコメディアンがいます。人や社会を皮肉な視点で描写しつつも、そのストレートなコメントがおもしろく聞こえるという点では George Carlin [http://en.wikipedia.org/wiki/George_Carlin] に似ているところがあります。そんな彼が最近 Web を活用して興味深い実験を行いました。 日本のお笑い芸人と同様、アメリカのコメディアンもライブの模様を DVD で販売しているわけですが、先日インターネットで個人販売 [https://buy.louisck.net/]を始めました。5ドルでしかも DRM なし。購入したらすぐに彼のライブを好きなデバイスで楽しむことが出来ます。 個人販売といっても6つのカメラで撮影され、プロによって編集された本格的なライブ作品。販売を始めてから3日間で 500,000 ドルの売上を記録。チケット販売である程度、映像制作のコストはまかなえているそうですが、Web

インターネット

開かれたWebと閉じたWebの間で

先月の WordCamp の講演 [http://www.yasuhisa.com/could/article/wordcamp-contentstrategy/]で、CMS は API のような存在になると話しました。Webサイトに訪れてもらうために情報(ページ)を管理するための CMS から、様々なデバイスやサービスへ配信することを考慮したコンテンツ(データ)を保持する CMS へ変化する。そのためにも、CMS を扱う私たちは Web ページという枠に囚われない設計が必要になるという内容でした。 WordCamp という場だったので、CMS にフォーカスした内容になりましたが、実のところ Web そのものが API になりつつあります。 従来 Web上にある様々なデータを読み込んで、人が理解できるインターフェイスにするのは Web ブラウザの役割でした。パソコンに最初からあったことと、多くの方に使われていたという理由で Web ブラウザという名のアプリで動作する技術が使われ続けていました。 Web ブラウザ上で情報を表示させたり動作させるためには

コンテンツ

Webサイト制作の終わりと始まり

12月10日に年末好例のイベント CSS Nite Shift [http://lp20.cssnite.jp/] が開催されました。Webサイト制作に関わる様々なキーワードに触れながら1年を振り返るこのイベントも既に5回目。今年は「我々が知る世界の終わり(けど大丈夫) 」と題し、Web に関わるプロフェッショナル達が、今後クライアントや利用者に向けてどのような価値を提供できるのかというテーマで話をしました。 Webサイトを作ることが目的になっていないか いつの間にか、公式サイトを作って公開することが当たり前になっている今日。CMS が広く導入されるようになってきた頃から、「とりあえず作る」という傾向が強くなった印象があります。システムを上手く活用すれば、コンテンツはあとで後で流し込めるので、コンテンツが揃う前に作れる(装飾をする)という考えが定着したのかもしれません。作ることが目的になっているからこそ、Web サイト制作における価値も作るためのスキルと、早く作るための効率化が中心になりがちです。 いつの時代になってもスキルや効率化は重要です。しかし Web サイトを作ることが目