Yasuhisa Hasegawa

Yasuhisa Hasegawa

Web やアプリのデザインを専門しているデザイナー。現在は組織でより良いデザインができるようプロセスや仕組の改善に力を入れています。ブログやポッドキャストなどのコンテンツ配信や講師業もしています。

Webデザイン

組み立てるだけのサイト制作プロセスを変えるヒント

書籍や雑誌をはじめとした印刷物。TVやラジオで見られるような広告。デスクトップで動作するソフトウェア。これらの制作プロセスは Web サイト制作において影響を与えてきてモデル。テクノロジーやノウハウが蓄積され独自性も多少出て来たものの、Webサイト制作プロセスは基本的なところは10年くらい変わらないのではないでしょうか。 配布してしまったら終わりの印刷物。一瞬でもインパクトがあればそれで良いテレビCM。企画といっても仕様や機能を決める話になり、始めたら後に戻りにくいウォーターフォール式のソフトウェア開発。いずれのプロセスも長所はありますし、それぞれの形に合っているから使われているわけですが、人と人、情報と情報、そして人と情報が常に双方向に繋がり続けている Web という有機体にはいずれの方法も適していません。 流動的に変化を続ける Web だからこそ、アジャイルソフトウェア開発 [http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%95%E3%

言葉

Q&A: エンゲージメントを与えるための考え方や手法はありますか?

> 成果物のUXにおいて、Jesse James Garrettが話しているようにエンゲージメントを与えるということが重要になってくると思います。それぞれのサイトの趣旨によっても変わってきますが、長谷川さんはどのようなアウトプットの仕方でエンゲージメントを与えようと考えますか?また、その際、気を付けていることや長谷川さんが持っている方法論等があれば教えてください。 from: toshi ここ数年、デザインやマーケティングなど様々な分野で耳にするようになった「エンゲージメント」。愛着心や絆など、分野でによってニュアンスが微妙に異なるこの言葉ですが、ここで言う「エンゲージメント」とは「積極的に行動する状態」「集中・没頭出来る状態」を指します。アプリケーションやサイトを利用において、利用者が意味のある体験をしたかどうかを測る測定値としてエンゲージメントに注目する場合もあります。エンゲージメントのある体験とは楽しいだけでなく、生産的でしょうし、簡単と感じる場合もあるでしょう。 楽しい時間を過ごしているとき、自分にとって意義のあることをしているときは、集中力が増しますし、時間がアッと言う間

google

Waveから見えてくるGoogleの弱点

発表された当時から「なんかスゴそうだけど何かよく分からない」と言われていたGoogle Wave。常に細かな改善はされていましたし、今年の 5 月に開催された Google I/O 2010 [http://www.yasuhisa.com/could/article/google-positive-ux/] では Wave を利用したカンファレンスの整理や情報交換に利用されていました。私も先月開催されたセミナー&ワークショップ [http://www.yasuhisa.com/could/diary/aomori-ux-2010/]で Wave を利用していたわけですが、発表されてわずか1年でGoogle Wave 開発中止 [http://googleblog.blogspot.com/2010/08/update-on-google-wave.html]になりました。 一般公開されている Public Wave を見てみると結構盛んなやりとりをされているものも少なくなく、

UI

メタファーが作り出す期待値と使いやすさの関係

Webをはじめとしたテクノロジーを利用したものには、馴染みのない機能や象徴的で捉え難いアイデアがあります。それらをスクリーンショットで見せたり、分かりやすい解説があったとしても伝わらない場合が多いです。そこで、他にある似たようなものと関連付けさせて理解しやすくします。これを私たちは「 メタファー」と呼びます。 メタファーはパソコンの中にたくさん見ることが出来ます。アイコンデザインがその代表格です。絵としてフォルダを表現することで、頭の中で「幾つかの書類をまとめることが出来る」という本物のフォルダと関連付けがしやすくなり、操作を促すことが出来ます。 フロッピーディスクアイコン (保存) [http://www.yasuhisa.com/could/article/meaning-of-save/] のようにメタファーからシンボルへと進化した例外もありますが、機能やインタラクションを説明せずに利用者に伝えることが出来るメタファーは、アプリケーションデザインやWebデザインでよく使われます。 メタファーが作り出す「使い難い」 ユーザビリティを向上させることが出来るメタファーですが、何

openwebdesign

記事ページのアクセス通信簿

今のような記事ページになった理由 今年の始めに記事ページを新しくしました。そのあと小さな調整を行ったり機能を追加はしていましたが、そろそろどのような結果が出たのが発表するには良い時期だと思いますので幾つか紹介したいと思います。 ご存知の方もいるかもしれませんが、今「記事」と呼ばれるエントリーはほとんどすべてレイアウトが違います。中には色を変えただけのものもありますが、レイアウトが少し複雑なものや画像が活用されているものもあります。凝り過ぎたことをすると読み難くなってしまいますが、毎回見た目が新鮮なので飽きることもありませんし、それがキッカケで読んでくれる方もいるかと思います。 最近、海外ではこうした記事ごとにレイアウトを変えるという手法が増えて来ていますが、私は10年近く前に同じようなことをしていました。当時は CMS もなく、ひとつひとつ HTML で書いていました(アーカイブページのリンクまで手書きで調整していたわけですから、今考えると信じられない手間ですね)。学生で時間があったということで日記を書く度にレイアウトを変えていましたし、場合によっては Flash も利用してい

デザイン

Q&A: ユーザー側面の変化をどのように促しますか?

> ユーザーを利用者や閲覧者などに分類するのをx軸と考えると、各タイプの成長、もしくは分類の変化をy軸と考えられるのではと思いました。最終的に獲得したいターゲットユーザーにもよりますが、例えば、ECサイトでの観覧者から消費者への変化という風に、各タイプの学びによるステップアップ、もしくは他タイプへの変化は、どういう道程・要因が考えられるかをお聞きしたいです from: CalmTech [http://twitter.com/calmtech] この質問に応えるには、まず全体像を視覚化してみたほうがよさそうですね。X軸のユーザ分類にはユーザーという言葉に潜む5つの側面 [http://www.yasuhisa.com/could/article/five-sides-of-the-word-user/] で紹介したものを活用します。左から右へ向かうにつれてユーザーがより能動的なアクションをとると見なして並べてみました。Y軸には「ECサイト」や「Webアプリ」など幾つかサイトの種類を配置。各種Webサイトがどういった側面をもったユーザに響くのか考えてみました。 例えば EC サイトだ

意見

新聞サイトの有料サービスの糸口

有料コンテンツは成功しない? イギリスの新聞サイト The Times [http://www.thetimes.co.uk/] は、6月から 有料サービス [http://www.timesplus.co.uk/] を開始し、記事の全文を読みたい場合は会員登録をしなければならないようにしました。その結果、2月のアクセス数に比べ 90% も落ちたそうです (詳細記事 [http://www.guardian.co.uk/media/2010/jul/20/times-paywall-readership] )。外サイトからリンクを辿ってアクセスした際は、自動的に登録ページへリダイレクトされるように設定されており、そのうちわずか 25.6% が先に進んでサイトを観覧したそうです。値段だけでなく、やり方も不味かったと思いますが、これは大打撃といえるでしょう。 The Times は 15,000 の有料会員を獲得したので、一概に失敗例とは呼べません。

UX

青森で話したUXの大事なコト

先週7月17日、青森のほうで UX をテーマにした講演 [http://yes-aomori.jp/?p=583]をしました。青森は CSS Nite AOMORI 2007 [http://cssnite.studiomd.jp/seminar/2007.php] 以来、毎年来青しているので「訪れる」というよりかは「戻ってきた」というイメージがしますね。2008年前はWebマーケティング [http://www.yasuhisa.com/could/diary/seminar-in-aomori-july2008/]、そして2009年は コンテンツ戦略 [http://www.yasuhisa.com/could/diary/aomori-marketing-seminar/] について話をしました。来青経験はあるものの、ほとんどのセミナーが講演のみでしたが、今回はセミナーとワークショップをワンセットにしたイベントでした。 UX

セミナー

不合理な人間から導き出すデザイン提案

作り方ではなく考え方で変わる [http://www.amazon.co.jp/gp/product/4152089792?ie=UTF8&tag=could-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4152089792] 最近、行動経済学に関わる書籍や文献を読む機会が増えてきていますが、その中でおもしろかったのが「予想どおりに不合理 [http://www.amazon.co.jp/gp/product/4152089792?ie=UTF8&tag=could-22&linkCode=as2&camp=247&

UX

ユーザーという言葉に潜む5つの側面

U > X 抽象的なアイデアを話しているかのようにみえる「UX」ですが、意味をあやふやになってしまうのは実は「Experience (体験)」のほうではなく「User (ユーザー)」という部分にあるのではと感じています。「Webサイト」とひとことで表すものの、Webアプリケーション、Eコマース、コミュニティサイト、個人サイトと様々な種類があり、それぞれ人との関わり方が違います。Webでの操作は能動的なものが多く「User / 利用者」と表現しやすいですが、すべてが能動的な Web サイトではありませんし、能動的な行動にも幾つか違いがあります。 使うといっても、Webアプリケーションを操作する方と、Eコマースを訪れる方は見所が違いますし、自分がした体験の評価の仕方も異なります。つまり、UX について語るとしてもどのような人たちに何を提供したいのかという前提を共有していないと、「よい体験を」なんていうえらく抽象的で当たり前のような回答しか出てこないこともあります。「U」なくして「X」はないわけです。言葉では User と単純に表していますが、単なる利用者としてしか言葉を捉えていないとすれ

google

Google が考えるよりよいユーザー体験とは

先月開催された Google I/O 2010 [http://code.google.com/intl/ja-JP/events/io/2010/] は、WebMプロジェクト、Chrome Web Store、Google TV などなど興味深い話題が目白押しだったわけですが、デザイン関連でもおもしろい講演があったのも見逃してはいけません。Google とデザインはかけ離れていると考える方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。装飾的な意味でもデザインはないかもしれませんが、彼等は高いデザイン意識をもって開発をしています。その例として以前紹介した Google のデザインガイドライン10項目 [http://www.yasuhisa.com/could/article/google-design-guideline/]が挙げられます。 Google I/O では「Beyond design: Creating positive user experiences [http:

UX

使いやすいさと認知負荷のバランス感覚

私たちが「使いやすい、直感的」だといっている機器やソフトウェアでも、脳や身体は何かしらの処理を行っています。自分が使いやすいと思っていることも、人にとってはそうではない場合があります。これはリテラシーの高い/低いということで片付けることが出来ることでしょうか。デザインを考えるにおいて「簡単に(気軽に)使ってもらう」ということはひとつの課題であると同時に目標です。 インストラクショナルデザイン [http://ja.wikipedia.org/wiki/インストラクショナルデザイン] は、人がいかに学習するのかを研究しデザインする分野です。Wikipedia では「より良い学習の環境を総合的にデザイン」と書かれているので、教育分野のデザインと考える方も少なくありません。20世紀後半から今世紀になると人の学習の仕方だけでなく、脳がどのように情報を処理するのかにも注目が集まりはじめます。こうした背景から 認知負荷理論 [http://en.wikipedia.org/wiki/Cognitive_load_theory] (Cognitive Load Theory) が登場します。 人

コンテンツ

よりよいコンテンツ開発と環境つくりの関係

先月ひっそりと実装された、新しい機能「読むモード」。このサイトの読書体験を毎回新鮮なものにしたいという思いから様々なレイアウトで提供しているものの、人によってはシンプルに読みたいという方もいます。そういった方に向けてナビゲーション要素や独自のレイアウトを一切省いて読むことを可能にするのが「読むモード」です。 RSSを購読 [http://www.yasuhisa.com/could/rss] してもらえれば、同等のシンプルな見た目で読むことは出来ますが、わざわざ購読はしたくないけどシンプルにさっと読みたいという方には最適な機能だと思います。 iPad で読むモードに切り替えても読みやすい 記事ページのリニューアル以来、どれくらいの方が下のほうまでスクロールしているのかをモニタリングしていますが、およそ8割の方が記事下までスクロールしています。今のところ読むモードにするとトラッキングの JavaScript も Off になってしまいます。それゆえ読むモードによって最後まで読む方が増えたかどうかというのは検証しにくいですが、設置後の滞在時間が若干減ったことを考えるとすぐに読み終えている

インターネット

ソーシャルメディアの語源から分かる課題

仕事の関係上、聞かない日がないくらい「ソーシャルメディア」という言葉をよく耳にします。しかしその言葉の使われ方に違和感を感じることがありますし、従来のメディア配信と変わらないと感じることもあります。そもそもソーシャルメディアという言葉はいつ使われ始めたのでしょうか? Danah M. Boyd と Nicole B. Ellison が、2007年に発表した「Social Network Sites: Definition, History, and Scholarship [http://jcmc.indiana.edu/vol13/issue1/boyd.ellison.html] 」というSNSに関する文献で始めて「ソーシャルメディア」という言葉が使われたといわれています。以下がその文献でソーシャルメディアという言葉が使われた文章になります。 > Furthermore, as the social media and user-generated content phenomena grew, websites focused on

TV

私が LOST を愛した理由

先週終了したTVシリーズ「LOST」についての記事ですが、ネタばれは書かれていません。記事の内容は全体的なテーマや番組が試みた手法について書かれているので、特定の謎についても説明されていません。ただし、リンク先がネタばれに繋がる場合があるので注意してください。 LOSTを取り巻く神話 LOST [https://www.amazon.co.jp/dp/B002L22FTY?tag=could-22&camp=1027&creative=7407&linkCode=as4&creativeASIN=B002L22FTY&adid=0KZTNK9TSR4D4H93XVY6&] がおもしろい理由のひとつとして数多く存在する象徴的表現にあると思います。John Locke [http://www.lostpedia.com/wiki/John_Locke] や Rousseau [http://www.lostpedia.

google

Google Font API で手軽に始めるフォント遊び

Say Hello to Google Font API昨日開催された WDE ex -vol9 [http://atnd.org/events/3819] (Twitter TL [http://twitter.com/#search?q=%23wdx]) の懇親会で「Google がフォントのホスティングやれば良いじゃないか」という話題が出ていたのですが、朝起きたら Google Font API [https://developers.google.com/fonts/] として現実的なものとなっていました。Web Font をホスティングしているサービスは海外で既に幾つかありますが、ほとんどが JavaScript のコードを貼付ける方法が採用されており、中には body 内に記述しなければならないものもあり、エレガントな方法とはいえませんでした。 今回公開された Google の API

アイデア

Operaのセミナーで感じた今のWebにみる危険性

もう、先週の金曜日になりますが Opera が主催するイベント「Tomorrow’s Web Today [http://my.opera.com/chooseopera-Japan/blog/2010/04/21/tomorrow-s-web-today] 」に参加してきました。Opera 共同創設者である Jon Stephenson von Tetzchner [http://bit.ly/aJsaJU] の話を聞けるということで、大変愉しみにしていました。HTML5 や CSS3 のようなキャッチーなトピックもイベントでは話されていましたが、彼がどう Web の未来をみているのかという部分に興味を引かれました。 昨年 Opera のパネルディスカッション [http://www.yasuhisa.com/could/diary/opera-japan-panel-discussion/] に参加したときにも感じたことですが、Opera

UX

デザインを知るきっかけを作る Design with Intent

イギリスのデザイナー Dab Lockton [http://architectures.danlockton.co.uk/] 氏が中心になって開発された Design with Intent [http://www.danlockton.com/dwi/Main_Page] は、デザインをより深く考えるのに便利なツールキットです。カードがリリースされたのは今月ですが、プロジェクト自体は 2008 年 [http://architectures.danlockton.co.uk/2008/01/05/towards-a-design-with-intent-method-v01/] から続いている長いプロジェクト。何度か形を変えたり、コンテンツが加わって現在の形になりました。 このツールキットはブレインストーミングやアイデアをつくるための材料として作られたそうですが、ひとつひとつ読むだけでも勉強になります。カードサイズであることから文字数も限られているので、英語でもさらっと読める感じ。101枚あるカードは8つのカテゴリ (視点) に分類されています。ダウンロードページ [http:

ビジネス

自由になったWebの情報と広告について

先日、某紙媒体の企業が定期的に開催している勉強会にゲストスピーカーとして参加させていただきました。紙媒体でのビジネスが中心ですが、豊富なコンテンツを揃えた Web サイトを長く運営しているこの企業。去年から社外の方を招いて今後の Web での展開を模索するために勉強会を開いているそうです。Webサイト制作だけでなくマーケティングに近い分野まで広げて講演をすることがあるので、こうした制作に特化しないところで話が出来て非常に有意義でしたが、同時に訪れた企業のビジネスモデルについて知識をもっているわけではないので、どこまで伝えることが出来るか不安でもありました。 勉強会での詳細は紹介出来ませんが、そこで感じたことを書き残しておきます。 自社の領域を示す囲みがないWeb 紙媒体だけではなくテレビにもいえることですが、コンテンツをパッケージング出来ることがひとつの特徴です。コンテンツ配信者側が考える最適なビジュアルと情報の分量をコントールし、そのままの形を視聴者に届けることが出来ます。当然、こうしたパッケージングの概念をもちいて成功している Web サイトは少なくありませんが、利用者と We

UX

機械的に評価をしない私たちだから

私たちは様々なことに対して「よかった」「イマイチだった」と評価することがあります。食べ物や音楽もそうですし、私たちが毎日のように利用する Web サイトもそうです。例えば食べ物を評価するとしましょう。その際、評価で最も重要となる要素は味です。食べ物であるわけですから、味が重要なのは当然ですが、果たして私たちは本当に味だけで食べ物を評価しているのかといえばそうではありません。場合によっては味が評価の際に最も重要な要素ではない場合もあります。 例えば、誰かのホームパーティに誘われたとしましょう。 そのときに出て来きたものは、腕のいいシェフが最高の食材を使って料理した食事にはほど遠いものです。コンビニで買った食べ物の味の方が良かったのかもしれません。しかし私たちはきっとそのホームパーティで食べた食事を「とても美味しかった」と記憶すると思います。 私たちは味だけでなく、どのような場所で誰と一緒に時間を共にして食事をしたのかということも含めて善し悪しを評価します。もしそのホームパーティが、一緒に料理をして自分達でつくったものを食べるという体験も含まれていたら、味は一層良く感じるかもしれません

広告

Webで広告を見せる前に必要なこと

Do we really hate ads? 広告 (バナーやテキスト広告) は Web サイト運営において貴重な収入源のひとつです。しかし、広告を観覧している利用者にとってはあまり好まれていない存在でもあります。AP (Associated Press) では民族誌学の視点からニュースサイト読者の研究 [http://www.niemanlab.org/2010/03/aps-ethnographic-studies-look-for-solutions-to-news-and-ad-fatigue/] を進めていますが、読者は現在の Web における広告の体験に満足しておらず、多くはウンザリしているそうです。しかし、広告そのものを嫌っているというわけではなく自分に関係のある広告であれば見たいと考える方も少なくありません。 こうした結果は AP による調査より以前から言われていることなので驚くことではありません。ビルボードや雑誌や TV の広告のように、今まで自分には関係のない広告をたくさん見てきた私たちが、なぜ Web だとウンザリしてしまうのでしょうか。その理由として、Web

サービス

ロイターが新聞向けに視覚化サービスを開始

部数が減って苦しい状況に置かれている新聞ですが、その新聞に向けて新しいサービスをロイターが提供を開始しました。Reuters Financial Infographics [http://thomsonreuters.com/products_services/media/media_products/news_agency/graphics/reuters_financial_infographics] は、ファイナンスデータを視覚化したものを、新聞社のニーズに合わせて提供するというもの。すべて自動化されているこのサービスは、紙面の大きさに合わせて作成してくれるだけでなく、特定の企業や業種に絞るといったカスタムビューも作ってくれます。印刷にも耐えられる EPS か PDF で、決まった日時にデータが送られるそうです。 以前、執筆した「ウェブらしい新聞サイトのあり方とは [http://www.yasuhisa.com/could/article/web-oriented-newspaper/] 」という記事で、新聞サイトはサービスプロバイダーになるべきだという話をしました。コ

UX

ところで「体験」ってなんですか?

Daniel KahnemanThe riddle of experience vs. memory Using examples from vacations to colonoscopies, Nobel laureate and founder of behavioral economics Daniel Kahneman reveals how our “experiencing selves” and our “remembering selves” perceive happiness differently. This new insight has profound implications for economics, public policy — and our own self-awareness. 「よりよい体験を提供する」 という言葉を耳にすることがありますが、

IA

1991年の資料から学ぶ情報デザインチェックリスト

Web デザインをきっかけに知ることになった方も多いと思いますが、IA (Information Architecture) の歴史は長く 30,40 年ほど遡ることが出来ます。IA と明確に書かれていない書籍でも IA に関わる資料が昔からたくさんあるわけですが、当時はどのようなことが書かれていたのでしょうか。今と変わらないもの、そして今とは違う事柄はあるのでしょうか。Volkside の「17 guidelines for better information architecture…from 1991 [http://www.volkside.com/2010/03/15-guidelines-for-better-information-architecture-from-1991/] 」という記事で Kent L. Norman が執筆した「The Psychology of Menu Selection: Designing Cognitive Control at the Human/Computer

google

価値のあるコンテンツを提供しているかを調べる方法

以前 Google のウェブマスターツール [https://www.google.com/accounts/ServiceLogin?service=sitemaps&hl=ja]を利用して 簡単にコンテンツが最適化されているかを見る方法 [http://www.yasuhisa.com/could/article/google-webmasater-tool/] を紹介しました。自分のサイトがどのようなキーワードを通して露出しているのかを知るのに手軽で便利なツールですが、検索エンジン (Google) からみた視点なので、訪問者全体を表しているわけではありません。そこで Google Analytics [https://www.google.com/analytics/] を利用して、読者がどのコンテンツを好むかを調べることが出来ます。機能が多い Analytics ですが、今回紹介する方法はほんの数分でできます。 Analytics の右側のメニューにある「コンテンツ」から「タイトル別のコンテンツ」を選択すればどのコンテンツが見られているのかを調べることが出来ます。ディフォル