言葉

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言葉

若手・ベテランデザイナー関係なく伝えたかったこと

chot.design という学習サイトで、私のインタビュー記事「「エンパシー能力を高めよ」——長谷川恭久が若手デザイナーに伝えたいこと」が公開されました。誤解なく読んでいただいているみたいですが、補足情報をいくつか書き出してみました。 エンパシーって思いやりとは違うの? エンパシー / Empathy(感情移入)と シンパシー / Sympathy (思いやり)。英語表記がとても似ていますが、結構違います。デザイナーなら知っておきたい感情移入と思いやりの違いで紹介した動画が一番分かりやすいですが、思いやりは自分の立場で相手を悩みや痛みを捉えることで、感情移入は相手と同じ立場になって悩みや痛みを分かち合うことです。 例えば web サイトの障害者対応も、感情移入と思いやりとでは取り組み方が大きく変わります。思いやりは障害者に対して「可哀想」「大変そう」という視点から何かしてあげようという姿勢になりがち。一方、障害をもって web へアクセスすることを疑似体験を通して発見したり共感することは感情移入になります。 Web アクセシビリティという言葉の捉え方や対応への姿勢もそれぞれ異なると思います。 様々な生き方ができる今だからこそ、自分の物差しだけで解釈したり評価しない姿勢をもつことが今後ますます重要になるので、エンパシー(感情移入)は大切なキーワードだと思っています。 なぜクライアントワークなの? 私は web

仕事

課題解決の視点を伝え方にも活かしていこう

メリットがメリットにならないとき 「〇〇は古いから新しい△△のほうが良い」 「今は△△であるべきなのに、なぜ変えないのか」 自分が信じるやり方への想いが強いと上記のような論調になりがちですが、残念ながらこうした言い回しで「よし、では変えてみよう」と思う方はほとんどいません。例えば「web デザインで Photoshop を使うより、XD をはじめとした他のツールの方が良い」と言って新しいツールのメリットを伝えることがありますが、あまり効果的ではないと思っています。 今までのやり方より新しい手段のほうが良い、といった伝え方には下記の問題があると思っています。 故意ではなくても相手を否定しているように聞こえてしまう 伝えている本人にとって得するようにしか聞こえない 結局、従来のやり方がその人にとって楽 メリットを伝える時、ツール・手法・プロセスにおけるメリットを伝えるのは単にスペック(仕様)に近いもので、それが何であるかを説明しているのに過ぎません。伝えている側は一所懸命「ここが良いんです!」と説明していたとしても、聞き手からすれば「すごいですね。で?」になります。伝える側の熱量が高ければ高いほど、受け取る側とのギャップはより大きなものになるでしょう。 これはあらゆるコミュニケーションで言えることです。デザインの仕事でも下記のような課題に取り組んでいる方はいると思います。

プレゼン

デザインが伝わらないシンプルな理由

ぬるま湯の会話が生む勘違い デザイナーだけに限った話ではないですが、クリエイティブ職の方との会話が楽なのは、感覚的なところもスッと通じ合えるところだと思います。見せるだけで「そうだよね!」「ちょっと違うよね」のような会話が始まります。こうしたコミュニケーションはひとつの理想ですが、言い換えると『ぬるま湯』です。気持ちが簡単に伝わるコミュニケーションだけしていると、それが当たり前と勘違いするだけでなく、周りが理解しないことに不満を抱いてしまいます。 例えば、何も文脈を共有していないまま以下のような言葉でデザインを説明しても伝わりません。 信頼性 シンプル ブランドに合う 使いやすい かっこいい かわいい 感情に響く エモい デザイナー同士であればこうした言葉ですんなり伝わってしまうので、ついつい使いがちです。しかし周りからすればこれらはユルフワな表現で、何が言いたいのか分かりません。「信頼性」という言葉はよく使われますが、以下の質問を説明できなければ個人的な感覚に過ぎないわけです。 そのプロジェクトにおいて、なぜ信頼が重要なのか 信頼とは何に対する信頼なのか 信頼を獲得することによって、どういう行動・感情が生まれるのか こうした疑問に答えることができずに「信頼性のある青を選びました」という表層の説明をしても、聞き手は「感覚的な良し悪しの話?」と受け取ることになります。

仕事

オトナがwebを殺さないために

「分からない」が将来を潰す 「インターネットってどうせ流行りでしょ?」 「FAXのほうが良いじゃないですか」 「今までのやり方で上手くいっているから必要ない」 小さな頃から web を当たり前のように使っていた人には信じられないですが、昔はそんなことを言っていた人がいました。企画提案をするにしても、過ぎ去っていく流行ではないことを説得するところからスタートすることもありました。 若い頃は昔の価値観にしがみついている人たちにどう伝えれば良いか分からなくて苦労しましたし、自分が『オジサン世代』になったら絶対こうなりたくないと思っていました。自分には分からないから、周りにはさせないみたいな態度が成長を遅れせてしまうのではないでしょうか。 『オジサン世代』になってしまった今でもそう考えながら仕事していますが、周りが次第に閉鎖的になっているのを見ると「ヤバいな」と感じることがあります。 「TikTok を使っている人がまったく理解できない」 「昔のほうがいろいろ面白かった」 「今まで通りホームページありきで考えるべきだ」 私と同じように、web の可能性から説得しなければならなかった人たちが、「分からない」「今までと同じで良い」と言っていた上の世代と同じ態度になってきているのを見かけることがあります。 スマートフォンが普及し始めた 2010 年前後にしても、デスクトップ向けの web サイトやアプリを作って成功した人たちが足を引っ張っていたところがあると思います。スマートフォン出荷台数が減り始めている今頃になって「モバイルだ!」と叫んでいるオトナもいるわけです。若い世代は IoT, AR,

仕事

バランスなんて他人が決めつけるものではない

バランスとは均等のことではない 昔は「バランスが大事」という言葉を使っていました。 また、アドバイスをいただくときも「バランス」という言葉を耳にしたことがあります。ワークライフバランスもそうですし、何か新しい施策やアイデアを提案するときも「バランスですね」と、対になる考えを一緒に話す人もいます。 最近どうもこの「バランス」という言葉の使い所に困っています。全体を見失っていない感を装う都合の良い言葉に聞こえることがありますし、明確な方向性を打ち出していないと感じることがあります。仕事文脈でバランスについて話すと響きは良いですが、言い方を変えると無難なわけです。そして、私の経験では無難なことやっていると何も変化に繋がらないと考えています。それもあって最近は質疑応答でアドバイスするときに避けている言葉のひとつです。 どちらもバランスがとれています バランスを「釣り合いがとれている」ではなく、「均等」と捉えている方は少なくありません。つまり「50/50」な関係です。ライフワークバランスとは可能な限り 50/50 に近づけることと思っている方がいるのではないでしょうか。バランスという言葉を避けているのは、その言葉を使うことで 均等にしましょうと聞こえてしまうのを懸念しているからだと思います。 バランスとは個人のもの 釣り合いがとれた状態とは、必ずしも 50/

デザインの価値を伝えるための発想転換
仕事

デザインの価値を伝えるための発想転換

どれも重要という現場で 「ビジネスにデザインが不可欠」「差別化になるのがデザイン」といった表現をつかってデザインの重要性を示す場合があります。デザイナーからすれば嬉しい言葉でもあり、責任の重大さを感じます。しかし、ビジネスにおいて不可欠なものはデザイン以外にもたくさんあります。開発はもちろん、マーケティングや営業も不可欠な存在。そもそも、あってもなくても良い部分を探すほうが難しいわけです。 ここ数年でデザイナーが創設した企業が幾つか買収されていますし、資金調達に成功したスタートアップのなかにデザイナーが共同創設者のところも少なくありません。また、Airbnb のようにデザイナーが組織の責任者になって、デザインの文化を広げているところもあります。こうした状況をみると「ビジネスにデザインが不可欠」と考えるのも当然かもしれません。 ただ、だからといってデザイナーが「不可欠」という表現に酔いしれても望んでいるデザインを実践することはできません。そもそも周りからはデザインは装飾をする仕事と思われている場合もありますし、先述したように他の役職の方々も不可欠な存在です。「デザイナーの価値がうまく伝わらない」と嘆いているすぐ側で「マーケティングが理解されない」

仕事

制作者が自分の価値や課題を伝える方法

2017年2月25日、東京の東京ガーデンテラス紀尾井町で Inside Frontend が開催されました。単なる小手先のテクニックではなく、複雑な課題にどのように取り組んだら良いのかという考え方も学べる 1 日でした。また、大企業で働くエンジニアが多数登壇していたころから、チームでどのように開発するのかといった話も聞くことができました。当日の様子は #insideFE まとめを見ると分かりますが、中級者以上の内容を聞ける集まりではあるものの、雑談もできる良い雰囲気のイベントでした。たくさんのツイートが流れ続けていたところもエンジニアのイベントらしいなと思いました。 人は変化を好まないという事実 今回はフロントエンドエンジニアの前で登壇するという理由から「フロントエンドの課題を啓蒙する方法」という題名にしたものの、話の内容はデザイナーでもディレクターでも共通するものだと考えています。ツールだけでなく、コミュニケーション手段も充実してきているとはいえ、デザインと実装の間を埋めるのは簡単なことではありません。また、ひと昔のようにデザイン素材を実装側に渡せば済むわけにはいかなくなりました。 情報が流動的に動いた場合の見た目や振る舞い タップやスワイプといったインタラクションの動作 アニメーションや画面遷移のニュアンス 同じ画面でも状態によって切り替わる場面の処理 デザイナーがデザインしているときに、これらをすべて考え抜いて作るというのは極めて難しいですし、実装しなければ分からないこともあります。デザインと実装の境目が曖昧になってきたからこそ、お互いの強みを活かしてひとりでは出来ないものを作れることが理想的です。 頭ではそう思っていたとしても、人は楽をしたいと考えますし、現状維持で上手くいくことを先に考えてしまいます。1 年前に Service Worker,

デザイン

有意義な批評・評価をするためのデザイン原則

ニュアンスを明文化するという行為 大企業のように Web 上で公開しなかったとしても、デザイン原則はどの現場でも必要です。ステークホルダー、クライアントそしてチームメンバーと対話をする際「本プロジェクトにおける良いデザイン」を予め定義しておくことで、ファシリテーションの難易度を下げることができます。見た目はもちろん、機能実装や画面設計も「これは原則に沿ったものだろうか?」という質問を投げかけることで、感情や直感だけに頼らないデザインが決めやすくなるでしょう。 わたしたちデザイナーがよく使う「利用者にとって分かりやすく、使い易い」「素早くタスクを完了できる」「シンプルで見やすい」といった言葉は、実はそれほど明確な表現ではなかったりします。シンプルも捉え方で様々な見た目が生まれますし、使いやすさも個々の知識や経験に大きく委ねられる場合があります。何をもってシンプルと見なすのかを明確にしないままだと、議論が集約しませんし、製品・サービスの本質を失う可能性もあります。 ユーザーインタビューや市場調査して、それを基にデザインを考えるのも手段ですが、利用者へ目を向ければすべて上手くわけではありません。私たちは何者なのか?どのような価値を提供したいのか?自分たちの核を明確にした上で、利用者のニーズと合わせて考える必要があります。自分たちが何者であるかという根本的な部分を明文化することで、何を利用者に聞けば良いのかも見えてきますし、機能追加や改善の優先順位のヒントも得ることができます。一方的に言われたことをすれば良くなるわけではなく、サービス・製品がするべき意味・価値と合わせて考えるために原則が欠かせない存在になります。 数十名以上抱える組織になると、感覚的なところまで通じ合うことが難しくなりますし、

仕事

デザイナーとしての失敗との付き合い方

失敗を恐れないわけがない 「失敗はたくさんしたほうが良い」「失敗を恐れるな」という言葉を耳にしたことがあります。確かに失敗を通して学ぶことは少なくありませんし、書籍やセミナーで学んだことより残る知識になることもあります。しかし、だからといって失敗したくないのが本音です。また、失敗は私たちの社会では許されざることと捉えられている場合もあります。「失敗を恐れるな」の前に「失敗は許されない」という考えが先立ってしまって、なんとか失敗せずに済む方法、失敗から免れる手段を選ぼうとしてしまいます。 ただ、失敗しないための努力をしたところで、失敗してしまうことはあります。また、周りからそう思われていなくても、自分にとって失敗を感じることもあるでしょう。事業がうまくいかなかったとき、提出したデザイン案がやり直しになったとき、プレゼンテーションの反応が良くなかったとき、同僚と話したときに生じたぎこちない雰囲気など、大小様々な失敗があります。 失敗のやっかいなことは、いつまでも私たちの頭の中に残っていることです。残るからこそ学びに繋がることはありますが、恐怖や不安として半年、1 年残ることもあります。常に頭の中でその失敗が浮かびあがることもあれば、突如頭に浮かび上がり、その日はずっと考え込んでしまうこともあります。自分が失敗したときの姿を思い浮かべるといった負のスパイラルに陥り、ますます失敗を恐れてしまうこともあるでしょう。 私自身こうした失敗によって身動きがとれなくなる状態を何度か経験しています。焦るあまり失敗を懸命に忘れようとしたり隠したりする行為に移ることもあります。短期的にはそれで良くても、ある日突然、記憶が戻ってくることがありますし、貯まりに貯めた失敗の記憶によって押し潰されることもあります。

仕事

デザイナーに必要な「作る」と「考える」バランス

作るだけだと失うバランス スキルが多ければ就職のチャンスが増えるでしょうし、デザインとコードの間を取り持つためのコミュニケーションの手間も省けます。新しい技術を取り入れたデザインが考えられることで、表現の幅も広がるはずです。柔軟性、拡張性のあるデザインを作るときにコード脳が役立ちますが、デザイナー自らがコードを書く必要性はないと考えています。 小さな組織、フリーランスであればコードを書かざるを得ない状況があるので、それは仕方ありません。『書けるべき』という強い表現が、どのような状況にも当てはまるように聞こえてしまうことに疑問を感じます。また、制作スキルばかりに力を入れても、デザイナーとしてのスキルの伸びに限界がある考えています。 デザインは人によって様々な定義が出てくるややこしい言葉ですが、私の中で「作る」ことと「考える」ことの 2 つに分けています。作ることは、何か目に見えるもの、触れることができるものを作り上げること。Web サイトが作れる、アプリの UI が作れる。デザイナーであれば作れてなんぼだと思います。 もうひとつの「考える」は、作ることと表裏一体の関係にあります。何のために作るのか、なぜ作るのか、作ったものが人にどのような影響を及ぼすのかを知ることを指します。作る理由を探求し、作り上げたものが説明できるようになるために考えるわけです。また、

プロセス

なぜ自信をもってデザインを説明するべきなのか

コラボレーションは難しい コラボレーションは今日のデザインプロセスにおいて必須です。様々な分野の専門家たちが集まるからこそ、より良い製品へと進化していきます。専門家だからこそ出せるインプットによって、最適な解決策が見つかる … はずなのですが、実際そうはいかないことがあります。立場が違えば、物事の捉え方も違います。それぞれが置かれている状況によって、意見が分かれることがあります。意見が一致すればコラボレーションとしての相乗効果が生まれますが、そうでないときは、不平や妥協する人が出てくるでしょうし、最悪の場合は製品の利用体験を損なうものを実装してしまうこともあります。 コラボレーションは響きの良い言葉ですが、一筋縄にはいきません。意見が合わないとき、私たちはよく自己防衛の姿勢になりがちです。「これは違う」と言われると、反射的に「そんなことはない」と言うことがありますが、こうしたやりとりがコラボレーションの歯車を狂わしていきます。自分を守ること、相手の意見を変えることが先決になり、肝心の課題解決の話し合いではなくなっていきます。こうなると以下の 3 パターンで話に決着が付いていきます。 多数決 – 皆が欲しいものを平等に受け入れたり、投票をした結果で進めてしまう場合。らくだをデザインしていることがあるかもしれません。 声が大きい人 – 「これはどうしても必要だ!」と声を大にしている人が押し通してしまう場合。 上司の言葉 –

デザイン

デザインにある様々な対立について思うこと

デザインの議論で以下のような対立を見かけることがあります。 アプリ/Web 文系/理系 テキスト/ビジュアル アート/デザイン アクセシビリティ/視覚表現 UI/UX 私たち人間は様々なことを分類することを好みます。一見相反するものは、明確に分類しようとしますし、それぞれの定義を明確にしようともします。片方を選ぶことで、もう片方は諦めなければいけないと考えている方もいると思います。それぞれの言葉の意味を理解しておくべきですが、どちらかを選ぶというものではないと考えています。 ふたつを合わせることで、私たちの仕事の可能性を広げることができるはずです。 自分の仕事をアプリか Web いずれかに絞ることはありません 文系だからといって数字が弱いということはありません テキストとビジュアルが合わさることでコンテンツが増幅します アートと呼べるような問題解決は存在します 視覚的な表現が豊かでもアクセシブルにはできます UI から生まれる体験もありますし、体験の理解が UI を生むこともあります 深みにハマった定義話や、もう片方を批判してまで線を引きたがる過度な分類は、マイナスにしかならないと思います。対立を生むだけで、両方を選ぶという選択肢を失うだけになります。結局のところ、上記のような『対立』は私たちが作り出したものであり、

仕事

すべては一文字書くことから始まる

「だからなに?」 Web 上で情報発信をしている方であれば、一度は頭に思い浮かべる言葉だと思います。知名度もない実力もない自分が、わざわざ外に向けて発信することに何の意味があるのだと。 今でも自分の文章が上手いとは思いませんが、昔は下手でも気ままに書いていました。2002年の記事を掘り起こしてみたところ、大学の演劇を見にいったときのことを書き残していました。以下はそのとき書いた日記の一部からの引用です。 僕が演劇が好きなところのは、ステージという限られた空間の中での演出や場面の変化を一望できるところです。ひとつの『場面』でもいろいろなことが同時進行していて、見方によってはいろいろ楽しめるという舞台ならではの魅力があるからかもしれません。 当時はまだ米国に住んでいて、ある制作会社で Web デザイナーとして勤務していました。ビジュアルデザインだけでなく、 HTML/CSS/JavaScript は毎日何時間も書くという生活をしていました。演劇に関する日記を書いたおよそ 2 年後に CSS の書籍を出版しているので、最先端と呼べる知識はあったと思います。しかし、ブログには仕事に関わること、読者に役に立つことはほとんど書いておらず、上記のような日常を書き残す程度でした。文章もどこか上から目線で荒さがありましたし、いろいろな背景の方が読むことを気にしていませんでした。 当時の文章がよかったとは思っていませんし、中には大変失礼なことを書いたと感じるものもあります。ただ、今と比べて何も気にせず書いていましたし、書き残すことが何よりも楽しかったです。 気楽であることは、

デザイン

デザインを理解してくれないと嘆く前に

分かっていないのは誰か? デザインの評価は、デザイナー同士でも難しいこと。それが違う職種や背景の方と話をするとなると、さらに難しくなります。プロであれば、仮説を基にして議論をするよう努力しますが、周りがそうであるとは限りません。 人間工学者 Gitte Lindgaard が 2006 年に発表した文献「Attention web designers: You have 50 milliseconds to make a good first impression!」によると、ユーザーはわずか 0.05 秒で Web サイトの見た目に判断を下すそうです。これはアプリをはじめ、様々なデザインにもいえると思います。デザインの意図やプロセスを知ることはないわけですから、「ダサい」「見難い」「分からない」といった突発的な判断を下すのも当然かもしれません。 では、「デザインを理解していない」と一蹴していいのかというとそうではないと思います。

考え方

クリエイティビティとコピーについて

複製、変形、結合。 これらは生物の進化において欠かせない現象です。細胞分裂という原始的な活動だけでなく、私たちのクリエイティビティにもいえることです。活版印刷から World Wide Web まで、私たち人類が作り出してきたものは「複製、変形、結合」を繰り返した結果といえるでしょう。私たちが無から突然生まれたものではないのと同様、クリエイティビティも進化の過程のなかから生まれています。 2011年に「Everything is a Remix(すべてはリミックスである)」というドキュメンタリー映画が公開されました。音楽や映画の歴史を振り返りながらアイデアはリミックスされ続けていることを分かりやすく解説しています。また、知的財産権の課題や、人がもつアイデアを自分のものにしたい欲についても触れています。 このドキュメンタリー映画は、他人のアイデアを好き勝手にコピーしても構わないといっているわけではありません。しかし、極端な知的財産権の行使や、アイデアに対する過剰な所有欲が人のクリエイティビティに良くない影響を及ぼすだろうと指摘しています。 クリエイティビティという言葉に、どこか神秘的なものを感じる人は少なくありません。そのなかには、クリエイティビティとはオリジナルの何かを作り出す能力と考えている方もいるでしょう。しかし、オリジナルを「今まで見たことがない新しいもの」と見なすのであれば、そんなものは存在しないかもしれません。新しいものと感じたとしても、

プロセス

「could」という言葉とデザインとの繋がりについて

1998年4月16日「could」という名前で Web サイトを始めました。 当時は大学生だったということもあり、日々の生活を綴る日記を書いていました。内向的な日記を書いていましたが、 2001年にはログ(リンクに一言添えたもの)を始め、2003年に自作 CMS をつくり、今は WordPress へ移行して Web と デザインに関わる記事を書いています。 時々「cloud (雲)」と間違われていることもありますが、なぜこんな奇妙な名前を使い続けているのか。書いている内容は変わり続けているのにも関わらず、この名前を使い続けているには理由があります。 「could」という言葉は can の過去形として扱う直接法だけではなく、「…できる(なら)」「…できるだろう」といった仮説法も含まれていて、このサイトはそんな可能になるかもしれない未来への想いを題名に込めています。私たちは常に何か違った可能性を秘めながら生活や仕事をしています。無数の可能性や過去にしてきた決断について考えたい・・・それが私にとっての could だったりします。 なぜ今更自分のサイトの由来について書いているのかというと、仮説としての「could」

シンプル

目的とインターフェイスの関係で変わるシンプルの意味

先日、帰省した際に母と家電量販店を訪れました。そこで、いろいろな製品を見学したり質問に応えながら雑談していたわけですが、母が興味深い言葉を残していました。 「私とあなたではシンプルの意味合いが違う」 例えば Apple TV は、TVに接続するとパソコンからメディアをストリーミングしてくれるだけでなく、TV番組や映画、YouTube も見れるようになります。録画して残すという考えから、クラウドを利用してオンデマンドでいつでも好きな時間に見るこという考えに変わります。何が出来るのかを理解しているのであれば 1台で様々な役割を果たす Apple TV のようなデバイスは便利でシンプルです。 しかし、1台で何でも出来るということがシンプルにならない場合があります。使い方によって様々なメディア体験ができる Apple TV より、録画・観覧するためのデッキ、ケーブルTVをみるためのチャンネル、ゲームをするためのコンソールなど、目的や機能に応じて明確に分かれていたほうがシンプルと捉える方もいます。用意しなければならない機器が増えて一見複雑に見えますが、「この目的を達成したいなら、これを使えば良い」という使うための手順がシンプルです。目的以外の選択肢がないこともシンプルに繋がっているのでしょう。 1. 様々な選択肢があっても目的が明確にある場合。 2. 入り口はひとつだが目的に応じて操作が違う。 目的を達成するための手順が多様なのも複雑に感じる場合があります。 Aの手順でもBの手順でも構わない、操作は利用者の思う方法で自由にできる・

言葉

失敗を繰り返そう

読みにくい記事がある理由 記事ごとにレイアウトや装飾を変えるようになってしばらく経ちます。中にはおもしろいもの、うまく表現されたものもありますが、読みにくい記事も少くないと思います。文章のフローが変則的すぎて読みにくい、色の使い方が読み難くしているものなど様々だと思います。Twitter や はてブにコメントを残す方もいらっしゃるので、どれが評判が良くなかったのかも多少わかります。 なぜ読みにくいのか?なぜそんな記事を作っているのか?それは単純に私が失敗しただけです。 雑誌では奇抜な背景や色を使ったり、変則的な読ませ方をさせる場合がありますが、それを同じように Web で実践できるのか? どこまで出来るのかという考えがそもそもの発端です。縦も横も固定された紙の世界では実現しやすいことも、縦横に無限に広がり、制限もかけれない Web ではとても難しいことが分かりました。もちろん、まだ模索するべきことはたくさん残っていますし、私のスキルを磨けという部分もあります。 ただこうしたひとつの結論に至るには今までの失敗がなければ辿り着くことはできませんでしたし、失敗を通して何が可能で何を改善しなければならないかも見えてきました。 読みにくいレイアウトを作ってしまったみたいだ。では、今度は別なのを試そう。この見せ方なら良いのか。では、これは良いのか?・・・この繰り返しです。ブログや情報サイトでのお馴染みのパターンを実装しているだけでは学ぶことが出来なかったことは少なくありません。 個人でサイトを運営しているわけですし、読者の声もアクセス解析とソーシャルメディアを通して拾い上げることが出来るわけですから、活用しないのも勿体無いでしょう。こうして失敗を繰り返して改善出来る場もそうはないわけですから。ユーザーテストで検証したり、文献を読み漁らなくても、

らくだをデザインしていませんか?
デザイン

らくだをデザインしていませんか?

A camel is a horse designed by committee. (ラクダとは委員会によって設計された馬である)Alec Issigonis らくださんがかわいそうですが、いろいろなアイデアを盛り込むことで結果的に何がなんだか分からない不細工なものが出来てしまうという意味が込められています。「We just made a camel(らくだをつくってしまった)」という表現を使う場合がありますが、語源は上記の格言になります。デザインの決定権をもっている人がたくさんいて、彼等の意見をすべて取り入れてしまうことで最初のビジョンとはかけ離れたものになってしまう・・・なんとも人ごとではないシナリオです。 以前「デザインが失敗してしまう理由」でもデザインをしない方や知識のない方が決定権をもつことが失敗に繋がると紹介しました。プロジェクトに携わっているのであれば誰でも言いたいことはあります。それはクライアントだけではなく、プロジェクトマネージャからマークアップする人すべてです。

言葉

英語モードに切り替えるシンプルな方法

H2O Spaceは、不定期に少人数の勉強会を開催しています。Webデザインや電子書籍など勉強で取り扱うトピックは多岐にわたっていますが、先週行われた勉強会のトピックは『英会話』。長くアメリカに在住していたという経験と、Web Directions East でときどき通訳をしているということで、谷口さんから講師として指名を受けました。高校のとき「おまえの英語の成績じゃ留学しても失敗する」と先生に言われるくらい英語の成績がよろしくなかった私ですが、なんとか読み書き話せるようになりました。当時の経験と、帰国後も英会話のスキルを保つため自分が何をしているのかという話をしました。 英語は英語として受け止める 私もたまにありますが「この英語の表現ってなんで言うんだっけ?」なんて思うことがあります(時々記事を書くときに英和で意味を調べることもあります)。その理由として、ひとつひとつの英単語の対訳を覚えているわけではなく、英語は英語として記憶しているからです。もし聞き入れている英語を頭の中で日本語に翻訳して、話すときに日本語を英語に翻訳していたら会話についていくことも出来なければ、相当頭の回転の早い人でないかぎり英会話が出来ないということになります。限られた人しか話せないなんてことはありません。 2、3年前に H2O Space の谷口さんにインタビューをしたことがあります。そのとき「どのようにプログラミングを覚えたのか?」との質問に対して「それはそれと、そのまま受け止めて覚えていった」と応えてくれました。つまり、「なぜ変数を定義するのに var

言葉

Q&A: エンゲージメントを与えるための考え方や手法はありますか?

成果物のUXにおいて、Jesse James Garrettが話しているようにエンゲージメントを与えるということが重要になってくると思います。それぞれのサイトの趣旨によっても変わってきますが、長谷川さんはどのようなアウトプットの仕方でエンゲージメントを与えようと考えますか?また、その際、気を付けていることや長谷川さんが持っている方法論等があれば教えてください。 from: toshi ここ数年、デザインやマーケティングなど様々な分野で耳にするようになった「エンゲージメント」。愛着心や絆など、分野でによってニュアンスが微妙に異なるこの言葉ですが、ここで言う「エンゲージメント」とは「積極的に行動する状態」「集中・没頭出来る状態」を指します。アプリケーションやサイトを利用において、利用者が意味のある体験をしたかどうかを測る測定値としてエンゲージメントに注目する場合もあります。エンゲージメントのある体験とは楽しいだけでなく、生産的でしょうし、簡単と感じる場合もあるでしょう。 楽しい時間を過ごしているとき、自分にとって意義のあることをしているときは、集中力が増しますし、時間がアッと言う間に過ぎてしまう感覚があります。こうした心理状態を英語では「In the Zone」と呼ぶことがあります。日本語訳すると「無我の境地」といったところでしょうか。スポーツ選手が例に挙がることがありますが、無我の境地とは以下のような状態を指しています。 フォーカスが絞られている 明確なゴールのために機敏な反応をする

アイデア

共創に必要な価値観

市場に新たな価値を生み出す鍵といわれている「Co-Creation (共創)」。この言葉自体を使わなかったとしても、ネットをはじめ様々なシーンで共創が行われています。では実際、どのような共創が存在するのでしょうか。そして、成功している共創には共通した特徴があるのでしょうか。アムステルダムのコンサルティング会社 Fronteer Stratery が CO-CREATION’S 5 GUIDING PRINCIPLES という6ページのホワイトペーパーを公開しています。この資料では、4つの共創タイプ、5つの特徴を紹介しています (PDFダウンロード)。資料には該当する企業やプロジェクトも紹介しています。以下に簡単な要約をまとめておきます。 4つの共創タイプ 専門家のクラブ プロセスによって選ばれた参加者によりアイデアが生まれる。質が何よりも重要 群衆 別名クラウドソーシング。多くの人が参加することにより新たな価値を生み出す 連合 様々な団体やグループが協力しあうことにより大きな問題にソリューションを提案する 善意によるコミュニティ より大きな善のために似たような趣向と考えをもった人々が集まりゴールに向かって一緒に作る 5つの特徴 参加を促す 何をもたらすのか伝え挑戦に参加してもらう 最高を選ぶ 今日立ち向かう問題に最高の人を集め、最高のアイデアを導き出す クリエイティブを繋げる